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“星”とは詩のことなのでしょうか?

幼獣”とは中也自身のこと、そして作った“”とはのことなのでしょうか。
美しかったという“独語”は何を意味しているのでしょうか。

幼獣の歌 (中原中也

黒い夜草深い野にあつて、
一匹の獣が火消壺の中で
燧石を打つて、星を作つた。
冬を混ぜる 風が鳴つて。

獣はもはや、なんにも見なかつた。
カスタニェットと月光のほか
目覚ますことなき星を抱いて、
壺の中には冒涜を迎へて。

雨後らしく思ひ出は一塊となつて
風と肩を組み、波を打つた。
あゝ なまめかしい物語――
奴隷も王女と美しかれよ。

     卵殻もどきの貴公子の微笑と
     遅鈍な子供の白血球とは、
     それな獣を怖がらす。

黒い夜草深い野の中で、
一匹の獣の心は燻る。
黒い夜草深い野の中で――
太古は、独語も美しかつた!……



こので、中也は自らのの創作そのものを題材にしているようです。
それは、中也を新たな段階に進ませるものだったのでしょうか。あるいは、中也の創作の行き詰まりを暗示していたのでしょうか。

その答は誰にもわかりません。
中也が、このを書いた翌年に亡くなってしまったからです。


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kinkun

Author:kinkun
名古屋春栄会のホームページの管理人

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