2010/02/02 21:40:36
“星”とは詩のことなのでしょうか?
“幼獣”とは中也自身のこと、そして作った“星”とは詩のことなのでしょうか。
美しかったという“独語”は何を意味しているのでしょうか。
幼獣の歌 (中原中也)
黒い夜草深い野にあつて、
一匹の獣が火消壺の中で
燧石を打つて、星を作つた。
冬を混ぜる 風が鳴つて。
獣はもはや、なんにも見なかつた。
カスタニェットと月光のほか
目覚ますことなき星を抱いて、
壺の中には冒涜を迎へて。
雨後らしく思ひ出は一塊となつて
風と肩を組み、波を打つた。
あゝ なまめかしい物語――
奴隷も王女と美しかれよ。
卵殻もどきの貴公子の微笑と
遅鈍な子供の白血球とは、
それな獣を怖がらす。
黒い夜草深い野の中で、
一匹の獣の心は燻る。
黒い夜草深い野の中で――
太古は、独語も美しかつた!……
この詩で、中也は自らの詩の創作そのものを題材にしているようです。
それは、中也の詩を新たな段階に進ませるものだったのでしょうか。あるいは、中也の詩の創作の行き詰まりを暗示していたのでしょうか。
その答は誰にもわかりません。
中也が、この詩を書いた翌年に亡くなってしまったからです。
“幼獣”とは中也自身のこと、そして作った“星”とは詩のことなのでしょうか。
美しかったという“独語”は何を意味しているのでしょうか。
幼獣の歌 (中原中也)
黒い夜草深い野にあつて、
一匹の獣が火消壺の中で
燧石を打つて、星を作つた。
冬を混ぜる 風が鳴つて。
獣はもはや、なんにも見なかつた。
カスタニェットと月光のほか
目覚ますことなき星を抱いて、
壺の中には冒涜を迎へて。
雨後らしく思ひ出は一塊となつて
風と肩を組み、波を打つた。
あゝ なまめかしい物語――
奴隷も王女と美しかれよ。
卵殻もどきの貴公子の微笑と
遅鈍な子供の白血球とは、
それな獣を怖がらす。
黒い夜草深い野の中で、
一匹の獣の心は燻る。
黒い夜草深い野の中で――
太古は、独語も美しかつた!……
この詩で、中也は自らの詩の創作そのものを題材にしているようです。
それは、中也の詩を新たな段階に進ませるものだったのでしょうか。あるいは、中也の詩の創作の行き詰まりを暗示していたのでしょうか。
その答は誰にもわかりません。
中也が、この詩を書いた翌年に亡くなってしまったからです。