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中也の秋の詩は不思議と楽しげな詩が多いです。


不思議なことに中原中也の詩は、夏の詩に悲しい詩が多いのに比べ、秋の詩には楽しげな詩が多いように感じます。

この詩でも、秋の穏やかな午後を過ごす少し楽しそうな人々が描かれています。

港市の秋 (中原中也

石崖に、朝陽が射して
秋空は美しいかぎり。
むかふに見える港は、
蝸牛の角でもあるのか

町では人々煙管の掃除。
甍は伸びをし
空は割れる。
役人の休み日――どてら姿だ。

『今度生れたら……』
海員が唄ふ。
『ぎーこたん、ばつたりしよ……』
狸婆々がうたふ。

  港の市の秋の日は、
  大人しい発狂。
  私はその日人生に、
  椅子を失くした。



この最後の4行を初めて読んだとき、中也は天才だと感じました。

【】
 こんばんは。今日は中也ですか。中也は小生も青春の一時期魅かれた詩人ですが・・。
 庭も柱も乾いている、今日もいい天気だ、縁の下では蜘蛛の巣が心細そうに揺れている・・
 なんかと同じように、世間というか、自分以外の世界が穏やかで、楽しげで、それなりに平和で充足しているのに、自分はその中に居なくて疎外されているような、喪失感というか欠落感・疎外感・孤独感を感じている、
 そんな、何とも悲しいものを小生は感じるのですが・・
 最後の「その日人生の椅子を失くした」というのが中也の言いたかった唯一のことで、それを、港市の平和で穏やかな狂騒との対比させることで、自身の孤独を呈示しているのではないでしょうか。
 中也にとっては、やはり秋も悲しげである・・というのが総じての小生の印象ですが(笑)、夏の詩と秋の詩を、そんな視点で比較してみたことはなかったので、ちょっと興味深いご意見でした。
 うらうらに照れる春日の「悲しさ」や、秋の晴れ渡った空の下の「悲しさ」を、若い頃の僕は中也の詩に「見たかった」だけなんでしょうかね(笑)。
【中也の寂しさ】
けん家持さん、コメントありがとうございます。

私も中也の詩は、中也の疎外感や喪失感が描かれている作品が多いと思います。

中也の秋の詩は、穏やかな情景の描写と、深い悲しみと寂寥感が感じられる中也の心象風景を対照的に描くことによって、中也の心の寂しさを際立たせている作品が多いと感じています。

この詩でも、港の市の穏やかで活気ある日常の光景を描いている前半の3段落と、そうした情景にさえ狂気を見出す中也の心を描く最後の段落が対照的に描かれていると思います。

これに対し、中也の夏の詩では、逝く夏を惜しむメランコリックな情景描写の中に、中也の寂しさがストレートに描かれているものが多いと感じています。

この中也の夏の詩と比較して、中也の秋の詩を“不思議と楽しげな詩”と表現したもので、中也の秋の詩を楽しい詩と感じている訳ではありません。
どうも言葉足らずだったようで、真意が伝わらず申し訳ありませんでした。

しかし、この詩の『人生に、椅子を失くした』というのは、非常に重い表現ですね。
もう心から安らぐことのできる場所はこの世にはない」と言っているようです。
【冬とか春は?】
 合点、納得です。補足のご説明有難うございます。小生も同感です(笑)な。
「落陽は慈愛の色の金の色」、とか夕日に慰められるものを感じていたように、季節の言わば「夕日」である「秋」にも何がしかの慰められるものを感じることができたのでしょうかね。秋が中也も一番好きであったのかも知れませんね。だから、貴兄が言われるような「秋の描写」が生まれるのかも。
 まあ、中也の詩を読み返すこともせぬままの、いい加減な感想ですみません(笑)。

みかん色 したる中也の 夕日落つ 長門峡の 冬も見が欲し(偐家持)
【Re: 冬とか春は?】
けん家持さん、こんばんは。

補足説明をしないと伝わらないということは、文章が拙いということだと思います。
どうも読み手も同じ前提に立っていると勝手に思い込んで文章を書くことがあるので、今後注意したいと思います。
ご指摘、ありがとうございました。

また、素敵な歌もありがとうございます。

中也の春の詩と冬の詩については、宿題とさせていただきます。
今後ともよろしくお願いします。
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kinkun

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