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今日は、「河童」の第6章を紹介します。


この章で、詩人のトックの隣に住む哲学者とのマッグが登場します。
また、この章では、詩人のトックを主人公に紹介してくれた学生のラップ恋愛問題も描かれています。
当時の日本の恋愛観では、女性から告白するということは、はしたないことだと考えられていたので、芥川は、人間の世界とは逆と言う意味で、河童の国では雌が雄を追いかけるとしたのでしょう。
また、この章では、“ラップが雌の河童に追いかけられ、抱き付かれたせいで、何週間か床についた上、嘴が腐って落ちてしまいまう”という話が出てきます
この話は、鼻が落ちるといわれた梅毒を連想させ、潔癖な芥川のフリーセックスへの嫌悪感が感じられます。


河童』(芥川龍之介)



 実際また河童の恋愛は我々人間の恋愛とはよほど趣を異にしています。雌の河童はこれぞという雄の河童を見つけるが早いか、雄の河童をとらえるのにいかなる手段も顧みません、一番正直な雌の河童は遮二無二雄の河童を追いかけるのです。現に僕は気違いのように雄の河童を追いかけている雌の河童を見かけました。いや、そればかりではありません。若い雌の河童はもちろん、その河童の両親や兄弟までいっしょになって追いかけるのです。雄の河童こそみじめです。なにしろさんざん逃げまわったあげく、運よくつかまらずにすんだとしても、二三か月は床についてしまうのですから。僕はある時僕の家にトックの詩集を読んでいました。するとそこへ駆けこんできたのはあのラップという学生です。ラップは僕の家へ転げこむと、床の上へ倒れたなり、息も切れ切れにこう言うのです。
「大変だ! とうとう僕は抱きつかれてしまった!」
 僕はとっさに詩集を投げ出し、戸口の錠をおろしてしまいました。しかし鍵穴からのぞいてみると、硫黄の粉末を顔に塗った、背の低い雌の河童が一匹、まだ戸口にうろついているのです。ラップはその日から何週間か僕の床の上に寝ていました。のみならずいつかラップの嘴はすっかり腐って落ちてしまいました。





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kinkun

Author:kinkun
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