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「福家警部補の挨拶~オッカムの剃刀~」

が、今日、NHK総合テレビで放映されました。
最近、あまりテレビドラマは見ないのですが、先日原作を読んだばかりなので(2008年12月22日の日記参照)、見てみました。
短編を1時間半のドラマにしただけあり、テレビドラマとしては原作に忠実なほうだと思いました。長編ミステリを2時間ドラマにするのは、やめてほしいです。

ところで、この短編のタイトル「オッカムの剃刀」ですが、ドラマでも草刈正雄演じる柳田教授が講義で説明していましたが、「ある事柄を説明するために、必要以上に多くのことを仮定するべきでない」という原理・指針のことだそうです。

この原理に「オッカムの剃刀(Occam's razor)」という名前がついたのは、フランチェスコ会会士であったオッカムのウィリアムWilliam of Ockham〔1285年~1349年〕よるものだからという説と、もともとスコラ哲学の概念だったが、オッカムのウィリアムが使用したことで有名になったからという説があるとのことです。

ただ、この原理についてのオッカムのウィリアムの言葉として明らかなのは次の二つの文章だけだそうです。

必要が無いなら多くのものを定立してはならない
(ラテン語:Pluralitas non est ponenda sine neccesitate.)
少数の論理でよい場合は多数の論理をたててはいけない。
(ラテン語: "Frustra fit per plura quod potest fieri per pauciora.)


オッカムのウィリアムは、フランチェスコ会会士、後期スコラ学を代表する神学者・哲学者で、オッカムというのは、生地であるイングランドのオッカム村のことだそうです。
なお、没年には、1347年説、1348年説、1349年説、1350年説が、生年には、1288年説、1300年頃説があるそうです。

オックスフォード大学で学び、フランチェスコ会の会則の解釈をめぐり、いわゆる清貧派の立場をとり、普遍論争では唯名論の立場に立ったため、ローマ教皇ヨハネス22世Ioannes XXIIと対立し、異端審問のため当時アヴィニョンにあった教皇庁へ召還されます。
その後、アヴィニョンからミュンヘンへ逃亡し、聖職叙任権などをめぐり教皇と対立していた神聖ローマ帝国皇帝ルートヴィヒ4世Ludwig IV der Bayernの保護を受けました。

なお、ウンベルト・エーコUmberto Ecoが昭和55(1980)年に発表した小説『薔薇の名前(Il Nome della Rosa)』の主人公・フランチェスコ会修道士バスカヴィルのウィリアムのモデルと言われています。
昭和61(1986)年に製作の大ヒット映画『薔薇の名前(Le Nom de la Rose)』では、バスカヴィルのウィリアム役をショーン・コネリーSir Thomas Sean Conneryが務めました。
ちなみに、バスカヴィルのウィリアムの弟子メルクのアドソ役で一躍スターになったのがクリスチャン・スレーターChristian Slaterです。この頃はかわいい少年だったんですけど…。

私の大好きな映画の一つです。




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kinkun

Author:kinkun
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