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今日はモーツァルトの命日です。

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト Wolfgang Amadeus Mozartは、今から300年以上前の1791年12月5日にウィーンで亡くなります。
音楽評論家の吉田秀和氏が、今年3月に書いた「音楽展望」(朝日新聞:2008年3月20日)で、中原中也の結婚祝いにモーツァルトの39番のレコードを贈ったことを書いていました。
この文章を読んだときに、生前の中也と交友の会った人が今も生きていることに少し感動してしまいました。
同じ文章には、中也といっしょにバッハを聞いたという話も出てきます。

しかし、中也は、結婚〔昭和8(1933)年〕の翌年に出版した処女詩集『山羊の歌』の掉尾を飾る「いのちの声」を“僕はもうバッハにもモツアルトにも倦果てた。”という一文で始めています。
この1年に何があったのでしょうか?

いのちの声』(中原中也)


       もろもろの業、太陽のもとにては蒼ざめたるかな。
                   ――ソロモン

僕はもうバッハにもモツアルトにも倦果てた。
あの幸福な、お調子者のヂャズにもすつかり倦果てた。
僕は雨上りの曇つた空の下の鉄橋のやうに生きてゐる。
僕に押寄せてゐるものは、何時でもそれは寂漠だ。

僕はその寂漠の中にすつかり沈静してゐるわけでもない。
僕は何かを求めてゐる、絶えず何かを求めてゐる。
恐ろしく不動の形の中にだが、また恐ろしく憔れてゐる。
そのためにははや、食慾も性慾もあつてなきが如くでさへある。

しかし、それが何かは分らない、つひぞ分つたためしはない。
それが二つあるとは思へない、ただ一つであるとは思ふ。
しかしそれが何かは分らない、つひぞ分つたためしはない。
それに行き著く一か八かの方途さへ、悉皆分つたためしはない。

時に自分を揶揄ふやうに、僕は自分に訊いてみるのだ。
それは女か? 甘いものか? それは栄誉か?
すると心は叫ぶのだ、あれでもない、これでもない、あれでもないこれでもない!
それでは空の歌、朝、高空に、鳴響く空の歌とでもいふのであらうか?

   Ⅱ   

否何れとさへそれはいふことの出来ぬもの!
手短かに、時に説明したくなるとはいふものの、
説明なぞ出来ぬものでこそあれ、我が生は生くるに値ひするものと信ずる
それよ現実! 汚れなき幸福! あらはるものはあらはるまゝによいといふこと!

人は皆、知ると知らぬに拘らず、そのことを希望してをり、
勝敗に心覚き程は知るによしないものであれ、
それは誰も知る、放心の快感に似て、誰もが望み
誰もがこの世にある限り、完全には望み得ないもの!

併し幸福といふものが、このやうに無私の境のものであり、
かの慧敏なる商人の、称して阿呆といふでもあらう底のものとすれば、
めしをくはねば生きてゆかれぬ現身の世は、
不公平なものであるよといはねばならぬ。

だが、それが此の世といふものなんで、
其処に我等は生きてをり、それは任意の不公平ではなく、
それに因て我等自身も構成されたる原理であれば、
然らば、この世に極端はないとて、一先づ休心するもよからう。

   Ⅲ   

されば要は、熱情の問題である。
汝、心の底より立腹せば
怒れよ!

さあれ、怒ることこそ
汝が最後なる目標の前にであれ、
この言ゆめゆめおろそかにする勿れ。

そは、熱情はひととき持続し、やがて熄むなるに、
その社会的効果は存続し、
汝が次なる行為への転調の障げとなるなれば。

   IIII

ゆふがた、空の下で、身一点に感じられれば、万事に於て文句はないのだ。



この詩は、“ゆふがた、空の下で、身一点に感じられれば、万事に於て文句はないのだ。”という最後の一行が、中原中也という詩人を一言で言い表す表現として引用されることの多いことでも有名です。
中也は、この後はモーツァルトを聞かなかったのでしょうか?




【『中也が愛した女』 舞台公演のご案内】
突然のコメント失礼致します。

この度 弊社で企画・制作致します舞台、
『中也が愛した女』 のご案内をさせて頂きたく
不躾ではありますがコメントさせて頂きました。

誠に勝手で申し訳ございませんが、ブログを
読ませていただき、関心を持っていただければと、
投稿いたしました。

下記URLが「中也が愛した女」のサイトです。
http://www.chuyagaaishitaonna.com/

東京での公演ですが、ご興味がありましたら
是非お越しくださいませ。

このようなコメントが失礼に当たりましたら大変申し訳ございません。
何卒御容赦くださいませ。
【中也の愛した女といえば…】
中也の愛した女といえば、長谷川泰子ですね。

近くならば、行ってみたい公演ですが、新年度の忙しい時期なので多分行けないと思います。
でも、ご紹介ありがとうございました。
【長谷川泰子です。】
「ゆきてかへらぬ」初版本が、この作品のきっかけになりました。東京公演なのでご無理かも知れませんが、稽古の様子などHPでアップしていきます。サイトをのぞいてみてください。
良い舞台にいたします。
【『中也が愛した女』舞台公演】
わざわざお返事をいただき、ありがとうございます。

舞台を見に行くことは難しそうなので、そちらのHPと出演者の方のブログで楽しませていただきます。
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kinkun

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名古屋春栄会のホームページの管理人

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