2008/10/04 20:50:11
今日の謡の稽古は『柏崎』の3回目。
今日の名古屋は、過ごしやすい秋晴れの一日でした。
謡の稽古は、『柏崎』の3回目ですが、前回に引き続き名古屋金春会まで稽古日があまりないので、今日は地謡の部分が中心の稽古でした。
今日の場面は、柏崎某の妻が我が子花若と信濃国善光寺で再開する最後の場面まででした。
ワキツレ「いかにこれなる狂女。ここは内陣なり。
しかも女人の身として叶うまじとうとういで候らへ。
シテ「女人の身とうけたまわるは謂れなや。
極重悪人無他方便。唯称弥陀得生極楽とこそ承れ。
ワキツレ「これは不思議の物狂いかな。
そもさようの事をば誰が教えけるぞ。
シテ「教えはもとより弥陀ほとけの。御誓いにてあらざるや。
唯心の浄土と聞く時は。この善光寺の如来堂の。
内陣こそは極楽の。九品上生の台なるに。
女人は参るまじきとのご制戒とはそもされば。
如来の仰せありけるか。よし人びとは何ともおせあれ。
声こそしるべ.南無阿弥陀佛。
地謡「たのもしや。たのもしや。
シテ「釈迦はやり。
地謡「弥陀は導くひと道に。ここを去ること遠からず。
これぞ西方極楽の。上品上生の。
内陣にいざやまいらん。光明遍照十方の。
誓いぞしるきこの寺の。常のともしび影たのむ。
夜念佛いざや申さん。夜念佛いざや.申さん。
子方「これなる物狂いをよくよく見候えば。
柏崎の母にて御入り候。人目の隙をはからいて。
名のらばやと思い候。
シテ「のうのう如来へ参らせ物の候。
この烏帽子ひたたれは夫の形見にて候らへども。
形見こそ今はあたなれこれなくはと。
詠みしも思い知られたり。これを如来に参らせて。
夫の後生善所を。祈らばやと思い候。
〔物着〕
あらいとおしやこの烏帽子ひたたれの主は。
わが夫ながら何事につけても愚かならず。
弓は三物とやらんを射そろえ。歌連歌の道もたりぬるうえ。
また酒もりなんどの遊びには。
いで殿ばらに乱舞まうて見せんとて。
よろいびたたれ取りいでて。衣紋うつくしう着ないて。
へんぬり取ってうちかけ。手拍子人に囃させて。
扇おっとり。なるは瀧の水。
地謡「それ一念称名の声のうちには。攝取の光明をまち。
聖衆来迎の雲の上には。
シテ「九品蓮台の。花散りて。
地謡「異香みちみちて。人に薫じ。白虹地にみちて。つらなれり。
シテ「つらつら世間の幻相を観ずるに。
飛花落葉の風の前には有為の転変を悟り。
地謡「電光石火のかげのうちには。生死の去来を見ること。
はじめて驚くべきにはあらねども。
シテ「いく夜の夢とまとわれし。
地謡「かりの親子の今をだに。そいはてもせぬ道芝の。
露のうき身の.おきどころ。
シテ「誰に問わまし旅のみち。
今日の名古屋は、過ごしやすい秋晴れの一日でした。
謡の稽古は、『柏崎』の3回目ですが、前回に引き続き名古屋金春会まで稽古日があまりないので、今日は地謡の部分が中心の稽古でした。
今日の場面は、柏崎某の妻が我が子花若と信濃国善光寺で再開する最後の場面まででした。
ワキツレ「いかにこれなる狂女。ここは内陣なり。
しかも女人の身として叶うまじとうとういで候らへ。
シテ「女人の身とうけたまわるは謂れなや。
極重悪人無他方便。唯称弥陀得生極楽とこそ承れ。
ワキツレ「これは不思議の物狂いかな。
そもさようの事をば誰が教えけるぞ。
シテ「教えはもとより弥陀ほとけの。御誓いにてあらざるや。
唯心の浄土と聞く時は。この善光寺の如来堂の。
内陣こそは極楽の。九品上生の台なるに。
女人は参るまじきとのご制戒とはそもされば。
如来の仰せありけるか。よし人びとは何ともおせあれ。
声こそしるべ.南無阿弥陀佛。
地謡「たのもしや。たのもしや。
シテ「釈迦はやり。
地謡「弥陀は導くひと道に。ここを去ること遠からず。
これぞ西方極楽の。上品上生の。
内陣にいざやまいらん。光明遍照十方の。
誓いぞしるきこの寺の。常のともしび影たのむ。
夜念佛いざや申さん。夜念佛いざや.申さん。
子方「これなる物狂いをよくよく見候えば。
柏崎の母にて御入り候。人目の隙をはからいて。
名のらばやと思い候。
シテ「のうのう如来へ参らせ物の候。
この烏帽子ひたたれは夫の形見にて候らへども。
形見こそ今はあたなれこれなくはと。
詠みしも思い知られたり。これを如来に参らせて。
夫の後生善所を。祈らばやと思い候。
〔物着〕
あらいとおしやこの烏帽子ひたたれの主は。
わが夫ながら何事につけても愚かならず。
弓は三物とやらんを射そろえ。歌連歌の道もたりぬるうえ。
また酒もりなんどの遊びには。
いで殿ばらに乱舞まうて見せんとて。
よろいびたたれ取りいでて。衣紋うつくしう着ないて。
へんぬり取ってうちかけ。手拍子人に囃させて。
扇おっとり。なるは瀧の水。
地謡「それ一念称名の声のうちには。攝取の光明をまち。
聖衆来迎の雲の上には。
シテ「九品蓮台の。花散りて。
地謡「異香みちみちて。人に薫じ。白虹地にみちて。つらなれり。
シテ「つらつら世間の幻相を観ずるに。
飛花落葉の風の前には有為の転変を悟り。
地謡「電光石火のかげのうちには。生死の去来を見ること。
はじめて驚くべきにはあらねども。
シテ「いく夜の夢とまとわれし。
地謡「かりの親子の今をだに。そいはてもせぬ道芝の。
露のうき身の.おきどころ。
シテ「誰に問わまし旅のみち。