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夏目漱石には7人の子どもがいました。

漱石が、『永日小品』を朝日新聞に連載していたのは、明治42(1909)年の1月から3月にかけてです。
そのとき、漱石には4人の娘2人の息子がいました。
6人の子ども達は、
 長女筆子:明治32(1899)年5月生まれ
 次女恒子:明治34(1901)年1月生まれ
 三女栄子:明治36(1903)年10月生まれ
 四女愛子:明治38(1905)年12月生まれ
 長男純一:明治40(1907))年6月生まれ
 次男伸六:明治41(1908)年12月生まれ  です。

今日、紹介する短編が「行列」で仮装行列のような遊びをしているのは、4人の女の子たちでしょう。長男は2歳ですし、次男は生まれたばかりなので、この遊びは無理だと思われます。
この作品は、『永日小品』の19番目の短編です。


永日小品・行列』(夏目漱石)


 ふと机から眼を上げて、入口の方を見ると、書斎の戸がいつの間か、半分明いて、広い廊下が二尺ばかり見える。廊下の尽きる所は唐めいた手摺に遮られて、上には硝子戸が立て切ってある。青い空から、まともに落ちて来る日が、軒端を斜に、硝子を通して、縁側の手前だけを明るく色づけて、書斎の戸口までぱっと暖かに射した。しばらく日の照る所を見つめていると、眼の底に陽炎が湧いたように、春の思いが饒かになる。
 その時この二尺あまりの隙間に、空を踏んで、手摺の高さほどのものがあらわれた。赤に白く唐草を浮き織りにした絹紐(リボン)を輪に結んで、額から髪の上へすぽりと嵌めた間に、海棠と思われる花を青い葉ごと、ぐるりと挿した。黒髪の地に薄紅の莟が大きな雫のごとくはっきり見えた。割合に詰った顎の真下から、一襞になって、ただ一枚の紫が縁までふわふわと動いている。袖も手も足も見えない。影は廊下に落ちた日を、するりと抜けるように通った。後から、――




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【ご指摘ありがとうございます】
“ぴーなっつ”さんから、次のような指摘をいただきました。

行列を創っているのは5人だと思うのですが、いかかでしょうか?
(1)紫の布をまとっている子と(2)真紅の羽織をかぶっている子と(3)弁慶姿の子と(4)真っ白な顔の子と(5)五色の冠をかぶっている子です。


読み直してみると、ご指摘いただいたとおりで、5人の子どもが登場しています。
昨年、どうして4人と思ったのかは、今となってはわかりませんが、本日(2009年3月22日)の日記で訂正させていただきました。→ http://kinkun.blog87.fc2.com/blog-entry-642.html
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