FC2ブログ
2020 / 05
≪ 2020 / 04   - - - - - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 - - - - - -  2020 / 06 ≫

大正時代はエジプトたばこを吸うのが、

ステータスシンボルだったようです。(「エジプトたばこはエリートの証明」:JTのサイトから)
主人公の大学生の本間の吸っている『M・C・C』も明治から大正にかけて輸入されていたエジプ製の紙巻たばこです。
濃い煙が疎な鬚をかすめて、埃及(エジプト)の匂をぷんとさせる』とありますので、老紳士の吸っているパイプのたばこもエジプト製のようです。
ただ、当時、日本からたばこの葉をエジプトに輸出していたようなので、このエジプトたばこの原料はもしかすると日本製だったのかもしれません。(「エジプトたばこはエリートの証明」:JTのサイトから)

今日は、昨日に続き、芥川龍之介の短編『西郷隆盛』を紹介します。
老紳士は、西郷隆盛生存説を主張し始めます。
この西郷隆盛生存説は、西郷の死後すぐに世に流布され始め、明治20年代には新聞などにも取り上げられるほどになったとのことです。
しかし、さすがに大正に入ってからは、そういうこともなくなっていたので、本間は、『ただ、義経と鉄木真(テムジン)とを同一人にしたり、秀吉を御落胤にしたりする、無邪気な田舎翁の一人だったのである』と思います。


西郷隆盛』〔2〕(芥川龍之介)

「しかし私には、それほど特に警戒する必要があるとは思われませんが――あなたはどう云う理由で、そうお考えなのですか。」
「理由? 理由はないが、事実がある。僕はただ西南戦争の史料を一々綿密に調べて見た。そうしてその中から、多くの誤伝を発見した。それだけです。が、それだけでも、十分そう云われはしないですか。」
「それは勿論、そう云われます。では一つ、その御発見になった事実を伺いたいものですね。私なぞにも大いに参考になりそうですから。」
 老紳士はパイプを銜えたまま、しばらく口を噤んだ。そうして眼を硝子窓の外へやりながら、妙にちょいと顔をしかめた。その眼の前を横ぎって、数人の旅客の佇んでいる停車場が、くら暗と雨との中をうす明く飛びすぎる。本間さんは向うの気色を窺いながら、腹の中でざまを見ろと呟きたくなった。
「政治上の差障りさえなければ、僕も喜んで話しますが――万一秘密の洩れた事が、山県公にでも知れて見給え。それこそ僕一人の迷惑ではありませんからね。」




read more▼


この記事へコメントする















kinkun

Author:kinkun
名古屋春栄会のホームページの管理人

04 | 2020/05 | 06
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -