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今日は、昨日の岩崎という人の話の続きです。

漱石に『私がこんな人に出会ったのは生れて始めてである』とまで言わしめた『播州の坂越にいる岩崎という人』の話の続きです
偏執狂的ともいえる岩崎という人に対し、漱石の苛立ちは募り、感情が『この男に対してしだいに荒んで来』て、『しまいにはとうとう自分を忘れるように』なってしまいます。
そして、自分の取った行為に対し、『こんな非紳士的な挨拶をしなければならないような穴の中へ、私を追い込んだのは、この坂越の男であると思』い、『こんな男のために、品格にもせよ人格にもせよ、幾分の堕落を忍ばなければならないのかと考えると情な』くなります。

この感情は、しつこい電話によるセールスを断るときに、普段は決して口にしないようなことを言って断ったり、問答無用で電話を切ったりしたときに感じる嫌な思いに似ている気がします。
こうした人の感情に土足で入り込んでくるような人には、どのように接すれば良いのでしょうか。
私の場合、そのような人を軽蔑しながらも、尋常なやり方では拒否できず、結果として自分も同じレベルまで下がってしまったような気がして、やりきれなくなります。


硝子戸の中』(夏目漱石)

十三

 私はこれで一段落ついたものと思って、例の坂越の男の事を、それぎり念頭に置かなかった。するとその男がまた短冊を封じて寄こした。そうして今度は義士に関係のある句を書いてくれというのである。私はそのうち書こうと云ってやった。しかしなかなか書く機会が来なかったので、ついそのままになってしまった。けれども執濃いこの男の方ではけっしてそのままに済ます気はなかったものと見えて、むやみに催促を始め出した。その催促は一週に一遍か、二週に一遍の割できっと来た。それが必ず端書に限っていて、その書き出しには、必ず「拝啓失敬申し候えども」とあるにきまっていた。私はその人の端書を見るのがだんだん不愉快になって来た。



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kinkun

Author:kinkun
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