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今日の名古屋は、朝のうちは昨日からの雨が

降っていましたが、昼過ぎから雨もやみ、ときおり日がさし、比較的暖かでした。
今日は、樋口一葉の「大つごもり」の後半を紹介します。

お峰は、ご新造に頼み込み、あいまいながら良い返事をもらったと思っていました。そのまま、大晦日になってしまい、やきもきしたお峰が改めて頼むと、放蕩息子の先妻の生んだ長男石之助が帰ってきて大金の無心をするので、不機嫌になったためか、冷たく断ります。
言ふ事もいふ事、金は敵藥ぞかし、現在うけ合ひしは我れに覺えあれど何の夫れを厭ふ事かは、大方お前が聞ちがへと立きりて、烟草輪にふき私は知らぬと濟しけり。
そのうち、三之助が訪ねて来てしまい、お峰は引き出しから2円を盗んで渡してしまいます。
一方、大金を要求する石之助に、主人も困り果て、嫁入り前の妹たちのために、悪い風聞が立たないように、要求どおりお金を渡すと、石之助はさっさと帰っていきます。
その後、大勘定として、家にある金を封印することになり、お峰は2円を盗んだことが露見しそうになり、お峰は許してもらえなければ、舌を噛んで死のうとまで思いつめます。
それほど度胸すわれど奧の間へ行く心は屠處の羊なり。
ところが、引出しを開けると、1円も無く、代わりに「(引出しの分も拜借致し候        石之助)」という紙があるだけでした。お峰の盗みは、石之助の悪事に隠れ、露見しませんでした。

石之助お峰が伯父一家のことで困っていることを知っていたのでしょうか。一葉は、何も説明しません。
作者である一葉の言葉が現れるのは、お峰が2円を盗み、三之助に渡す場面の後の「見し人なしと思へるは愚かや。」と最後の「後の事しりたや。」のみです。


大つごもり』(樋口一葉)





 石之助とて山村の總領息子、母の違ふに父親の愛も薄く、これを養子に出して家督は妹娘の中にとの相談、十年の昔より耳に挾みて面白からず、今の世に勘當のならぬこそをかしけれ、思ひのまゝに遊びて母が泣きをと父親の事は忘れて、十五の春より不了簡をはじめぬ、男振にがみありて利發らしき眼ざし、色は黒けれど好き樣子とて四隣の娘どもが風説も聞えけれど、唯亂暴一途に品川へも足は向くれど騷ぎは其座限り、夜中に車を飛ばして車町の破落戸がもとをたゝき起し、それ酒かへ肴と、紙入れの底をはたき無理を徹すが道樂なりけり、到底これに相續は石油藏へ火を入れるやうな物、身代烟りと成りて消え殘る我等何とせん、あとの兄弟も不憫と母親、父に讒言の絶間なく、さりとて此放蕩子を養子にと申受る人此世にはあるまじ、とかくは有金の何ほどを分けて、若隱居の別戸籍にと内々の相談は極まりたれど、本人うわの空に聞流して手に乘らず、分配金は一萬、隱居扶持月々おこして、遊興に關を据ゑず、父上なくならば親代りの我れ、兄上と捧げて竈の神の松一本も我が託宣を聞く心ならば、いかにもいかにも別戸の御主人に成りて、此家の爲には働かぬが勝手、それ宜しくば仰せの通りになりましよと、何うでも嫌やがらせを言ひて困らせける。去歳にくらべて長屋もふゑたり、所得は倍にと世間の口より我が家の樣子を知りて、をかしやをかしや、其やうに延ばして誰が物にする氣ぞ、火事は燈明皿よりも出る物ぞかし、總領と名のる火の玉がころがるとは知らぬか、やがて卷きあげて貴樣たちに好き正月をさせるぞと、伊皿子あたりの貧乏人を喜ばして、大晦日を當てに大呑みの場處もさだめぬ。




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kinkun

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