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往来の人々の発言は、意外と現代的

昨日に引き続き、芥川龍之介の「往生絵巻」を紹介します。
往生絵巻」は、昨日、紹介した前半五位の入道を見る往来の人々の様子を描き、今日、紹介する後半では老法師五位の入道との会話が中心となっています。

前半で気付くのは、往来の人々の会話が意外と現代的な点です。
例えば、
 薪売の翁 ははあ、――では気違ひだな。
 箔打の男 まあ、そんな事だらうよ。
 菜売の媼 いやいや、難有い御上人かも知れぬ。
        私は今の間に拝んで置かう。

という箇所や、
 鋳物師 しかし妻子を捨ててまでも、仏門に入らうとなすつたのは、
      近頃健気な御志だ。
 干魚を売る女 何の健気な事がありますものか?
          捨てられた妻子の身になれば、弥陀仏でも女でも、
          男を取つたものには怨みがありますわね。
 青侍 いや、大きにこれも一理窟だ。ははははは。

という箇所など、言葉遣いはともかく現代の小説でも通る視点での会話です。


後半の老法師五位の入道との会話で一番印象に残るのは、出家の理由を尋ねた老法師に答える五位の入道の言葉です。

身共はその時体中の血が、一度に燃え立つたかと思ふ程、急に阿弥陀仏が恋しうなつた。……………


発心の瞬間はこういうものなのかもしれないと思いました。


「往生絵巻」 (芥川龍之介) (後半)



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kinkun

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名古屋春栄会のホームページの管理人

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