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「劇場の迷子」を読みました。

「劇場の迷子 中村雅楽探偵全集4」(戸板康二著、創元推理文庫、1470円、2007年9月28日発売)を今日、読了しました。

この本も、これまでの2巻と同様に600ページを超える厚さで676ページ。今回は、通勤の地下鉄で座れなかったときは、別の薄い新書を読んでいました。そのため、2冊、かばんに入れることになり、かばんが重くなりました。

話は、このれまでの3作より、年月が流れたため、中村雅楽は歌舞伎役者を完全に引退しています。しかし、その雅楽のところに懇意の新聞記者・竹野が不思議な事件を持ち込み、雅楽がその謎を解き明かすという基本パターンに変更はありません。
この巻でも、前作同様、表題作の「劇場の迷子」を始め殺人事件はまったく起こりません(雅楽が歴史上の謎を解き明かす「演劇史異聞」を除きます)。
雅楽の魅力的な語り口の推理としゃれたオチは健在です。
この巻の28編の中で、私が一番気に入ったのは、「祖母の秘密」です。
なかなかこうしたしゃれた終わりかたはできないと思います。
「ビールはまだありますか」と、夫人が襖の向うから声をかけた。「もう一本持って来ておくれ」と雅楽は返事したが、チラリと私を見て小声でいった。「あの子のいるあいだ、お茶も出さなかったくせに。まだ、焼き餅を焼くんだからね。ばアさんも、すてたものじゃない」

前回、気になったこととしていた、雅楽の結婚した年ですが、「祖母の秘密」で、『大正九年に千鶴子という女性と結婚。新橋小峯家と書いてある、花柳界の出身なのである』とあります。
この記述が正しいとすると、雅楽は大正9年に結婚したことになります。したがって、前作「目黒の狂女」収録の、「砂浜と少年」で、大正15年の夏に妻女と葉山に保養に出かけているというのは正しいことになります。
それでは、おなじく「目黒の狂女」収録の「むかしの写真」で、雅楽昭和3年の秋に結婚したと言っているのは再婚なのでしょうか。とすると、「祖母の秘密」で焼き餅を焼いているのは2度目の奥さんということになります。
あるいは、「祖母の秘密」では、『大正九年に千鶴子という女性と結婚。新橋小峯家と書いてある、花柳界の出身なのである』という記述は、『俳優細見』、『大正歌舞伎役者節用』という歌舞伎俳優名鑑からの引用となっているので、その名鑑の記述が誤りなのでしょうか。

この巻の全体の文章は、発表年が1977年から1991年なので、文章の古めかしさは全く感じられません。

短編はこれで全て収録されました。長編2編を収録する最後の1冊が楽しみです。




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kinkun

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