fc2ブログ
2024 / 02
≪ 2024 / 01   - - - - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 - -  2024 / 03 ≫

『六の宮の姫君』といえば、芥川龍之介の

はずなのに、検索エンジンで『六の宮の姫君』を検索すると圧倒的に北村薫の『六の宮の姫君』が検索されます。
こちらは、「円紫師匠と私」シリーズ第4作で、芥川龍之介の『六の宮の姫君』の謎を探るという書誌学ミステリ。


芥川の『六の宮の姫君』は、中級貴族の娘が主人公です。
姫君の父は「古い宮腹」ということですし、「官も兵部大輔より昇らなかつた」ということなので、中級貴族といって良いと思います。
兵部大輔は、兵部省の長官である兵部卿の次ぐ、次官級の役職で正五位下相当です。


『六の宮の姫君』(芥川龍之介)



六の宮の姫君の父は、古い宮腹の生れだつた。
が、時勢にも遅れ勝ちな、昔気質の人だつたから、官も兵部大輔より昇らなかつた。
姫君はさう云ふ父母と一しよに、六の宮のほとりにある、木高い屋形に住まつてゐた。
六の宮の姫君と云ふのは、その土地の名前に拠つたのだつた。

父母は姫君を寵愛した。
しかしやはり昔風に、進んでは誰にもめあはせなかつた。
誰か云ひ寄る人があればと、心待ちに待つばかりだつた。
姫君も父母の教へ通り、つつましい朝夕を送つてゐた。
それは悲しみも知らないと同時に、喜びも知らない生涯だつた。
が、世間見ずの姫君は、格別不満も感じなかつた。
「父母さへ達者でゐてくれれば好い。」――姫君はさう思つてゐた。




read more▼


この記事へコメントする















kinkun

Author:kinkun
名古屋春栄会のホームページの管理人

01 | 2024/02 | 03
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 - -