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『六の宮の姫君』といえば、芥川龍之介の

はずなのに、検索エンジンで『六の宮の姫君』を検索すると圧倒的に北村薫の『六の宮の姫君』が検索されます。
こちらは、「円紫師匠と私」シリーズ第4作で、芥川龍之介の『六の宮の姫君』の謎を探るという書誌学ミステリ。


芥川の『六の宮の姫君』は、中級貴族の娘が主人公です。
姫君の父は「古い宮腹」ということですし、「官も兵部大輔より昇らなかつた」ということなので、中級貴族といって良いと思います。
兵部大輔は、兵部省の長官である兵部卿の次ぐ、次官級の役職で正五位下相当です。


『六の宮の姫君』(芥川龍之介)



六の宮の姫君の父は、古い宮腹の生れだつた。
が、時勢にも遅れ勝ちな、昔気質の人だつたから、官も兵部大輔より昇らなかつた。
姫君はさう云ふ父母と一しよに、六の宮のほとりにある、木高い屋形に住まつてゐた。
六の宮の姫君と云ふのは、その土地の名前に拠つたのだつた。

父母は姫君を寵愛した。
しかしやはり昔風に、進んでは誰にもめあはせなかつた。
誰か云ひ寄る人があればと、心待ちに待つばかりだつた。
姫君も父母の教へ通り、つつましい朝夕を送つてゐた。
それは悲しみも知らないと同時に、喜びも知らない生涯だつた。
が、世間見ずの姫君は、格別不満も感じなかつた。
「父母さへ達者でゐてくれれば好い。」――姫君はさう思つてゐた。




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kinkun

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