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店頭にみかんが並ぶ季節になりました。

近くのスーパーの果物売り場にもみかんが並んでいます。
名古屋では和歌山産や三重県産が多いようです。
みかんを見ると芥川龍之介の短編『蜜柑』を思い出します。
この短編は、雑誌「新潮」に大正8(1919)年5月に掲載されました。
芥川龍之介大正5(1916)年12月から大正8(1919)年3月まで、横須賀海軍機関学校の教師をしていましたので、芥川が実際に見かけたことを小説にしたのではないかとも言われています。

この無駄を削ぎ落とした文章は、私の理想とする文章の一つです。

『蜜柑』(芥川龍之介) 〔前〕

或曇つた冬の日暮である。
私は横須賀発上り二等客車の隅に腰を下して、ぼんやり発車の笛を待つてゐた。
とうに電燈のついた客車の中には、珍らしく私の外に一人も乗客はゐなかつた。
外を覗くと、うす暗いプラツトフオオムにも、今日は珍しく見送りの人影さへ跡を絶つて、唯、檻に入れられた小犬が一匹、時々悲しさうに、吠え立ててゐた。
これらはその時の私の心もちと、不思議な位似つかはしい景色だつた。
私の頭の中には云ひやうのない疲労と倦怠とが、まるで雪曇りの空のやうなどんよりした影を落してゐた。
私は外套のポツケツトへぢつと両手をつつこんだ儘、そこにはいつてゐる夕刊を出して見ようと云ふ元気さへ起らなかつた。




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kinkun

Author:kinkun
名古屋春栄会のホームページの管理人

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