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6人目は真砂

真砂は夫の金沢武弘小刀で殺したと打ち明けます。
真砂の話では、小刀真砂の前に落ちていたことが、真砂が夫を殺害するにいたったきっかけだと考えられます。
『しかし幸い小刀だけは、わたしの足もとに落ちているのです。』
小刀はいつ落ちたのでしょうか。
多襄丸の話では、真砂を襲ったときに、小刀真砂の手から叩き落としたことになっています。
『が、わたしも多襄丸ですから、どうにかこうにか太刀も抜かずに、とうとう小刀を打ち落しました。』

黒澤明監督の映画『羅生門』では、京マチ子真砂の役を演じています。さんはこの映画の関係者の中で数少ない存命の方の一人です。


『藪の中』(芥川龍之介)

清水寺に来れる女の懺悔

――その紺の水干を着た男は、わたしを手ごめにしてしまうと、
縛られた夫を眺めながら、嘲るように笑いました。
夫はどんなに無念だったでしょう。
が、いくら身悶えをしても、体中にかかった縄目は、一層ひしひしと食い入るだけです。
わたしは思わず夫の側へ、転ぶように走り寄りました。
いえ、走り寄ろうとしたのです。
しかし男は咄嗟の間に、わたしをそこへ蹴倒しました。
ちょうどその途端です。
わたしは夫の眼の中に、何とも云いようのない輝きが、宿っているのを覚りました。
何とも云いようのない、――わたしはあの眼を思い出すと、今でも身震いが出ずにはいられません。
口さえ一言も利けない夫は、その刹那の眼の中に、一切の心を伝えたのです。
しかしそこに閃いていたのは、怒りでもなければ悲しみでもない、
――ただわたしを蔑んだ、冷たい光だったではありませんか?
わたしは男に蹴られたよりも、その眼の色に打たれたように、
我知らず何か叫んだぎり、とうとう気を失ってしまいました。



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kinkun

Author:kinkun
名古屋春栄会のホームページの管理人

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