上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。
2018 / 04
≪ 2018 / 03   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 - - - - -  2018 / 05 ≫

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


近代人に奇跡は起こるか?

今日は、芥川龍之介の『南京の基督』を紹介する3回目です。

この作品をファンタジーではなくしているのは、この“”です。
”では、作者自身の投影とも言える“若い日本の旅行家”が再び登場します。


南京の基督』(芥川龍之介)〔3〕



 翌年の春の或夜、宋金花を訪れた、若い日本の旅行家は再うす暗いランプの下に、彼女と卓を挾んでゐた。
「まだ十字架がかけてあるぢやないか。」
 その夜彼が何かの拍子に、ひやかすやうにかういふと、金花は急に真面目になつて、一夜南京に降つた基督が、彼女の病を癒したと云ふ、不思議な話を聞かせ始めた。
 その話を聞きながら、若い日本の旅行家は、こんな事を独り考へてゐた。――
「おれはその外国人を知つてゐる。あいつは日本人と亜米利加〔アメリカ〕人との混血児だ。名前は確か George Murry とか云つたつけ。あいつはおれの知り合ひの路透〔ロイテル〕電報局の通信員に、基督教を信じてゐる、南京の私窩子を一晩買つて、その女がすやすや眠つてゐる間に、そつと逃げて来たと云ふ話を得意らしく話したさうだ。おれがこの前に来た時には、丁度あいつもおれと同じ上海のホテルに泊つてゐたから、顔だけは今でも覚えてゐる。何でもやはり英字新聞の通信員だと称してゐたが、男振りに似合はない、人の悪るさうな人間だつた。あいつがその後悪性な梅毒から、とうとう発狂してしまつたのは、事によるとこの女の病気が伝染したのかも知れない。しかしこの女は今になつても、ああ云ふ無頼な混血児を耶蘇基督だと思つてゐる。おれは一体この女の為に、蒙を啓いてやるべきであらうか。それとも黙つて永久に、昔の西洋の伝説のやうな夢を見させて置くべきだらうか……」
 金花の話が終つた時、彼は思ひ出したやうに燐寸を擦つて、匂の高い葉巻をふかし出した。さうしてわざと熱心さうに、こんな窮した質問をした。
「さうかい。それは不思議だな。だが、――だがお前は、その後一度も煩はないかい。」
「ええ、一度も。」
 金花は西瓜の種を噛りながら、暗れ晴れと顔を輝かせて、少しもためらはずに返事をした。


本篇を草するに当り、谷崎潤一郎氏作「秦淮の一夜」に負ふ所尠からず。附記して感謝の意を表す。



宋金花から話を聞いた“若い日本の旅行家”は、知人から聞いた混血児の話を思い出します。
そして、宋金花に真実を知らせるか迷います。

結局、宋金花の身に起きた奇跡は、単なる錯覚ということになります。
でも、この錯覚はどうして起きたのでしょうか。
彼女の楊梅瘡が消えたのは、彼女の梅毒が、第2期と第3期の間にある潜伏期、中でも外見上の症状が全くなくなる後期潜伏期に入ったためと解釈できます。
彼女がキリストに似た男と一夜を共にした次の日に、偶然にも彼女の病状が後期潜伏期に入ったのでしょう。

結局、彼は真実をに話したのでしょうか、あるいは宋金花話さなかったのでしょうか。

まず、彼がこの真実を宋金花に伝えなかった場合どうなるでしょうか。
彼女は治ったと信じているのですから、病状が進み第3期に入って症状が現れても、再び感染したのだと思い、再度キリストに出会って愛を交わすことを求めるでしょう。

一方、彼がこの真実を彼女に伝えた場合はどうなるでしょうか。
やはり、宋金花は、彼の話を信じないでしょう。
その話を信じることは、彼女の信仰を捨てることになるからです。
そして、やはり病気が進んで第3期に入って症状が現れても、再び感染したのだと信じ、再度キリストに出会って愛を交わすことを求めるでしょう。

私には、彼がどちらを選んでも結果は同じように思えます。
そして、このことが導き出す“結局、理性は純粋なる信仰には勝てない”ということが、芥川がこの作品で言いたかったことのように思えます。
純粋な信仰を失ってしまった近代人に奇跡は起こらないのです。



【奇跡】
病気・・・ほとんどはストレスが誘因ということが現代にいたっていよいよ明白になってきましたね。
私の周辺は、お祖母さんばかり。
未亡人や、少々我儘で自己中心的なおババさんほど、元気で若々しい。
夫に我慢が、一番、主婦の病を呼ぶようです(^^ゞ
精神的平安は信仰から得ます・・それならば、奇跡も起こりうるかも・・・

【Re: 奇跡】
草笛さん、おはようございます。

いつもコメントありがとうございます。

そうですね。ストレスフリーが一番なんでしょうね。
以前、妻にとっての最大のストレスは夫という話を聞いたことがあります。
だから、未亡人は長生きするけど、妻を失った男性は長生きしないと…。

男性にとっては、微妙な見解ですが………。

この記事へコメントする















kinkun

Author:kinkun
名古屋春栄会のホームページの管理人

03 | 2018/04 | 05
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。