2011/09/06 22:58:04
さまざまな動物たちに出会いました。
先月の京都日帰り旅行(2011年8月26日の日記参照)で、特別展観「百獣の楽園-美術にすむ動物たち-」〔2011年7月16日(土)~8月28日(日)〕が開催中の京都国立博物館を訪ねました。
※京都国立博物館の公式サイトの特別展観「百獣の楽園-美術にすむ動物たち-」のページ:http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/110716/index.html

[2011年8月26日(金)撮影]
この展覧会は、ゾウやラクダなどの大型哺乳類、かわいらしいイヌ・ネコ・ウサギといった愛玩動物、擬人化されたキツネやタヌキ、色鮮やかな鳥たち、ユーモラスなカエル、虫や魚、龍を始めとする迫力の霊獣などを、縄文時代から現代にいたる京都国立博物館の12,000件を超える収蔵品の中から、選りすぐりの名品で紹介する初の動物を特集した展覧会だそうです。
第1室
展示は、体の大きな人気もの、象や駱駝から始まっていました。
また、同じく体の大きな動物の、猪、羊、牛も展示されていました。
ここでは、猿書きの名手といわれる森狙仙筆の猪がかわいい「雪中三獣図襖」と仙人の黄初が石を羊に変えたところを描いた雪舟等楊筆の重要文化財「倣梁楷黄初平図」が印象に残りました。
「倣梁楷黄初平図」の仙人は、どこかかわいい感じですし、羊は山羊のようです。
また、牛ではなく水牛が描かれている「閻魔天曼荼羅」や、たらし込みが見事な俵谷宗達筆「牛図」も展示されていました。
第2室
猿の展示でした。
ここでは、猿蟹合戦が題材なのか刷毛目使った意地悪そうな猿の毛の描写と、筋目描きによる蟹の水気を感じさせる描写の描きわけが絶妙な伊藤若冲筆の「猿蟹図」と、子猿を叱る親猿の様子が巧みに描かれている森狙仙筆の「猿図絵馬」が印象に残りました。
※「猿図絵馬」:http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/110716/sakuhin_img/picture02_1_2.jpg(京都国立博物館のサイトから)
第3室
犬、猫、栗鼠、兎の展示でした。
犬では目が不気味な伊藤若冲筆の「百犬図」が、猫ではユーモラスだが怖い化け猫を描いた河鍋暁斎筆の「惺々狂斎画帖」が、兎では写実的な京焼の仁阿弥道八作の「飴釉双兎炉蓋」が印象に残りました。
また、子だくさんの栗鼠は、子孫繁栄、安産、幸福のシンボルとなったので、同じように実がたくさんできる葡萄や柘榴と共に描かれることが多かったそうです。
スローモーションを見るような栗鼠の動きが巧みな松田筆の重要文化財「柘榴木鼠図」が目を引きました。
第4室
小さな虫の展示でした。
中国で虫に分類されている虫偏の蛙、蜥蜴、蠍などもここで展示されていました。
ここでは、蚤を一匹だけ描いた構図がユニークな「蚤図扇面」と、空間の使い方が絶妙で、朝顔のつるを見上げる蛙のとぼけた表情がいい「朝顔に蛙図襖」という長沢芦雪筆の2点が印象に残りました。
第5室
馬と鹿の展示でした。
馬は名馬が、鹿は秋の象徴としてよくい描かれたとのことです。
鹿と馬と水鳥が描かれた藤原伊行筆の国宝「芦手絵和漢朗詠抄」と古墳時代の「馬型埴輪」が並べて展示してあり、興味深かったです。
※「芦手絵和漢朗詠抄 二巻のうち巻上」:http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/110716/sakuhin_img/picture05_1_2.jpg(京都国立博物館のサイトから)
中央室
鳥の展示でした。
“花鳥”といわれるだけあり、多数の作品が展示されていました。
ここでは、鳥が足で虫を捕まえている瞬間が描かれている狩野元信筆の重要文化財「四季花鳥図」、近年発見されたという狩野永徳筆の「花鳥図押絵貼屏風」、精緻な描写が印象的な狩野派の「鳥類図巻」という狩野派の画家が描いた3点が目を引きました。
また、鶏の羽根の白黒のアラベスクが独特の伊藤若冲筆の「群鶏図障壁画」と、正面を向いた孔雀が描かれている重要文化財の「孔雀明王図」も秀逸でした。
鮮やかな色彩の99羽の鳥が描かれた友禅染の「百鳥文様打掛」も印象に残りました。
※「四季花鳥図」:http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/110716/sakuhin_img/picture05_2.jpg(京都国立博物館のサイトから)
第6室
虎、豹、ライオンという猛獣の展示でした。
虎の絵では、単庵智伝筆の重要文化財「虎図屏風 龍虎図屏風1双のうち」や尾形光琳筆の「竹虎図」など虎をユーモラスに描いたものが目立ちました。
ユーモラスと言えば、ぎょろりとした目とピンクの口が印象的な富岡鉄斎筆の「獅子図 鳥獣図12幅の内」も目を引きました。
ここでは、文殊菩薩をかわいい子どもに、文殊菩薩の乗る獅子を恐ろしく描くという対比が絶妙な鎌倉時代の作の重要文化財「文殊菩薩像」から、単純だけどシャープな造りで豹の精悍さを表現した現代美術の加藤宋厳作の「銀製豹」まで、時代を超えた造形美に出会うことができました。
第7室
擬人化された動物たちの展示でした。
狂言の「釣狐」と昔話の「分福茶釜」がモチーフの葛飾北斎筆の重要美術品「狐狸図」や、十二支の動物たちが宴会を開いている重要文化財「十二類絵巻 3巻のうち巻上」のように着物を着た動物たちが目を引きました。
※「十二類絵巻 三巻のうち巻上」:http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/110716/sakuhin_img/picture07_1.jpg(京都国立博物館のサイトから)
第8室
ここのテーマは大集合とのこと。
現在の西洋占星術の十二星座とほぼ同じ星座の描かれた重要文化財の「星曼荼羅」や、涅槃図など多彩な動物の描かれた作品が数多く展示されていました。
なお、京都の長福寺所蔵の重要文化財「仏涅槃図」には三毛猫が描かれていますが、これは猫が描かれた日本最古の涅槃図だそうです。
また、黄色の付箋に名前が描かれている動植物図巻のような「花卉鳥獣図巻」も印象的でした。
なお、鳥の絵は国井応文筆、獣の絵は望月玉泉筆とのことです。
※「花卉鳥獣図巻」:http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/110716/sakuhin_img/picture08_2.jpg(京都国立博物館のサイトから)
第9室
鯉、鯰、蝦、蛸などの魚介類と、かつて魚介類に分類されていた蛇と亀の展示でした。
ここでは、動物造形としては日本最古とされる蝮の装飾のある「蛇形装飾付土器」と、左に鯰が、右に謎の魚が描かれている等本筆の「藻魚図」が印象に残りました。
第10室
龍や麒麟、鳳凰などの霊獣の展示でした。
ここでは、昇龍と降龍を描いた二幅の張徳輝筆の「雲龍図」と上目遣いがユーモラスな富岡鉄斎筆の「龍図 鳥獣図12幅のうち」が目を引きました。
なお、「雲龍図」は、今は左に昇龍、右に降龍ですが、元々は降龍が上、昇龍が下で、天空の母龍が海中の子龍を招く構図だったそうです。

[2011年8月26日(金)撮影]
京都駅から京都市美術館へ向かうバスの車窓で見た看板で開催を知り、急遽出かけることにした展覧会でしたが、想像した以上に充実した内容でした。
芸術家の時代を超えた動物を見るまなざしを感じることのできる展覧会でした。
先月の京都日帰り旅行(2011年8月26日の日記参照)で、特別展観「百獣の楽園-美術にすむ動物たち-」〔2011年7月16日(土)~8月28日(日)〕が開催中の京都国立博物館を訪ねました。
※京都国立博物館の公式サイトの特別展観「百獣の楽園-美術にすむ動物たち-」のページ:http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/110716/index.html

[2011年8月26日(金)撮影]
この展覧会は、ゾウやラクダなどの大型哺乳類、かわいらしいイヌ・ネコ・ウサギといった愛玩動物、擬人化されたキツネやタヌキ、色鮮やかな鳥たち、ユーモラスなカエル、虫や魚、龍を始めとする迫力の霊獣などを、縄文時代から現代にいたる京都国立博物館の12,000件を超える収蔵品の中から、選りすぐりの名品で紹介する初の動物を特集した展覧会だそうです。
第1室
展示は、体の大きな人気もの、象や駱駝から始まっていました。
また、同じく体の大きな動物の、猪、羊、牛も展示されていました。
ここでは、猿書きの名手といわれる森狙仙筆の猪がかわいい「雪中三獣図襖」と仙人の黄初が石を羊に変えたところを描いた雪舟等楊筆の重要文化財「倣梁楷黄初平図」が印象に残りました。
「倣梁楷黄初平図」の仙人は、どこかかわいい感じですし、羊は山羊のようです。
また、牛ではなく水牛が描かれている「閻魔天曼荼羅」や、たらし込みが見事な俵谷宗達筆「牛図」も展示されていました。
第2室
猿の展示でした。
ここでは、猿蟹合戦が題材なのか刷毛目使った意地悪そうな猿の毛の描写と、筋目描きによる蟹の水気を感じさせる描写の描きわけが絶妙な伊藤若冲筆の「猿蟹図」と、子猿を叱る親猿の様子が巧みに描かれている森狙仙筆の「猿図絵馬」が印象に残りました。
※「猿図絵馬」:http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/110716/sakuhin_img/picture02_1_2.jpg(京都国立博物館のサイトから)
第3室
犬、猫、栗鼠、兎の展示でした。
犬では目が不気味な伊藤若冲筆の「百犬図」が、猫ではユーモラスだが怖い化け猫を描いた河鍋暁斎筆の「惺々狂斎画帖」が、兎では写実的な京焼の仁阿弥道八作の「飴釉双兎炉蓋」が印象に残りました。
また、子だくさんの栗鼠は、子孫繁栄、安産、幸福のシンボルとなったので、同じように実がたくさんできる葡萄や柘榴と共に描かれることが多かったそうです。
スローモーションを見るような栗鼠の動きが巧みな松田筆の重要文化財「柘榴木鼠図」が目を引きました。
第4室
小さな虫の展示でした。
中国で虫に分類されている虫偏の蛙、蜥蜴、蠍などもここで展示されていました。
ここでは、蚤を一匹だけ描いた構図がユニークな「蚤図扇面」と、空間の使い方が絶妙で、朝顔のつるを見上げる蛙のとぼけた表情がいい「朝顔に蛙図襖」という長沢芦雪筆の2点が印象に残りました。
第5室
馬と鹿の展示でした。
馬は名馬が、鹿は秋の象徴としてよくい描かれたとのことです。
鹿と馬と水鳥が描かれた藤原伊行筆の国宝「芦手絵和漢朗詠抄」と古墳時代の「馬型埴輪」が並べて展示してあり、興味深かったです。
※「芦手絵和漢朗詠抄 二巻のうち巻上」:http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/110716/sakuhin_img/picture05_1_2.jpg(京都国立博物館のサイトから)
中央室
鳥の展示でした。
“花鳥”といわれるだけあり、多数の作品が展示されていました。
ここでは、鳥が足で虫を捕まえている瞬間が描かれている狩野元信筆の重要文化財「四季花鳥図」、近年発見されたという狩野永徳筆の「花鳥図押絵貼屏風」、精緻な描写が印象的な狩野派の「鳥類図巻」という狩野派の画家が描いた3点が目を引きました。
また、鶏の羽根の白黒のアラベスクが独特の伊藤若冲筆の「群鶏図障壁画」と、正面を向いた孔雀が描かれている重要文化財の「孔雀明王図」も秀逸でした。
鮮やかな色彩の99羽の鳥が描かれた友禅染の「百鳥文様打掛」も印象に残りました。
※「四季花鳥図」:http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/110716/sakuhin_img/picture05_2.jpg(京都国立博物館のサイトから)
第6室
虎、豹、ライオンという猛獣の展示でした。
虎の絵では、単庵智伝筆の重要文化財「虎図屏風 龍虎図屏風1双のうち」や尾形光琳筆の「竹虎図」など虎をユーモラスに描いたものが目立ちました。
ユーモラスと言えば、ぎょろりとした目とピンクの口が印象的な富岡鉄斎筆の「獅子図 鳥獣図12幅の内」も目を引きました。
ここでは、文殊菩薩をかわいい子どもに、文殊菩薩の乗る獅子を恐ろしく描くという対比が絶妙な鎌倉時代の作の重要文化財「文殊菩薩像」から、単純だけどシャープな造りで豹の精悍さを表現した現代美術の加藤宋厳作の「銀製豹」まで、時代を超えた造形美に出会うことができました。
第7室
擬人化された動物たちの展示でした。
狂言の「釣狐」と昔話の「分福茶釜」がモチーフの葛飾北斎筆の重要美術品「狐狸図」や、十二支の動物たちが宴会を開いている重要文化財「十二類絵巻 3巻のうち巻上」のように着物を着た動物たちが目を引きました。
※「十二類絵巻 三巻のうち巻上」:http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/110716/sakuhin_img/picture07_1.jpg(京都国立博物館のサイトから)
第8室
ここのテーマは大集合とのこと。
現在の西洋占星術の十二星座とほぼ同じ星座の描かれた重要文化財の「星曼荼羅」や、涅槃図など多彩な動物の描かれた作品が数多く展示されていました。
なお、京都の長福寺所蔵の重要文化財「仏涅槃図」には三毛猫が描かれていますが、これは猫が描かれた日本最古の涅槃図だそうです。
また、黄色の付箋に名前が描かれている動植物図巻のような「花卉鳥獣図巻」も印象的でした。
なお、鳥の絵は国井応文筆、獣の絵は望月玉泉筆とのことです。
※「花卉鳥獣図巻」:http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/110716/sakuhin_img/picture08_2.jpg(京都国立博物館のサイトから)
第9室
鯉、鯰、蝦、蛸などの魚介類と、かつて魚介類に分類されていた蛇と亀の展示でした。
ここでは、動物造形としては日本最古とされる蝮の装飾のある「蛇形装飾付土器」と、左に鯰が、右に謎の魚が描かれている等本筆の「藻魚図」が印象に残りました。
第10室
龍や麒麟、鳳凰などの霊獣の展示でした。
ここでは、昇龍と降龍を描いた二幅の張徳輝筆の「雲龍図」と上目遣いがユーモラスな富岡鉄斎筆の「龍図 鳥獣図12幅のうち」が目を引きました。
なお、「雲龍図」は、今は左に昇龍、右に降龍ですが、元々は降龍が上、昇龍が下で、天空の母龍が海中の子龍を招く構図だったそうです。

[2011年8月26日(金)撮影]
京都駅から京都市美術館へ向かうバスの車窓で見た看板で開催を知り、急遽出かけることにした展覧会でしたが、想像した以上に充実した内容でした。
芸術家の時代を超えた動物を見るまなざしを感じることのできる展覧会でした。