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こちらも最終日でした。

昨日は名古屋市博物館の後(2011年8月28日の日記参照)に、名古屋ボストン美術館で開催中の「ジム・ダイン-主題と変奏:版画制作の半世紀」〔2011年4月23日(土)~8月28日(日)〕も見学しました。
ジム・ダインは、絵画、版画、彫刻、写真など多彩な活動で知られています。
この展覧会では、日本でもよく知られている“ハート”、“バスローブ”、“道具”などをモチーフにした作品から、近年に制作された“ピノキオ”をモチーフにした作品まで約150作品で、ジム・ダインの半世紀にわたる版画制作の軌跡をたどるものだそうです。
名古屋ボストン美術館の「ジム・ダイン-主題と変奏:版画制作の半世紀」のサイト:http://www.nagoya-boston.or.jp/jimdine/

名古屋ボストン美術館201108
[2011年8月28日(日)撮影]

初期から近年までの作品が、9章に分けて展示されていました。

1 初期の作品

ダイン版画家としてスタートした作品であるリトグラフによる連作「カー・クラッシュⅡ」などが展示されていました。
コラージュシルクスクリーンなどによる実験的な作品も展示されていました。
ここでは、楽しい感じのドライポイントの「くだけたネクタイ」、虹色がきれいなリトグラフコラージュによる「ドリアン・グレイの肖像:虹色のスカーフを巻くドリアン・グレイ」が印象に残りました。

2 道具

ダインは、金づち、刷毛などの身近な“道具”を好んで描いていますが、これは幼いころから祖父と父親が営んでいた金物店の作業場にあった工具類に魅力を感じていたからとのことです。
ここでは、単純な描き方なのに不思議な立体感が感じられる「大槌と斧」や、同じ画面にプライヤーをモノトーンでデッサン風のエッチングで、トマトを鮮やかな赤色で写実的にリトグラフで描いた「トマト」が印象に残りました。
また、同じ版で色をつけたものとそうでないものを並べて展示した「10の冬の道具」と「10の手彩色の冬の道具Ⅱ」や、同じ版を使いながら、刷毛の毛を伸ばしてもじゃもじゃした顎髭に見立てた「刷毛」と「黒いあごひげ」など、既成概念を超えたダインの独創性を感じさせる作品も展示されていました。
ここでの私のお気に入りは、4種類のクルミ割りを並べて描いた「くるみ割り」です。
3つ目には、道具として手が書いてあり、その洗練されたユーモアが感じられました。

3 ローブ

ダインは、“バスローブ”を自分の人生と重ね合わせるモチーフとして繰り返し描いています。
ここでは、ポスターやパンフレットにも使われている「赤いバスローブ」と「自画像:風景」と題した鮮やかなバスローブの作品が圧巻です。
※「赤いバスローブ」(左)、「自画像:風景」(右):http://www.nagoya-boston.or.jp/jimdine/image/im_exhibition_01.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)

ここでの私のお気に入りは、鮮やかな色遣いが印象的な「黄色の水彩」です。

4 自画像

ダインは、初期は“道具”や“バスローブ”を自分に見立てて自画像のように描いていましたが、途中から実際の自画像を描き始めます。
ここでも同じ版を使った黄色いチューリップ帽をかぶった「スキー帽を被った自画像(彩色)[第1ステート]」と黒いチューリップが画面全体を多い顔が全く見えなくなっている「スキー帽を被った自画像(チューリップに隠れて見えなくなった)[第4ステート]」が印象的でした。
※「スキー帽を被った自画像(彩色)[第1ステート]」:http://www.nagoya-boston.or.jp/jimdine/image/im_guide_28.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)

また、同じ版を使って9種類の作品を作ったシリーズのうち、「自画像」、「灰色の自画像」、「薄いファブリアーノ紙に手彩色された自画像」、「小さな黒と白の自画像」の4点が展示されていましたが、とてもユニークな試みだと感じました。

5 人物画

ここでは版を変容させていくダインの手法がよくわかる人物画が展示されていました。
男女2人を描いた「言葉以前の感情によって結びつく2人の肖像」の版を加工して作った男性2人を描いた「男たちと植物」が並べて展示してあり、その発想のユニークさを感じました。
また、だんだん花に覆われていって、最後は暗い花にほとんど隠れてしまう作品「屋外にいる7月のナンシーⅠ」、「屋外にいる7月のナンシーⅣ」、「屋外にいる7月のナンシーⅥ:聖地の花々」、「屋外にいる7月のナンシーⅨ:3月のパリ(チューリップ)」も並べて展示されており、面白かったです。
※「屋外にいる7月のナンシーⅠ」:http://www.nagoya-boston.or.jp/jimdine/image/im_guide_30.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)
※「屋外にいる7月のナンシーⅣ」:http://www.nagoya-boston.or.jp/jimdine/image/im_guide_31.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)
※「屋外にいる7月のナンシーⅥ:聖地の花々」:http://www.nagoya-boston.or.jp/jimdine/image/im_guide_32.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)
※「屋外にいる7月のナンシーⅨ:3月のパリ(チューリップ)」:http://www.nagoya-boston.or.jp/jimdine/image/im_guide_33.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)

また、版画手彩色を組み合わせた作品も展示されており、鉛筆でのスケッチのような「読書するナンシー」と同じ版の下部に刷毛と色の点を書き加えた「水彩の斑点」も並べて展示してあり、興味深かったです。

6 ハート

日本でのダインの印象は、“ハート”だと思います。
ここでは、陽気なハート、エロティックなハート、そして目がついたハートなど、さまざまに図案化されたハートの作品が展示されていました。
ここでの私のお気に入りは、立体的なハートの上部が女性の乳房のように見えてエロティックな「二つの奇妙なハート」と、赤いハートの中央に描かれた写実的な眼が不気味な「海の中の自分」です。

7 草花・樹木

ダインは、和紙を高く評価しているとのことで、ここではspan style="color:#339900">和紙を使った作品も何点か展示されていました。
ここでの私のお気に入りは、「アクアチントの嵐の中の松」です。
大画面のため、アクアチントを技術的に均一にできなかったことから、偶然に出現した斑模様が水墨画のようで味がありました。

8 ヴィーナス

ミロのヴィーナスをモチーフにした作品が展示されていました。
ここでは、メトロポリタン美術館彫刻踊り子」をデッサンし、高さ20㎝の彫刻を、2mの木版画に拡大した「西海岸に立つ赤い踊り子」が印象に残りました。

9 近年の作品

ここでは、1990年代以降、ダインの心から離れない“ピノキオ”と“ふくろう”をテーマにした作品が展示されていました。
ここでの私のお気に入りは、カラーで“ピノキオ”を、モノトーンで狼(狐?)と猫を描いた「2人の泥棒と1人のうそつき」です。
また、日本獅子舞を描いた「地獄の唐獅」も印象に残りました。
最後に妻のダイアナ・ミチェナーを描いた2点の作品(「自画像(近年)」、「偉大なダイアナに詩を添えて」)が展示されていました。

展覧会場の出口の横に夫妻の近影と、4月に来日した時にダインが書いたメッセージとサインが飾ってありました。


現代アメリカ美術を代表するジム・ダインの全貌がわかるわかりやすい展覧会でした。
最終日でしたが、館内はそれほど混雑しておらず、ゆったりと見ることができ、ダインの作品が見る者の感性を刺激することが実感できました。
日曜日の午後に楽しいひとときを過ごすことができました。





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kinkun

Author:kinkun
名古屋春栄会のホームページの管理人

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