2011/06/13 20:26:37
「古代メキシコ・オルメカ文明展」を見に行きました。
昨日(6月12日)に、名古屋市博物館に行きました。
名古屋市博物館では、特別展「古代メキシコ・オルメカ文明展 マヤへの道」〔2011年4月16日(土)~6月26日(日)〕が開催中でした。
※名古屋市博物館のサイトの特別展「古代メキシコ・オルメカ文明展 マヤへの道」のページ:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji110416.html※、「古代メキシコ・オルメカ文明展」の公式サイト:http://event.chunichi.co.jp/olmeca_nagoya/construct.html

[2011年6月12日(日)撮影]
この展覧会は、未だ謎に満ちているアメリカ大陸最古の古代文明であるオルメカ文明について、現地の最新の研究成果をもとにわかりやすく紹介するものだそうで、巨大なオルメカヘッドをはじめ、約130点が展示されていました。
日本で初めて、オルメカ文明の全貌とマヤ文明の起源をたどる本格的な展覧会とのことです。
なお、マヤ文明はオルメカ文明から始まったともいわれているそうで、この展覧会は、マヤから時代をさかのぼり、熱帯のジャングルに隠されたオルメカの世界を巡り、再び、マヤへの道をたどる構成になっていました。
展示は、6つに分かれていました。
プロローグ マヤから遡る
オルメカ文明は、マヤ文明をはじめとする中米の古代文明に共通する美術様式や宗教体系などの基礎となっていることから、“新大陸の母なる文明”と呼ばれているそうです。
今回の展覧会の最大の目玉で、展覧会のポスターやパンフレットにも使われてるオルメカ文明を代表する巨大な石彫が展示されていました。
その大きさは圧巻でした。

[2011年6月12日(日)撮影]
また、現在発見されている17体がいずれも頭部だけとのことで、なぜ頭部だけの像を作ったのかという解明されていない謎にも興味をかきたてられました。
※「巨石人頭像(オルメカヘッド)」:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/03jintozo.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
1 人々と自然
オルメカとは“ゴムの国の人”という意味だそうで、スペイン植民地時代にメキシコ湾岸の人々がこう呼ばれていたそうです。
ここでは、巨大な石彫、精巧なヒスイ製小像とともにさまざまな土偶が展示されていました。
特にサイズとしては思っていたより小さかったですが、その精巧な意匠が印象的な「裸の女性を表現した土偶」、「裸の男性を表現した土偶」が目を引きました。
※「裸の女性を表現した土偶」:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/04dogu.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
※「裸の男性を表現した土偶」:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/05dogu.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
2 神と王権
ここでは、欧米では以前から高く評価され、現代美術にも大きな影響を与えたと言われているオルメカの造形美術の名品が展示されていました。
金属を持たないオルメカの人々の熟練した技術で作られた大量のヒスイや玉製品が目を引きました。
照明を落とした部屋に精巧に作られたヒスイ製のマスクが2点展示されていました。
能面のように耳の部分に穴が開いており、実際に顔に付けて使用したようです。
2点のうち進行方向の右側に展示されている「ヒスイのマスク」(23)が能面のような雰囲気を持っており、興味深かったです。
※「ヒスイのマスク」(22):http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/07masuku.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
また、豪華な衣装をまとった王の姿が描かれているヒスイ製の石斧も展示されていましたが、非常に薄く加工されており、石斧というより、まるで笏のようでした。
※「王の姿を描いた石斧」:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/08ishiono.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
半人半獣の神であるジャガー神の像も何点か展示されていました。
への字型の口が牙を持ったジャガーの口を表しているそうです。
※「ジャガー神像」:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/09sinzo.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
3 聖なる地
近年、行われた調査でオルメカの“聖なる地”であったことがわかったメキシコ・ベラクルス州南部にあるエル・マナティ遺跡から出土した木製彫像、埋納された大量の石斧、ゴムボール(複製)などが展示されていました。
球技に使われたという中米最古のゴムボールの複製が展示されていましたが、その隣に直接触ることのできるゴムボールも置いてあり、想像以上の重さに驚きました。
※「ゴムボール(複製)」:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/10gom.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
また、四肢がないことからいけにえと想定される「木製彫像」も印象的でした。
人間の形をかたどった「土製の笛」が展示されていましたが、オカリナに酷似しており、オカリナの起源を想像させるものでした。
4 交流と拡散
メキシコ中央高原のトラティルコ遺跡や太平洋に面したチアパス州の各遺跡などオルメカ文明の中心地メキシコ湾岸地方以外の地域から発見された同じ時代の遺物でオルメカ文明の交流と広がりをあきらかにする展示でした。
ここでは、楽しげな笑顔が印象的な土製の「笑顔のマスク」と、全体が動物の口を表現しており、口の中から人間が出てきたように見える「神官像」が印象に残りました。
動物の口から人物が登場する意匠はオルメカ文明にしばしばみられる表現であり、オルメカ文明の影響が太平洋岸にも及んでいた証拠とのことです。
※「笑顔のマスク」(トラティルコ遺跡):http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/11mask.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
※「神官像」(ティルテペック遺跡):http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/12sinkanzo.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
エピローグ マヤへの道
メキシコからグァテマラの太平洋側地域で発見された西暦紀元前後の古い暦(マヤ長期暦)を刻んだ石彫などから、オルメカ文明の終末とマヤ文明の起源の謎に迫る展示でした。
マヤの紋章文字が彫られている石碑が目を引きました。
※「マヤの石碑」:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/13sekihi.jpg(名古屋市博物館のサイトから)

[2011年6月12日(日)撮影]
日曜日ということもあり、館内は家族連れが目立ちました。
アメリカ最古の古代文明の実像に迫ることのできる、とても興味深い展示でした。
まだ、会期も2週間ありますので、ぜひお出かけください。

[2011年6月12日(日)撮影]
昨日(6月12日)に、名古屋市博物館に行きました。
名古屋市博物館では、特別展「古代メキシコ・オルメカ文明展 マヤへの道」〔2011年4月16日(土)~6月26日(日)〕が開催中でした。
※名古屋市博物館のサイトの特別展「古代メキシコ・オルメカ文明展 マヤへの道」のページ:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji110416.html※、「古代メキシコ・オルメカ文明展」の公式サイト:http://event.chunichi.co.jp/olmeca_nagoya/construct.html

[2011年6月12日(日)撮影]
この展覧会は、未だ謎に満ちているアメリカ大陸最古の古代文明であるオルメカ文明について、現地の最新の研究成果をもとにわかりやすく紹介するものだそうで、巨大なオルメカヘッドをはじめ、約130点が展示されていました。
日本で初めて、オルメカ文明の全貌とマヤ文明の起源をたどる本格的な展覧会とのことです。
なお、マヤ文明はオルメカ文明から始まったともいわれているそうで、この展覧会は、マヤから時代をさかのぼり、熱帯のジャングルに隠されたオルメカの世界を巡り、再び、マヤへの道をたどる構成になっていました。
展示は、6つに分かれていました。
プロローグ マヤから遡る
オルメカ文明は、マヤ文明をはじめとする中米の古代文明に共通する美術様式や宗教体系などの基礎となっていることから、“新大陸の母なる文明”と呼ばれているそうです。
今回の展覧会の最大の目玉で、展覧会のポスターやパンフレットにも使われてるオルメカ文明を代表する巨大な石彫が展示されていました。
その大きさは圧巻でした。

[2011年6月12日(日)撮影]
また、現在発見されている17体がいずれも頭部だけとのことで、なぜ頭部だけの像を作ったのかという解明されていない謎にも興味をかきたてられました。
※「巨石人頭像(オルメカヘッド)」:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/03jintozo.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
1 人々と自然
オルメカとは“ゴムの国の人”という意味だそうで、スペイン植民地時代にメキシコ湾岸の人々がこう呼ばれていたそうです。
ここでは、巨大な石彫、精巧なヒスイ製小像とともにさまざまな土偶が展示されていました。
特にサイズとしては思っていたより小さかったですが、その精巧な意匠が印象的な「裸の女性を表現した土偶」、「裸の男性を表現した土偶」が目を引きました。
※「裸の女性を表現した土偶」:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/04dogu.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
※「裸の男性を表現した土偶」:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/05dogu.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
2 神と王権
ここでは、欧米では以前から高く評価され、現代美術にも大きな影響を与えたと言われているオルメカの造形美術の名品が展示されていました。
金属を持たないオルメカの人々の熟練した技術で作られた大量のヒスイや玉製品が目を引きました。
照明を落とした部屋に精巧に作られたヒスイ製のマスクが2点展示されていました。
能面のように耳の部分に穴が開いており、実際に顔に付けて使用したようです。
2点のうち進行方向の右側に展示されている「ヒスイのマスク」(23)が能面のような雰囲気を持っており、興味深かったです。
※「ヒスイのマスク」(22):http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/07masuku.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
また、豪華な衣装をまとった王の姿が描かれているヒスイ製の石斧も展示されていましたが、非常に薄く加工されており、石斧というより、まるで笏のようでした。
※「王の姿を描いた石斧」:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/08ishiono.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
半人半獣の神であるジャガー神の像も何点か展示されていました。
への字型の口が牙を持ったジャガーの口を表しているそうです。
※「ジャガー神像」:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/09sinzo.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
3 聖なる地
近年、行われた調査でオルメカの“聖なる地”であったことがわかったメキシコ・ベラクルス州南部にあるエル・マナティ遺跡から出土した木製彫像、埋納された大量の石斧、ゴムボール(複製)などが展示されていました。
球技に使われたという中米最古のゴムボールの複製が展示されていましたが、その隣に直接触ることのできるゴムボールも置いてあり、想像以上の重さに驚きました。
※「ゴムボール(複製)」:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/10gom.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
また、四肢がないことからいけにえと想定される「木製彫像」も印象的でした。
人間の形をかたどった「土製の笛」が展示されていましたが、オカリナに酷似しており、オカリナの起源を想像させるものでした。
4 交流と拡散
メキシコ中央高原のトラティルコ遺跡や太平洋に面したチアパス州の各遺跡などオルメカ文明の中心地メキシコ湾岸地方以外の地域から発見された同じ時代の遺物でオルメカ文明の交流と広がりをあきらかにする展示でした。
ここでは、楽しげな笑顔が印象的な土製の「笑顔のマスク」と、全体が動物の口を表現しており、口の中から人間が出てきたように見える「神官像」が印象に残りました。
動物の口から人物が登場する意匠はオルメカ文明にしばしばみられる表現であり、オルメカ文明の影響が太平洋岸にも及んでいた証拠とのことです。
※「笑顔のマスク」(トラティルコ遺跡):http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/11mask.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
※「神官像」(ティルテペック遺跡):http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/12sinkanzo.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
エピローグ マヤへの道
メキシコからグァテマラの太平洋側地域で発見された西暦紀元前後の古い暦(マヤ長期暦)を刻んだ石彫などから、オルメカ文明の終末とマヤ文明の起源の謎に迫る展示でした。
マヤの紋章文字が彫られている石碑が目を引きました。
※「マヤの石碑」:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/OLMECA/13sekihi.jpg(名古屋市博物館のサイトから)

[2011年6月12日(日)撮影]
日曜日ということもあり、館内は家族連れが目立ちました。
アメリカ最古の古代文明の実像に迫ることのできる、とても興味深い展示でした。
まだ、会期も2週間ありますので、ぜひお出かけください。

[2011年6月12日(日)撮影]