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陶磁器の美しさに魅了されました。

昨日(2011年3月21日)、名古屋ボストン美術館で開催中の「響きあううつわ出光美術館日本陶磁コレクション」〔2011年2月26日(土)~2011年3月27日(日)〕を見に行きました。
この展覧会は、“陶磁器と絵画の表現の調べ”をテーマに、出光美術館陶磁器絵画の珠玉のコレクションのうち89点の名品により、交流しあう絵画やきものを紹介するものとのことでした。
名古屋ボストン美術館のサイトの「響きあううつわ出光美術館日本陶磁コレクション」のページ:http://www.nagoya-boston.or.jp/exhibition/list/vessels-201102/outline.html

名古屋ボストン美術館201103_01
[2011年3月21日(月)撮影]

展覧会は、3章で構成されていました。

第1章 桃山の茶陶

茶の湯が深化を遂げた桃山時代に隆盛を極めた茶の湯陶器茶陶を紹介する展示でした。
展示室に入ると、狩野長信筆の美しい花が咲き乱れる大きな『桜・桃・海棠図屏風』が目を引きました。
※『桜・桃・海棠図屏風』:http://www.nagoya-boston.or.jp/upload/im_vessels-201102_09.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)

楽焼黄瀬戸志野織部古唐津の順で展示されていました。
志野では『鼠志野草花文額皿』が2点展示されていましたが、そのうち1点は、可憐な撫子がデザインされており、印象に残りました。

織部では、小袖をイメージしたユニークなデザインの『織部千鳥文誰が袖形鉢』が印象的でした。
※『織部千鳥文誰が袖形鉢』:http://www.nagoya-boston.or.jp/upload/im_vessels-201102_11.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)

古唐津の中では、『朝鮮唐津上手付水注』の上部から流れ落ちる白釉が黒釉と混じりあった部分が青く見える美しさには圧倒されました。

第2章 京焼の雅

京都で生まれたやきものである京焼の展示でした。
野々村仁清尾形乾山古清水後期京焼の順に展示されていました。

野々村仁清の作品では、鶉の頭が後ろを向いているデザインがユニークな『色絵鶉香合』と『色絵鶏香合』という鳥を題材にした作品が並んで展示されていました。
また、『色絵梅花文四方香炉』は蓋のつまみがうさぎで、両横の耳がゾウの頭の形というかわいらしい感じのする楽しいデザインでした。
※『色絵梅花文四方香炉』:http://www.nagoya-boston.or.jp/upload/im_vessels-201102_15.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)

尾形乾山の作品では、『色絵定家詠十二ヵ月和歌花鳥図角皿』とその元になった狩野探幽筆の『定家詠十二ヵ月和歌花鳥図画帖』が並べて展示してあり、興味深かったです。

定家詠十二ヵ月和歌花鳥図画帖』は、“正月 柳 鶯”、“二月 桜 雉”、“四月 卯花 杜鵑”の3か月分が見える形で、 『色絵定家詠十二ヵ月和歌花鳥図角皿』はこの3か月分に“八月 鹿鳴草 初雁”と“十二月 早桜 水鳥”を加えた5客が展示されていました。
ちなみに、鹿鳴草〔しかなぐさ〕というのはの別名だそうです。
※『色絵定家詠十二ヵ月和歌花鳥図角皿』[正月 柳 鶯]:http://www.nagoya-boston.or.jp/upload/im_vessels-201102_18.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)
※『定家詠十二ヵ月和歌花鳥図画帖』[正月 柳 鶯]』:http://www.nagoya-boston.or.jp/upload/im_vessels-201102_17.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)

この他、兄の尾形光琳を描き、乾山(漢詩)を書いた兄弟合作の『銹絵菊図角皿』や乾山には珍しく立体的な造形の『銹絵獅子香炉』も印象に残りました。

また、展示室の奥に、左隻二条城が描かれているため、江戸時代の作とされる大きな『洛中洛外図屏風』が展示されており、見応えがありました。

後期京焼では、画家らしく陶器なのに絵のように華やかな絵付けの青木木米作の『色絵百仙人文輪花鉢』が印象に残りました。

第3章 磁器の輝き

17世紀後半にオランダ東インド会を経由してヨーロッパに輸出されることになる色絵磁器の展示でした。

伊万里染付古九谷柿右衛門古伊万里鍋島の順に展示されていました。

伊万里染付では、祝樽をモデルにした『染付草花文樽形瓶』が一対展示されていました。
やきもので再現された形の正確さには驚きました。
また、山水画のテーマである“遠山”、“遠帆”、“観瀑”、“落雁”が四面に描かれ、蓋の取っ手の茄子がかわいらしい『染付楼閣山水文四方水指』と山水画の『飛瀑図屏風 元信印』が並べて展示してあり、興味深かったです。
※『染付楼閣山水文四方水指』: http://www.nagoya-boston.or.jp/upload/im_vessels-201102_24.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)
※『飛瀑図屏風』:http://www.nagoya-boston.or.jp/upload/im_vessels-201102_23.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)

古九谷では、上部の葉の青色の美しさが目を引く『色絵蔦葉文大皿』が、寛文小袖のデザインブックである「寛文ひいながた」と共通したデザインだということがわかる形で展示されており、面白かったです。
青手古九谷では最大級の大皿という『色絵菊文大皿』は、金地に描かれた緑が映える金壁障屏画を思わせる緑と黄の色彩のコントラストが立体感を感じさせ、すばらしかったです。

柿右衛門では、粟の穂の曲線が生み出す余白の白が美しい『色絵粟鶉文八角鉢』が印象に残りました。
また、美人画を再現したような『色絵坐姿美人像』と『色絵立姿美人像』と共に、その元となったような美人が登場する菱川師宣筆の『江戸風俗図巻』が展示されていました。
江戸風俗図巻』に描かれた人物の着物の色の鮮やかさが目を引きました。
こうした美人像ヨーロッパに数多く輸出されたそうです。
※『色絵坐姿美人像』:http://www.nagoya-boston.or.jp/upload/im_vessels-201102_28.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)
※『色絵立姿美人像』:http://www.nagoya-boston.or.jp/upload/im_vessels-201102_29.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)
※『江戸風俗図巻』:http://www.nagoya-boston.or.jp/upload/im_vessels-201102_27.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)

ヨーロッパの酒瓶を模しているので、ヨーロッパへの輸出用に作られたことが分かる『色絵花鳥文角瓶』も一対展示されていました。
※『色絵花鳥文角瓶』:http://www.nagoya-boston.or.jp/upload/im_vessels-201102_20.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)

古伊万里では、籠を結ぶ紐の形に立体的に作られた蓋の意匠が面白い『色絵花卉文虫籠形香炉』がすばらしかったです。

鍋島では、雲の形のデザインが大胆な『青磁染付秋草文皿』と藍色の染付の濃淡で表現される水の流れが見事な『色絵花筏文皿』が印象に残りました。
※『色絵花筏文皿』:http://www.nagoya-boston.or.jp/upload/im_vessels-201102_05.jpg名古屋ボストン美術館のサイトから)

訪れたのが祝日の午前中でしたので、小雨模様の天気にもかかわらず、館内は比較的にぎわっていました。
器の名品に出会える展覧会ですので、会期はあと5日間ですが、お近くの方はぜひお出かけください。

名古屋ボストン美術館201103_02
[2011年3月21日(月)撮影]

外に出ると雨が上がっていました。


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kinkun

Author:kinkun
名古屋春栄会のホームページの管理人

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