2010/11/10 21:34:35
紺紙金字法華経の下の鎌倉時代の文書を見ました。
先週の土曜日(2010年11月6日)に名古屋市博物館の常設展で、先日、“法華経の下地に手紙”と報道された『紺紙金字法華経』が展示されていました〔2010年10月27日(水)~11月28日(日)〕。
この法華経は、円増寺(愛知県南知多町)所蔵で名古屋市博物館に寄託されているものだそうで、
名古屋市博物館が赤外線撮影したところ、別の手紙が見つかったそうです。
『紺紙金字法華経』は、紺色の紙に金字で写経した装飾経で全部で8巻とのこと。
鎌倉時代中期の建長4(1252)年、伊勢神宮に奉納したとの記述があるものの、その後の来歴は不明となっているそうです。
このうち第1巻の1枚目と5枚目の紙から手紙が発見されたとのことで、不要になった手紙を紺色に染めて写経紙に再利用したと考えられているとのことです。
〔第一巻の1枚目に隠れていた文書〕
権律師書状
先日自勧進所注申候東大寺□□
□事、今春如数可被申任之由、度□□
仰下歎、悦思給候之処、太略如無其□□
条、殊歎思給候、偏為無縁之結構□□
令励沙汰候之間、遍成功之輩不被□□
為造営懈怠之基也、漏思候交名□
申候折紙進上之、下名之次相構可令□
任給候也、行勇律師定歎申候上□
候事也、殊出御力可令申沙汰給候□
注文内、七重御塔九輪并国分門等□
尤可令申沙汰給候也、兼又柱絵功人□
俊景申左右近衛将監候、尤可被任候□
以此旨可然之様、可令申入給候、宥□(範)
謹言、
正月廿五日 権律師□
進上 源兵衛尉殿
この手紙は、治承4(1180)年の源平の争乱で焼けた東大寺の再興に関し、工事を担当する勧進所の僧から朝廷か鎌倉幕府の要人にあてたもので、貞応2(1223)年の執筆と考えられるそうです。
このときの東大寺再興には、官位官職と引き換えに寄付を募る“成功(じょうごう)”という方法で資金や労力を工面したとのことです。
手紙は、約束どおり官位が与えられていないので、このままでは工事が滞る原因になるとし、提出した候補者一覧にしたがって、七重塔建設などに資金面で功績があった者や柱絵の絵師に最優先で進めるように、手続きを早く進めるよう促しているものだそうです。
ボランティアガイドの方が小型の赤外線デジタルカメラで、実物をの下の手紙を見せていただけたので、とてもわかりやすかったです。
こんなに手軽に赤外線写真を見ることができるのにも驚きました。
名古屋開府400年記念特別展「変革のとき 桃山」は終了しましたが、こちらは11月28日(日)まで展示されているそうですので、お近くの方はぜひ一度見に行ってください。一見の価値はあります。
先週の土曜日(2010年11月6日)に名古屋市博物館の常設展で、先日、“法華経の下地に手紙”と報道された『紺紙金字法華経』が展示されていました〔2010年10月27日(水)~11月28日(日)〕。
この法華経は、円増寺(愛知県南知多町)所蔵で名古屋市博物館に寄託されているものだそうで、
名古屋市博物館が赤外線撮影したところ、別の手紙が見つかったそうです。
『紺紙金字法華経』は、紺色の紙に金字で写経した装飾経で全部で8巻とのこと。
鎌倉時代中期の建長4(1252)年、伊勢神宮に奉納したとの記述があるものの、その後の来歴は不明となっているそうです。
このうち第1巻の1枚目と5枚目の紙から手紙が発見されたとのことで、不要になった手紙を紺色に染めて写経紙に再利用したと考えられているとのことです。
〔第一巻の1枚目に隠れていた文書〕
権律師書状
先日自勧進所注申候東大寺□□
□事、今春如数可被申任之由、度□□
仰下歎、悦思給候之処、太略如無其□□
条、殊歎思給候、偏為無縁之結構□□
令励沙汰候之間、遍成功之輩不被□□
為造営懈怠之基也、漏思候交名□
申候折紙進上之、下名之次相構可令□
任給候也、行勇律師定歎申候上□
候事也、殊出御力可令申沙汰給候□
注文内、七重御塔九輪并国分門等□
尤可令申沙汰給候也、兼又柱絵功人□
俊景申左右近衛将監候、尤可被任候□
以此旨可然之様、可令申入給候、宥□(範)
謹言、
正月廿五日 権律師□
進上 源兵衛尉殿
この手紙は、治承4(1180)年の源平の争乱で焼けた東大寺の再興に関し、工事を担当する勧進所の僧から朝廷か鎌倉幕府の要人にあてたもので、貞応2(1223)年の執筆と考えられるそうです。
このときの東大寺再興には、官位官職と引き換えに寄付を募る“成功(じょうごう)”という方法で資金や労力を工面したとのことです。
手紙は、約束どおり官位が与えられていないので、このままでは工事が滞る原因になるとし、提出した候補者一覧にしたがって、七重塔建設などに資金面で功績があった者や柱絵の絵師に最優先で進めるように、手続きを早く進めるよう促しているものだそうです。
ボランティアガイドの方が小型の赤外線デジタルカメラで、実物をの下の手紙を見せていただけたので、とてもわかりやすかったです。
こんなに手軽に赤外線写真を見ることができるのにも驚きました。
名古屋開府400年記念特別展「変革のとき 桃山」は終了しましたが、こちらは11月28日(日)まで展示されているそうですので、お近くの方はぜひ一度見に行ってください。一見の価値はあります。