2010/10/20 19:53:43
今日は、日曜日(2010年10月17日)に行った名古屋市博物館で開催中の名古屋開府400年記念特別展「変革のとき 桃山」〔2010年9月25日(土)~11月7日(日)〕の紹介の3回目です。
※名古屋市博物館の名古屋開府400年記念特別展「変革のとき 桃山」のページ:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji100925.html

[2010年10月17日(日)撮影]
第3章 変貌する桃山のわざ
武家が使う道具は、この時代、費用を気にしない信長、秀吉、家康の3人の天下人たちの要望に応えながら、大きく変貌を遂げ、その変化は一般の武士や商人たちが使う道具にも変化をもたらしたそうです。
ここでは、蒔絵と陶器について展示されていました。
(1)工芸の変貌-蒔絵
技巧的で複雑な中世の高蒔絵に替わって、桃山時代に流行した高台寺蒔絵と呼ばれる非常に簡便でわかりやすい平蒔絵を中心とした展示でした。
今回の展覧会では、高台寺(京都市東山区)所蔵の重要文化財の蒔絵の品が前期と後期2点ずつ展示されるとのことです。
前期に展示されていたのは、『竹秋草蒔絵文庫』と『楓桐菊蒔絵薬味壷』の2点でした。
『竹秋草蒔絵文庫』は、稲妻型に斜めで側面を二分したわかりやすいデザインが斬新です。
また、『楓桐菊蒔絵薬味壷』は、同じ形の5個の小壺に菊、楓、桐、梅、山萩の意匠を蒔絵で描き、それらと中心の象牙の蓋をもつ小壺を梅鉢型に漆でつなぎ合わせるというユニークなデザインです。
しかも、それぞれに薬味を入れていたようで、順に“志ほ”、“さんせうのこ”、“からし”、“こせう”、“さんせう”とその薬味が蒔絵で書かれているというのがまたすごいです。
※『竹秋草蒔絵文庫』:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji10/100925/72408.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
※『楓桐菊蒔絵薬味壷』:http://www.kodaiji.com/museum/images/mt1.jpg(高台寺掌美術館のサイトから)
厳島神社所蔵の蒔絵の品も2点展示されていました。2点とも前期のみの展示でした。
『梅唐草蒔絵文台・硯箱』は、緻密で繊細な細工が印象的でした。
また、国宝の『蔦蒔絵唐櫃』は、慶長7(1602)年に福島正則が寄進したという銘がある平家納経の外箱で、こちらもとても美しい意匠でした。
この他、菊、萩、薄、桔梗、撫子と秋の花のデザインが優雅な『秋草蒔絵大徳利』や、鶴の羽根と松の葉の緻密な細工が目を引く『橘松竹鶴亀蒔絵文台・硯箱』、蓋の裏側に描かれているので写真による展示でしたが、舞を舞う動きの写実性が際立つ『舞楽蒔絵硯箱』も印象に残りました。
(2)工芸の変貌-やきもの
茶の湯を大成させた千利休の死後、自由な形や文様の美濃焼が流行しますが、その美濃焼を代表する志野、織部の品々が中心の展示でした。
古田織部の屋敷跡から出土した品がまとめて並べて展示されており、その量とデザインの多様さに圧倒されました。
最後に、照明を落とした中に“長次郎から光悦へ”として5口の名椀が展示されており、そのうちの2点は、新たな楽茶碗を産み出したとされる本阿弥光悦の楽茶碗でした。
三井記念美術館所蔵の重要文化財の『黒楽茶碗 銘「雨雲」』は、確かにその名のとおり雨が雲から降っているようでした。
また、同じく重要文化財の『黒楽茶碗 銘「時雨」』には、名古屋市博物館開館30周年記念特別展「茶人のまなざし 森川如春庵の世界」以来2年半ぶりの再会でした(2008年4月12日の日記参照)。
※『黒楽茶碗 銘「雨雲」』:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji10/100925/72409.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
※『黒楽茶碗 銘「時雨」』:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji08/080301/5.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
これだけの楽茶碗が一度に展示されることはめったにないので、やきものファンには必見の展覧会だと思います。
昨日、聖龕の展示のところでも書きました(2010年10月19日の日記参照)が、非常に高いレベルの展示なので、もう少し宣伝するべきだと思います。
<3日間、お付き合いいただきありがとうございました。今日で、名古屋開府400年記念特別展「変革のとき 桃山」の紹介は終了します。>
※名古屋市博物館の名古屋開府400年記念特別展「変革のとき 桃山」のページ:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji100925.html

[2010年10月17日(日)撮影]
第3章 変貌する桃山のわざ
武家が使う道具は、この時代、費用を気にしない信長、秀吉、家康の3人の天下人たちの要望に応えながら、大きく変貌を遂げ、その変化は一般の武士や商人たちが使う道具にも変化をもたらしたそうです。
ここでは、蒔絵と陶器について展示されていました。
(1)工芸の変貌-蒔絵
技巧的で複雑な中世の高蒔絵に替わって、桃山時代に流行した高台寺蒔絵と呼ばれる非常に簡便でわかりやすい平蒔絵を中心とした展示でした。
今回の展覧会では、高台寺(京都市東山区)所蔵の重要文化財の蒔絵の品が前期と後期2点ずつ展示されるとのことです。
前期に展示されていたのは、『竹秋草蒔絵文庫』と『楓桐菊蒔絵薬味壷』の2点でした。
『竹秋草蒔絵文庫』は、稲妻型に斜めで側面を二分したわかりやすいデザインが斬新です。
また、『楓桐菊蒔絵薬味壷』は、同じ形の5個の小壺に菊、楓、桐、梅、山萩の意匠を蒔絵で描き、それらと中心の象牙の蓋をもつ小壺を梅鉢型に漆でつなぎ合わせるというユニークなデザインです。
しかも、それぞれに薬味を入れていたようで、順に“志ほ”、“さんせうのこ”、“からし”、“こせう”、“さんせう”とその薬味が蒔絵で書かれているというのがまたすごいです。
※『竹秋草蒔絵文庫』:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji10/100925/72408.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
※『楓桐菊蒔絵薬味壷』:http://www.kodaiji.com/museum/images/mt1.jpg(高台寺掌美術館のサイトから)
厳島神社所蔵の蒔絵の品も2点展示されていました。2点とも前期のみの展示でした。
『梅唐草蒔絵文台・硯箱』は、緻密で繊細な細工が印象的でした。
また、国宝の『蔦蒔絵唐櫃』は、慶長7(1602)年に福島正則が寄進したという銘がある平家納経の外箱で、こちらもとても美しい意匠でした。
この他、菊、萩、薄、桔梗、撫子と秋の花のデザインが優雅な『秋草蒔絵大徳利』や、鶴の羽根と松の葉の緻密な細工が目を引く『橘松竹鶴亀蒔絵文台・硯箱』、蓋の裏側に描かれているので写真による展示でしたが、舞を舞う動きの写実性が際立つ『舞楽蒔絵硯箱』も印象に残りました。
(2)工芸の変貌-やきもの
茶の湯を大成させた千利休の死後、自由な形や文様の美濃焼が流行しますが、その美濃焼を代表する志野、織部の品々が中心の展示でした。
古田織部の屋敷跡から出土した品がまとめて並べて展示されており、その量とデザインの多様さに圧倒されました。
最後に、照明を落とした中に“長次郎から光悦へ”として5口の名椀が展示されており、そのうちの2点は、新たな楽茶碗を産み出したとされる本阿弥光悦の楽茶碗でした。
三井記念美術館所蔵の重要文化財の『黒楽茶碗 銘「雨雲」』は、確かにその名のとおり雨が雲から降っているようでした。
また、同じく重要文化財の『黒楽茶碗 銘「時雨」』には、名古屋市博物館開館30周年記念特別展「茶人のまなざし 森川如春庵の世界」以来2年半ぶりの再会でした(2008年4月12日の日記参照)。
※『黒楽茶碗 銘「雨雲」』:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji10/100925/72409.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
※『黒楽茶碗 銘「時雨」』:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji08/080301/5.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
これだけの楽茶碗が一度に展示されることはめったにないので、やきものファンには必見の展覧会だと思います。
昨日、聖龕の展示のところでも書きました(2010年10月19日の日記参照)が、非常に高いレベルの展示なので、もう少し宣伝するべきだと思います。
<3日間、お付き合いいただきありがとうございました。今日で、名古屋開府400年記念特別展「変革のとき 桃山」の紹介は終了します。>