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3点のフェルメールに出会いました。

先週の金曜日の京都日帰り旅行(2011年8月26日の日記参照)で、特別展「フェルメールからのラブレター-コミュニケーション:17世紀オランダ絵画から読み解く人々のメッセージ」〔2011年6月25日(土)~10月16日(日)〕が開催中の京都市美術館を訪ねました。
京都市美術館の公式サイト:http://www.city.kyoto.jp/bunshi/kmma/
※展覧会の公式サイト:http://vermeer-message.com/

京都市美術館201108_02
[2011年8月26日(金)撮影]

この展覧会は、副題に“>コミュニケーション:17世紀オランダ絵画から読み解く人々のメッセージ”とあるように、17世紀のヨーロッパで最も識字率が高く、“手紙”によるコミュニケーションの文化がいち早く定着したオランダの美術における“手紙”というツールを題材にした絵画表現を展観するものとのことです。
当時、家族、恋人、仕事における知人の間では、顔を見合わせた直接的なコミュニケーションと、もしくは“手紙”や伝言などのような間接的なコミュニケーションが存在し、それによって引き起こされたあらゆる感情を絵画作品の中に描きだし表現するということが盛んに行われいたそうです。
画家たちは、人々が会話する際に見せる一瞬の表情や仕草にとどまらず、離れた恋人からの“手紙”を読んでいる時の素の反応に至るまで、実に幅広い感情を表現したそうです。
また、作品の中にさまざまな小道具を寓意的に描きこむことで、絵画作品に生き生きとした意味や物語の息吹を与えているそうです。

フェルメールは“手紙”をテーマにした作品を数多く残しています。
この展覧会では、日本初公開となるアムステルダム国立美術館所蔵の「手紙を書く青衣の女」と、再来日となるワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵の「手紙を書く女」、アイルランド・ナショナル・ギャラリー所蔵の「手紙を書く女と召使い」の計3作品が展示されていました。
また、フェルメールと同じ時代に活躍したピーテル・デ・ホーヘラルト・テル・ボルフハブリエル・メツなどの作品も展示されていました。

宗教上の意味合い、セクシャルなメッセージ、家族の絆、そして物語など、それらを表現する、身振り・目つき・表情あるいは欺瞞や幻影が、4つの章に分けて展示されていました。

1章 人々のやりとり ― しぐさ、視線、表情

仕事や余暇を楽しむ民衆の姿を理想化せずに描く風俗画では、日常生活の親密な場面が主題となり、典型的な人物や衣装、場面設定などに鋭い洞察が向けられたそうです。
家庭や居酒屋、仕事場といった日常的な環境の中の人々が描かれていますが、実際の様子を描いているように見えてもそのほとんどは画家がアトリエで考案したものとのことです。
そして、単に日常の正確な描写のように見えるこれらの風俗画も、その多くが、オランダの諺や格言、道徳的なメッセージを示唆しているそうで、そうした風俗画が展示されていました。

ここでは、まるで映画やテレビドラマの一場面を見るようなヤン・ステーンの「生徒にお仕置きをする教師」が印象に残りました。

2章 家族の絆、家族の空間

肖像画には、オランダ黄金時代の人々の様子、身につけていた服装、仕事の種類、男女間の関係、そして日常生活のさまざまな面が表現され、なかでも家族の肖像画は、結婚による調和や愛情にも焦点があてられているそうです。
一方、風俗画では、17世紀オランダ社会における、多くは既婚の女性が描かれています。
そうした肖像画風俗画が展示されていました。

ここでは、子どもの表情がかわいいヘンドリック・マルテンスゾーンの「エーワウト・プリンスとその家族」と、退廃的な雰囲気の漂うヤン・ステーンの「アントニウスとクレオパトラの宴」が印象に残りました。

3章 職業上の、あるいは学術的コミュニケーション

オランダ人にとって読み書きの能力は重要でしたが、それらを学ぶ過程がいつも楽しかったわけではないようで、絵画ではしばしば、薄給で十分な訓練を受けていない教師と幼い生徒たちの間で生じる問題が描かれたそうです。
弁護士公証人著述家らは、商売に関わるコミュニケーションや経営の手助けし、科学者学者たちは、公式にも非公式にもコミュニケーションを取り合っていたので、こうした人々たちもしばしば描かれました。
ここでは、そうした職業人を描いた絵が展示されていました。

ここでは、レンブラントと共同で工房を持っていたヤン・リーフェンスの「机に向かう簿記係」とレンブラントの弟子のヘリット・ダウの「執筆を妨げられた学者」、フェルディナント・ボルの「本を持つ男」というレンブラントと画風が似ている3人の作品が印象に残りました。
※「机に向かう簿記係」(ヤン・リーフェンス):http://vermeer-message.com/wp-content/themes/vermeer-message/exhibition/work3.html?KeepThis=true&TB_iframe=true&height=530&width=370(展覧会の公式サイトから)

また、ヨープ・アドリアーンスゾーン・ベルクヘイデの「公証人と依頼人」の公証人の服装が、一昨日紹介したフェルメールの「地理学者」(2011年8月30日の日記参照)と同様に日本着物を模したものであり、17世紀オランダでの日本着物の流行がよくわかりました。

ヤン・ステーンの「弁護士への訪問」は画面右奥の助手の様子で、描かれている弁護士が悪徳弁護士であることを示しているということで、興味深かったです。

4章 手紙を通したコミュニケーション

17世紀のオランダでは、“手紙”のやり取りが急速に増え、個人間の文字によるコミュニケーションのあり方が一変したとのことです。
オランダ風俗画において、“手紙”を読む女性の姿は愛に関連した場合が多く、ほとんどの作品は、隠された意味を解く手がかりを与えてくれているそうです。
この展覧会で展示されている作品を見ると、オランダ黄金時代の画家たちが、“手紙”を読むという日常生活の側面に影響される感情の微妙な動きを、いかに探求していたかがよくわかりました。

ここでは、まずピーテル・デ・ホーホの「女に手紙を読む男」が印象に残りました。
女性に光を当て、手紙を読む男は暗く描くとともに、手紙の背後に褐色の椅子を配置することで手紙を浮かび上がらせるコントラストを強調する描き方と構図は秀逸です。

そして、展覧会の最後に、ポスターやパンフレット、看板などでも使われているこの展覧会の目玉のフェルメールの3点が並んで展示されていました。

京都市美術館201108_03
[2011年8月26日(金)撮影]

まずは、「手紙を書く女」。
女性の着ている白貂の毛皮で縁取りされた黄色いコートの立体感がすばらしかったです。
※展覧会公式サイトの「手紙を書く女」(ヨハネス・フェルメール)の解説ページ:http://vermeer-message.com/wp-content/themes/vermeer-message/exhibition/work6.html?KeepThis=true&TB_iframe=true&height=481&width=760

次は、修復後世界初公開という「手紙を読む青衣の女」。
窓は描かれていませんが、左側からの光が手紙を読む女性をやわらかく包んでおり、見るものの心を和ませる何かがあります。
なお、背後に描かれている地図は夫の不在を暗示しているそうです。
修復後輝きを増したフェルメール・ブルーと言われるラピスラズリを砕いた顔料のウルトラマリンの青の輝きの鮮やかさに驚きました。
※展覧会公式サイトの「手紙を読む青衣の女」(ヨハネス・フェルメール)の解説ページ:http://vermeer-message.com/wp-content/themes/vermeer-message/exhibition/work5.html?KeepThis=true&TB_iframe=true&height=481&width=760
※「手紙を読む青衣の女」(ヨハネス・フェルメール):http://www.city.kyoto.jp/bunshi/kmma/exhibition/images/vermeer_2011.jpg京都市美術館のサイトから)

最後は、「手紙を書く女と召使い」。
主人が手紙を書き終えるのを待っている召使の、明るい外を見ているまなざしが印象に残りました。
※展覧会公式サイトの「手紙を書く女と召使い」(ヨハネス・フェルメール)の解説ページ:http://vermeer-message.com/wp-content/themes/vermeer-message/exhibition/work7.html?KeepThis=true&TB_iframe=true&height=481&width=760

やはり、フェルメールの3点は圧巻でした。
巧みな空間構成と質感を持った光の表現は圧倒的な迫力がありました。


連日、大混雑と聞いていましたが、私が訪れた日は雨が振ったり止んだりの天候だったせいか、それほど混雑しておらず、ゆったりと見ることができました。
フェルメールの3点の作品も立ち止まり、時間をかけてじっくりと見ることができたので、本当に堪能できました。


フェルメールの作品は、現在、30数点(研究者によって33点から37点まで意見が別れているとのこと)しか残っていません。
このフェルメールの作品のうちこの3点と豊田市美術館で見た「地理学」の4点が、現在日本に来ていることになります。

私は、これまで、一昨年の夏に、やはり京都市美術館「ルーブル美術館展」で「レースを編む女」を(2009年9月1日の日記参照)、10年ほど前に愛知県美術館で「恋文」を、20年以上前にやはり愛知県美術館で「真珠の耳飾りの少女」と「ディアナとニンフたち」の5点を見たことがあり、今回を含めて、これまで見たことのあるフェルメール作品は9点になりました。
最近、フェルメールの作品が来日することが多いので、この調子でいくと日本に居ながらにしてフェルメールの作品の半数以上を見ることができるかもしれません。




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kinkun

Author:kinkun
名古屋春栄会のホームページの管理人

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