2011/08/28 22:33:11
今日が最終日でした。
名古屋市博物館で開催中の「仁王像修復記念 甚目寺観音展」〔平成23(2011)年7月16日(土)~8月28日(日)〕に出かけました。
※名古屋市博物館のサイトの「仁王像修復記念 甚目寺観音展」のページ:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji110716.html

この展覧会は、この解体修復中だった甚目寺の仁王像の修復完成を記念し、甚目寺の寺宝と歴史を紹介するものとのことです。
あま市(旧海部郡甚目寺町)にある鳳凰山甚目寺は、推古天皇5(597)年に創建されたという縁起をもち、境内からは白鳳時代の軒丸瓦も出土しているという尾張地方でも屈指の古刹です。

本尊の観音菩薩の霊験は御伽草子「うばかわ〔姥皮〕」により諸国に響き、一遍上人が七ケ日の行法をおこなった地としても知られています。
また、今回の解体修復中に仁王像の内部から、あま市出身の武将、福島正則による造立奉納を示す墨書銘が発見されました。
展示内容にはこうした新事実も含まれており、この展覧会は甚目寺の全貌に迫るものです。
展覧会は3章で構成されていました。
1 甚目寺の歴史
甚目寺は、長い歴史の中で、一遍、豊臣秀吉、福島正則らさまざまな人々から崇敬の念を寄せられたそうです。
ここでは出土品や伝来する武将ゆかりの資料が紹介されていました。
白鳳時代の瓦など甚目寺遺跡の出土品も展示されていました。
※白鳳時代の瓦を含む「甚目寺遺跡出土資料」:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/jimokuji/jimokuji01.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
ここには、今回の展覧会の目玉の一つ、愛染明王坐像の内部から発見された胎内仏が展示されていました。
愛染明王坐像は鎌倉時代のものとされ、今回の解体修復中に、胎内仏が発見されたとのことです。
胎内仏も愛染明王坐像で、像高は6.6cm、カプセル状の容器に収められ、本体の愛染明王坐像の腹部の棚に固定されていたそうです。
像の内部が、もともと胎内仏の納入を前提に作られているなど、納入方法が全国的にもめずらしいものだそうです。
緻密な作りと鮮やかな色に驚かされました。
容器は一度も開けられた形跡がないようなので、700年以上前の鮮やかさなのでしょうか。
なお、この胎内仏は、修復された愛染明王坐像の胎内に戻されるため、今後は当分見ることができないとのことでした。

また、豪華な作りとファンタジックな内容が面白い奈良絵本「うばかわ〔姥皮〕」も興味深かったです。
2 甚目寺のほとけたち
甚目寺は真言宗の寺院であり、密教の曼荼羅から仁王像、十王像まで、多彩な仏画・仏像が伝来しているそうで、ここでは、それらの曼荼羅や仏像が展示されていました。
ここでは、等身大の10体が完備した南北朝時代の貴重な作例とされる十王像が展示されていましたが、同じ場所に展示されていた「奪衣婆〔だつえば〕坐像」の方がはるかに迫力がありました。

ここでの圧巻は、やはり今回の展覧会の最大の目玉「仁王像」です。
さすがに高さ3.5mの像は、迫力満点です。
阿形像と吽形像がスペースの関係でしょうが、背中合わせに展示されていました。
あるいは、左右反転すれば胴体の作りが両者ともにほとんど同じことを意識した展示なのでしょうか。


※仁王像(吽形):http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/jimokuji/jimokuji07.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
また、この像が、慶長2(1597)年に福島正則が清須城主だったときに、甚目寺に奉納した像であることを証明する墨書銘が、今回の解体修理で発見されたそうです。
※仁王像(吽形)の奉納銘:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/jimokuji/jimokuji08.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
この仁王像は、普段は南大門に安置されています。

3 名古屋城下と甚目寺
名古屋城下の人々にとって、霊場だけでなく、行楽地でもあった江戸時代の甚目寺の様子や、画家や文人が訪れる文化サロンとしての甚目寺が紹介されていました。
田中訥言や渡辺清の軸、中林竹洞の水墨画などが見応えがありました。
名古屋から甚目寺に出かけた人は、東門から境内に入ったそうです。

最終日で、夏休み最後の日曜日ということもあり、会場は家族連れで混雑していました。
展示方法が子どもにもわかりやすいように工夫されており、く甚目寺の魅力を多面的に明らかにする非常にバランスの取れた展覧会でした。

最初の看板の写真以外の写真は、名古屋市博物館の屋外通路に展示されていたミニ看板です。
わかりやすく親しみが持てる作りで、地下鉄の中吊り広告などでも使えばよいのに思いました。
名古屋市博物館で開催中の「仁王像修復記念 甚目寺観音展」〔平成23(2011)年7月16日(土)~8月28日(日)〕に出かけました。
※名古屋市博物館のサイトの「仁王像修復記念 甚目寺観音展」のページ:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji110716.html

この展覧会は、この解体修復中だった甚目寺の仁王像の修復完成を記念し、甚目寺の寺宝と歴史を紹介するものとのことです。
あま市(旧海部郡甚目寺町)にある鳳凰山甚目寺は、推古天皇5(597)年に創建されたという縁起をもち、境内からは白鳳時代の軒丸瓦も出土しているという尾張地方でも屈指の古刹です。

本尊の観音菩薩の霊験は御伽草子「うばかわ〔姥皮〕」により諸国に響き、一遍上人が七ケ日の行法をおこなった地としても知られています。
また、今回の解体修復中に仁王像の内部から、あま市出身の武将、福島正則による造立奉納を示す墨書銘が発見されました。
展示内容にはこうした新事実も含まれており、この展覧会は甚目寺の全貌に迫るものです。
展覧会は3章で構成されていました。
1 甚目寺の歴史
甚目寺は、長い歴史の中で、一遍、豊臣秀吉、福島正則らさまざまな人々から崇敬の念を寄せられたそうです。
ここでは出土品や伝来する武将ゆかりの資料が紹介されていました。
白鳳時代の瓦など甚目寺遺跡の出土品も展示されていました。
※白鳳時代の瓦を含む「甚目寺遺跡出土資料」:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/jimokuji/jimokuji01.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
ここには、今回の展覧会の目玉の一つ、愛染明王坐像の内部から発見された胎内仏が展示されていました。
愛染明王坐像は鎌倉時代のものとされ、今回の解体修復中に、胎内仏が発見されたとのことです。
胎内仏も愛染明王坐像で、像高は6.6cm、カプセル状の容器に収められ、本体の愛染明王坐像の腹部の棚に固定されていたそうです。
像の内部が、もともと胎内仏の納入を前提に作られているなど、納入方法が全国的にもめずらしいものだそうです。
緻密な作りと鮮やかな色に驚かされました。
容器は一度も開けられた形跡がないようなので、700年以上前の鮮やかさなのでしょうか。
なお、この胎内仏は、修復された愛染明王坐像の胎内に戻されるため、今後は当分見ることができないとのことでした。

また、豪華な作りとファンタジックな内容が面白い奈良絵本「うばかわ〔姥皮〕」も興味深かったです。
2 甚目寺のほとけたち
甚目寺は真言宗の寺院であり、密教の曼荼羅から仁王像、十王像まで、多彩な仏画・仏像が伝来しているそうで、ここでは、それらの曼荼羅や仏像が展示されていました。
ここでは、等身大の10体が完備した南北朝時代の貴重な作例とされる十王像が展示されていましたが、同じ場所に展示されていた「奪衣婆〔だつえば〕坐像」の方がはるかに迫力がありました。

ここでの圧巻は、やはり今回の展覧会の最大の目玉「仁王像」です。
さすがに高さ3.5mの像は、迫力満点です。
阿形像と吽形像がスペースの関係でしょうが、背中合わせに展示されていました。
あるいは、左右反転すれば胴体の作りが両者ともにほとんど同じことを意識した展示なのでしょうか。


※仁王像(吽形):http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/jimokuji/jimokuji07.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
また、この像が、慶長2(1597)年に福島正則が清須城主だったときに、甚目寺に奉納した像であることを証明する墨書銘が、今回の解体修理で発見されたそうです。
※仁王像(吽形)の奉納銘:http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji11/jimokuji/jimokuji08.jpg(名古屋市博物館のサイトから)
この仁王像は、普段は南大門に安置されています。

3 名古屋城下と甚目寺
名古屋城下の人々にとって、霊場だけでなく、行楽地でもあった江戸時代の甚目寺の様子や、画家や文人が訪れる文化サロンとしての甚目寺が紹介されていました。
田中訥言や渡辺清の軸、中林竹洞の水墨画などが見応えがありました。
名古屋から甚目寺に出かけた人は、東門から境内に入ったそうです。

最終日で、夏休み最後の日曜日ということもあり、会場は家族連れで混雑していました。
展示方法が子どもにもわかりやすいように工夫されており、く甚目寺の魅力を多面的に明らかにする非常にバランスの取れた展覧会でした。

最初の看板の写真以外の写真は、名古屋市博物館の屋外通路に展示されていたミニ看板です。
わかりやすく親しみが持てる作りで、地下鉄の中吊り広告などでも使えばよいのに思いました。
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