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能面の展示に圧倒されました。

今日の名古屋は冬晴れの一日でした。
午前中、休暇を取って、徳川美術館に出かけました。
徳川美術館では、今年最初の企画展として「尾張徳川家の」〔2011年1月4日(火)~1月30日(日)〕が開催中でした。
徳川美術館のサイトの企画展「尾張徳川家の」のページ:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/index.html

徳川美術館201101_01

この展覧会は、尾張徳川家に伝えられた能面能装束
能道具を展示するとともに、近年、寄託された能面なども紹介するものとのことです。

は、約700年前の室町時代に、足利将軍家の庇護のもと観阿弥世阿弥親子が完成させた演劇で、と呼ばれる力強い声楽と、小鼓大鼓太鼓による楽器の演奏、能面をつけての所作やから成り、世界でもっとも簡略化された舞台演劇と言われています。

足利幕府3代将軍の義満が、観阿弥世阿弥親子を庇護して以来、能楽は武家の間で流行し、武家の公式行事に演じられるようになりました。
さらに江戸時代になると、江戸幕府を武家の式楽として定めたこともあり、各大名は能役者を召し抱え、装束小道具類を備えました。
大名にとっては、文化面での共有の素養となり、楽しみとなりました。そして、ただ鑑賞するだけでなく、自ら謡い、舞い、あるいは小鼓・笛といった楽器の演奏を嗜んでいることも多かったようです。

尾張徳川家では、初代義直以来、金春流をシテ方として重用し、3代綱誠宝生流金春流と同格に扱い、6代継友の時代には金剛流、10代斉朝観世流を重用したので、それぞれの流派にちなんだ能面などが調えられたとのことです。

徳川美術館には、尾張徳川家に伝えられた能面126面、狂言面30面が保存されているとのこと。
また、主として女役の表着として使用された“唐織”や少年から老人までの男性の着附のほか、荒神・鬼畜の類の役や年配の女性の上着にも用いられる“厚板(厚板唐織を含む)”が53領、刺繍を施して文様を表し、女性役の腰巻や貴族・童子の着附に用いられる“縫箔”や金箔や銀箔を糊で貼り付け文様を表した“摺箔”が21領、広袖で前後の身頃が離れ、前身はたくし上げて腰帯で結んで着付ける“狩衣”が21領、公達の鎧姿や優雅な舞いを舞う女性役の上着に使用される“長絹”が23領など、約700点の能装束が伝えられているそうです。
いずれも実際の演能のために備えていたもので、明治以降に蒐集されたコレクションとは一線を画し、江戸時代の華麗な大名能の神髄を今に伝えらているものだそうです。

展覧会は、企画展示室(第7・第8・第9展示室)で行われており、最初の第7展示室に入ると、まず膨大な数の能面の展示に圧倒されました。

最初に展示されていたのは、『能面箪笥』という能面を収納する小型の箪笥でした。
私は見るのが初めてだったので、興味深かったです。
※参考『能面 増 近江満昌作、能面箪笥』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h18/01/image/obj1_02.jpg徳川美術館のサイトから)

展示は、能の演目の種類、すなわち、怨霊などのシテの区別に分けて構成されていました。

最初は、鬼神系の装束などが展示されていました。
癋見〔べしみ〕にもかからず、『能面 長霊癋見』には神々しさのようなものを感じました。

また、「竹生島」などで龍神シテが用いる“冠り物”『龍戴』も展示されていました。
※『龍載』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/09.jpg徳川美術館のサイトから)

続いて、女性装束の展示でした。
では、『能面 節木増 伝出目満茂作』が興味深かったです。
節木増”というのは、宝生流増女”の一種で、このを作ったときに、たまたま節のある檜を使ったため、鼻の左側のつけねからヤニがにじみ出てうす青いしみになったものにもかかわらず、の出来がすばらしかったので、そのままにしたものだそうです。
その後、“節木増”と呼ばれる一つの形となったそうで、このもわざわざ節が鼻の左側になるようにして作られたものだそうです。
また、中年女性のうち、観世流宝生流の上掛かり二流が用いる“深井”『能面 深井 伝河内大掾家重作』と金春流金剛流喜多流の下掛かり三流が用いる“曲見”『能面 曲見』が並べて展示してあり、その違いについて「“深井”は添毛が3本ずつ3段に描かれ、“曲見”は添毛がわずかしか描かれないと」と説明されていました。
展示されているについて言えば、その通りなのですが、この区別が当てはまらないもあるような気がして、この説明には少し疑問を感じました。

絢爛豪華な“唐織”と“縫箔”も展示されていました。
中でも、白・黄色・赤・青・緑など10色にもおよぶ桜の花と蕾が華やかな『紅・白段金霞扇に枝垂桜文唐織』と白と紅の段に絞り分けて染めた白繻子地にタンポポが縫い出されている『紅・白段雪輪に蒲公英文摺箔』がすばらしかったです。
※『紅・白段金霞扇に枝垂桜文唐織』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/04.jpg徳川美術館のサイトから)
※『紅・白段雪輪に蒲公英文摺箔』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/05.jpg徳川美術館のサイトから)

続いて、男性怨霊などの装束の展示でした。

男性では、全体的に気品が感じられる『能面 蝉丸』と少年らしい表情にかわいさを感じさせる『能面 慈童』が印象に残りました。
また、神霊・怨霊では、うつろな眼が怖い『能面 蛙』と表情の柔らかさが却って不気味で、“般若”より怖い感じのする『能面 生成』が見応えがありました。

装束では、藍の地に金糸などで籠に活けられた水仙と椿が描かれている“長絹”『納戸地花籠に桐折枝文金襴長』が秀逸でした。
野宮」など恋人思う女性の亡霊のシテが身につけるとぴったりだと思いました。
※『納戸地花籠に桐折枝文金襴長絹』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/06.jpg徳川美術館のサイトから)

最近、徳川美術館に寄託された個人コレクションの展示では、アジサイの蒔絵が美しい『紫陽花蒔絵小鼓胴』が印象に残りました。

第8展示室には、打杖刀剣数珠などで使われる小道具が展示されていました。

ここでは、「安宅」の勧進帳の場面で用いる大きめの“巻物”と「海人」などで女性のシテが用いる小ぶりの“巻物”が並べて展示してあり、そのサイズを比較することができ、興味深かったです。

第9展示室では、狂言装束が展示されていました。

狂言面では、同じ動物でも、写実的な(『狂言面 狐』、『狂言面 猿』)と、擬人的な(『狂言面 狸』、『狂言面 鳶』)があることがわかり、面白かったです。
※『狂言面 狸』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/03.jpg徳川美術館のサイトから)

狂言装束では、「唐人相撲」のみで使われるの唐人装束が珍しかったです。
なお、江戸時代以前の完全に揃った「唐人相撲」の装束は、徳川美術館の収蔵品しか現存していないとのことでした。
※『萌黄地牡丹唐草文金襴唐人相撲装束』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/08.jpg徳川美術館のサイトから)

徳川美術館201101_02

今回の展覧会には、伝説的な能面の作者である日光越智吉舟作と伝えられる室町時代能面や、是閑吉満友閑満庸河内大掾家重など名人として名高い面打師達の能面が展示されており、尾張徳川家能面コレクションの質の高さを改めて知ることができました。
※『能面 中将 河内大掾家重作』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/01.jpg徳川美術館のサイトから)
※『能面 般若 是閑吉満』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/02.jpg徳川美術館のサイトから)

今回の展覧会では、これまであまり展示する機会がなかった能道具が数多く展示されており、見応えのある展覧会でした。
明後日(2011年1月30日)までの展示ですが、お近くの方はぜひ足をお運びください。



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Author:kinkun
名古屋春栄会のホームページの管理人

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