- 2011/01/31 名古屋市美術館 特別展「ポーラ美術館コレクション展」
- 2011/01/30 徳川園の冬牡丹
- 2011/01/29 蓬左文庫 「和歌の姿-詠歌の場-」、「尾張の神社-新春豆知識」
- 2011/01/28 徳川美術館 企画展「尾張徳川家の能」
- 2011/01/23 『トロン:レガシー』
- 2011/01/17 金春穂高師の演能の予定(2011年)
- 2011/01/16 雪の一日
- 2011/01/15 舎利(1)
- 2011/01/10 カネノナルキの花
- 2011/01/09 第41回名古屋春栄会
- 2011/01/08 『翁』の千才
- 2011/01/06 第41回名古屋春栄会 演目のあらまし
2011/01/31 21:27:03
ポーラ美術館コレクション展を見に行きました。
昨日(2011年1月30日)も名古屋は寒い一日でしたが、午前中、名古屋市美術館に出かけました。
名古屋市美術館では、特別展「ポーラ美術館コレクション展-印象派とエコール・ド・パリ-」〔2010年12月7日(火)~2011年2月6日(日)〕が開催中でした。
※名古屋市美術館のサイトの特別展「ポーラ美術館コレクション展-印象派とエコール・ド・パリ-」のページ:http://www.art-museum.city.nagoya.jp/tenrankai/2010/pola/

[2011年1月30日(日)撮影]
平成14(2002)年9月に神奈川県箱根仙石原に開館したポーラ美術館は、化粧品の製造販売を行うポーラ・オルビスグループのオーナーだった鈴木常司氏が40年の歳月をかけ収集した美術品を展示する美術館です。
鈴木氏が作家や作品について研究しながら収集したといわれるポーラ美術館のコレクションは、美術関係者からも高く評価されており、中でも西洋近代絵画は特に評価が高いそうです。
この展覧会では、これらの西洋近代絵画のうち、モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホ、スーラなど印象派15作家の作品36点と、ピカソ、モディリアーニ、シャガール、スーティン、フジタなどエコール・ド・パリ10作家の作品38点の合計25作家74点の名品を展示するものとのことです。
1階の展示室には印象派の作品が、2階の展示室にはエコール・ド・パリの作品が、作者ごとに展示されていました。
Ⅰ 印象派
最初に、ルノワールの作品が、その後、シスレー、ピサロの順に展示されていました。
ここでは、空と河の水の青色が美しい『ロマン河畔・朝』(シスレー)が印象に残りました。
※『ロマン河畔・朝』(アルフレッド・シスレー):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=21(ポーラ美術館のサイトから)
モネの7作品には、展示コーナーが設けてありました。
ここに、この展覧会で最も印象に残った『ジヴェルニーの積みわら』が展示されていました。
光がキラキラしている感じがこのように美しく描かれているのは驚きでした。見ていていつまでも飽きませんでした。
※『ジヴェルニーの積みわら』(クロード・モネ):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=59(ポーラ美術館のサイトから)
この展覧会のポスターやパンフレットに使われている『睡蓮』がこのコーナーの中央に展示してありましたが、じっと見ていると描かれている池の中に吸い込まれそうになる不思議な引力を感じる絵でした。
※『睡蓮』(クロード・モネ):http://www.art-museum.city.nagoya.jp/tenrankai/2010/pola/img/01.jpg(名古屋市美術館のサイトから)
また、雲に日光があたっている様子の描写が印象的な『セーヌ河の支流からみたアルジャントゥイュ』や水面に映る河畔の木々が美しい『グランド・ジャッド島』も印象に残りました。
※『セーヌ河の支流からみたアルジャントゥイュ』(クロード・モネ):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=64(ポーラ美術館のサイトから)
※『グランド・ジャッド島』(クロード・モネ):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=60(ポーラ美術館のサイトから)
さすがに、この展覧会の目玉とも言える展示だけあり、モネの作品は見応えがありました。
続いて、セザンヌ、ゴーガン、ゴッホの作品が展示されていました。
ここでは、木々の緑色が鮮やか『プロヴァンスの風景』(セザンヌ)、水面に使われている赤色がきらめきを表現しているのが目を引く『ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋』(ゴッホ)が印象に残りました。
※『プロヴァンスの風景』(ポール・セザンヌ):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=34(ポーラ美術館のサイトから)
※『ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋』(フィンセント・ファン・ゴッホ):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=18(ポーラ美術館のサイトから)
また、『ポン=タヴェンの木陰の母と子』(ゴーガン)は左右で異なる遠近法が使われており、浮世絵の影響がうかがえると説明されており、興味深かったです。
※『ポン=タヴェンの木陰の母と子』(ポール・ゴーガン):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=224(ポーラ美術館のサイトから)
この他、青色とオレンジ色で描かれた縁取りがユニークな『グランカンの干潮』(スーラ)や、花瓶の絵柄として歌舞伎か能と思われる赤頭の役者が描かれている『日本風の花瓶』(ルドン)も印象に残りました。
※『グランカンの干潮』(ジョルジュ・スーラ):http://www.art-museum.city.nagoya.jp/tenrankai/2010/pola/img/04.jpg(名古屋市美術館のサイトから)
※『日本風の花瓶』(瓶ン):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=91(ポーラ美術館のサイトから)
また、『三本のバラ』(シダネル)はテーブルの上のバラの花が誰かが置いて帰ったかのような雰囲気を醸し出し、劇の一場面を見るでした。
※『三本のバラ』(アンリ・ウジェーヌ・ル・シダネル):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=188(ポーラ美術館のサイトから)
Ⅱ エコール・ド・パリとピカソ
ここでの目玉は、やはりポーラ美術館が門外不出としてきたというピカソのいわゆる“青の時代”の代表作・『海辺の母子像』でしょう。
濃い青色で塗りこまれたこの作品は、不思議な神秘性をたたえていました。
※『海辺の母子像』(パブロ・ピカソ):http://www.nichibun-g.co.jp/?p=1530(日本文教出版のサイトから)
続いて、ユトリロ、ローランサン、モディリアーニの作品が展示されていました。
『ラ・ベル・ガブリエル』(ユトリロ)は、画面の右側にパリの路地にある居酒屋“ラ・ベル・ガブリエル”が描かれ、画面の左側の白い壁に落書きをしている人物が描かれていますが、この人物はユトリロ本人のようだという説明があり、興味深かったです。
また、『ルニア・チェホフスカの肖像』(モディリアーニ)は、青い目と長い首というモディリアーニの特徴がよく分かる作品でした。
※『ルニア・チェホフスカの肖像』(アメデオ・モディリアーニ):http://www.art-museum.city.nagoya.jp/tenrankai/2010/pola/img/05.jpg(名古屋市美術館のサイトから)
キスリングの作品では、女性の顔の表情の緻密さと女性の手や赤いドレス、背景の緑の椅子などのラフさが対照的な『ファルコネッティ嬢』が面白かったです。
また、『風景、パリ-ニース間の汽車』は、線路の切通しのために削られた斜面の白色が印象的でした。
フジタ(藤田嗣治)の『校庭』は並んで体操をしている子どもたちの表情が一人一人個性的で楽しめました。
個人的にはフジタの描く女の子の顔は不気味だと思いますが…(フジタファンの方、ごめんなさい)。
最後にシャガールの作品が5点、展示されていました。
ここでは、牝牛の顔に描かれた乳搾りの女性がユニークな『私と村』と鮮やかな黄色が目を引く『恋人たちとマーガレットの花』が印象に残りました。

[2011年1月30日(日)撮影]
日曜日の午前中ということで、そこそこ人はいましたが、思ったほど混雑はしていませんでした。
非常に見ごたえのある展覧会なので、少し残念でした。
会期はまだ1週間ありますので、お近くの方はぜひお出かけください。
昨日(2011年1月30日)も名古屋は寒い一日でしたが、午前中、名古屋市美術館に出かけました。
名古屋市美術館では、特別展「ポーラ美術館コレクション展-印象派とエコール・ド・パリ-」〔2010年12月7日(火)~2011年2月6日(日)〕が開催中でした。
※名古屋市美術館のサイトの特別展「ポーラ美術館コレクション展-印象派とエコール・ド・パリ-」のページ:http://www.art-museum.city.nagoya.jp/tenrankai/2010/pola/

[2011年1月30日(日)撮影]
平成14(2002)年9月に神奈川県箱根仙石原に開館したポーラ美術館は、化粧品の製造販売を行うポーラ・オルビスグループのオーナーだった鈴木常司氏が40年の歳月をかけ収集した美術品を展示する美術館です。
鈴木氏が作家や作品について研究しながら収集したといわれるポーラ美術館のコレクションは、美術関係者からも高く評価されており、中でも西洋近代絵画は特に評価が高いそうです。
この展覧会では、これらの西洋近代絵画のうち、モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホ、スーラなど印象派15作家の作品36点と、ピカソ、モディリアーニ、シャガール、スーティン、フジタなどエコール・ド・パリ10作家の作品38点の合計25作家74点の名品を展示するものとのことです。
1階の展示室には印象派の作品が、2階の展示室にはエコール・ド・パリの作品が、作者ごとに展示されていました。
Ⅰ 印象派
最初に、ルノワールの作品が、その後、シスレー、ピサロの順に展示されていました。
ここでは、空と河の水の青色が美しい『ロマン河畔・朝』(シスレー)が印象に残りました。
※『ロマン河畔・朝』(アルフレッド・シスレー):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=21(ポーラ美術館のサイトから)
モネの7作品には、展示コーナーが設けてありました。
ここに、この展覧会で最も印象に残った『ジヴェルニーの積みわら』が展示されていました。
光がキラキラしている感じがこのように美しく描かれているのは驚きでした。見ていていつまでも飽きませんでした。
※『ジヴェルニーの積みわら』(クロード・モネ):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=59(ポーラ美術館のサイトから)
この展覧会のポスターやパンフレットに使われている『睡蓮』がこのコーナーの中央に展示してありましたが、じっと見ていると描かれている池の中に吸い込まれそうになる不思議な引力を感じる絵でした。
※『睡蓮』(クロード・モネ):http://www.art-museum.city.nagoya.jp/tenrankai/2010/pola/img/01.jpg(名古屋市美術館のサイトから)
また、雲に日光があたっている様子の描写が印象的な『セーヌ河の支流からみたアルジャントゥイュ』や水面に映る河畔の木々が美しい『グランド・ジャッド島』も印象に残りました。
※『セーヌ河の支流からみたアルジャントゥイュ』(クロード・モネ):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=64(ポーラ美術館のサイトから)
※『グランド・ジャッド島』(クロード・モネ):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=60(ポーラ美術館のサイトから)
さすがに、この展覧会の目玉とも言える展示だけあり、モネの作品は見応えがありました。
続いて、セザンヌ、ゴーガン、ゴッホの作品が展示されていました。
ここでは、木々の緑色が鮮やか『プロヴァンスの風景』(セザンヌ)、水面に使われている赤色がきらめきを表現しているのが目を引く『ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋』(ゴッホ)が印象に残りました。
※『プロヴァンスの風景』(ポール・セザンヌ):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=34(ポーラ美術館のサイトから)
※『ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋』(フィンセント・ファン・ゴッホ):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=18(ポーラ美術館のサイトから)
また、『ポン=タヴェンの木陰の母と子』(ゴーガン)は左右で異なる遠近法が使われており、浮世絵の影響がうかがえると説明されており、興味深かったです。
※『ポン=タヴェンの木陰の母と子』(ポール・ゴーガン):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=224(ポーラ美術館のサイトから)
この他、青色とオレンジ色で描かれた縁取りがユニークな『グランカンの干潮』(スーラ)や、花瓶の絵柄として歌舞伎か能と思われる赤頭の役者が描かれている『日本風の花瓶』(ルドン)も印象に残りました。
※『グランカンの干潮』(ジョルジュ・スーラ):http://www.art-museum.city.nagoya.jp/tenrankai/2010/pola/img/04.jpg(名古屋市美術館のサイトから)
※『日本風の花瓶』(瓶ン):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=91(ポーラ美術館のサイトから)
また、『三本のバラ』(シダネル)はテーブルの上のバラの花が誰かが置いて帰ったかのような雰囲気を醸し出し、劇の一場面を見るでした。
※『三本のバラ』(アンリ・ウジェーヌ・ル・シダネル):http://www.polamuseum.or.jp/collection/02_04.php?collectiondataid=188(ポーラ美術館のサイトから)
Ⅱ エコール・ド・パリとピカソ
ここでの目玉は、やはりポーラ美術館が門外不出としてきたというピカソのいわゆる“青の時代”の代表作・『海辺の母子像』でしょう。
濃い青色で塗りこまれたこの作品は、不思議な神秘性をたたえていました。
※『海辺の母子像』(パブロ・ピカソ):http://www.nichibun-g.co.jp/?p=1530(日本文教出版のサイトから)
続いて、ユトリロ、ローランサン、モディリアーニの作品が展示されていました。
『ラ・ベル・ガブリエル』(ユトリロ)は、画面の右側にパリの路地にある居酒屋“ラ・ベル・ガブリエル”が描かれ、画面の左側の白い壁に落書きをしている人物が描かれていますが、この人物はユトリロ本人のようだという説明があり、興味深かったです。
また、『ルニア・チェホフスカの肖像』(モディリアーニ)は、青い目と長い首というモディリアーニの特徴がよく分かる作品でした。
※『ルニア・チェホフスカの肖像』(アメデオ・モディリアーニ):http://www.art-museum.city.nagoya.jp/tenrankai/2010/pola/img/05.jpg(名古屋市美術館のサイトから)
キスリングの作品では、女性の顔の表情の緻密さと女性の手や赤いドレス、背景の緑の椅子などのラフさが対照的な『ファルコネッティ嬢』が面白かったです。
また、『風景、パリ-ニース間の汽車』は、線路の切通しのために削られた斜面の白色が印象的でした。
フジタ(藤田嗣治)の『校庭』は並んで体操をしている子どもたちの表情が一人一人個性的で楽しめました。
個人的にはフジタの描く女の子の顔は不気味だと思いますが…(フジタファンの方、ごめんなさい)。
最後にシャガールの作品が5点、展示されていました。
ここでは、牝牛の顔に描かれた乳搾りの女性がユニークな『私と村』と鮮やかな黄色が目を引く『恋人たちとマーガレットの花』が印象に残りました。

[2011年1月30日(日)撮影]
日曜日の午前中ということで、そこそこ人はいましたが、思ったほど混雑はしていませんでした。
非常に見ごたえのある展覧会なので、少し残念でした。
会期はまだ1週間ありますので、お近くの方はぜひお出かけください。
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2011/01/30 15:17:51
冬牡丹の花が咲き始めていました。
一昨日、徳川美術館を訪ねました(2011年1月28日の日記参照)が、徳川園では冬牡丹の花が咲き始めていました。
徳川園の冬牡丹は、有料区域に入らなくても、黒門を入った蓬左文庫の前あたりで見ることができます。
※徳川園の公式サイト:http://www.tokugawaen.city.nagoya.jp/
北風の冷たい冬晴れの下、寒さに耐えて咲いている冬牡丹の花が美しかったです。

[冬牡丹「紫紅殿」:2010年1月28日(金)撮影]

[冬牡丹「島大臣」:2010年1月28日(金)撮影]
後に見えているのは、徳川園の売店です。

[冬牡丹「太陽」:2010年1月28日(金)撮影]

[冬牡丹「新日月」:2010年1月28日(金)撮影]

[冬牡丹「八千代椿」:2010年1月28日(金)撮影]
後に見えているのは、徳川美術館です
※「 」内の名称は、いずれも名札に記載してあった名称です。
なお、昨年、“徳川園の寒牡丹”として紹介し(2010年1月12日の日記参照)、“冬牡丹”というのは“寒牡丹”の別名だと説明しましたが、牡丹の花で有名な奈良の長谷寺のホームページによると、“寒牡丹”と“冬牡丹”は別のもののようです。
※長谷寺の公式サイト:http://www.hasedera.or.jp/
以下は、長谷寺のホームページの説明の引用です。
***************
寒牡丹
春につく蕾はつみ取り、夏の終わり頃に葉をつみ取って花期を遅らせ、藁の霜囲いをして暖かいところに保護すると冬に開花する 。
冬牡丹
春咲きの品種を人工で温度調節し、冬に咲かせる牡丹。
寒牡丹と冬牡丹の違いで一目で区別するには、緑の葉があれば『冬牡丹』、葉が無く花だけのものが『寒牡丹』です。
***************
現在、徳川園で咲いている牡丹は、全て緑の葉がありますので、“冬牡丹”と呼ぶのが正しいようです。
お詫びして訂正させていただきます。
一昨日、徳川美術館を訪ねました(2011年1月28日の日記参照)が、徳川園では冬牡丹の花が咲き始めていました。
徳川園の冬牡丹は、有料区域に入らなくても、黒門を入った蓬左文庫の前あたりで見ることができます。
※徳川園の公式サイト:http://www.tokugawaen.city.nagoya.jp/
北風の冷たい冬晴れの下、寒さに耐えて咲いている冬牡丹の花が美しかったです。

[冬牡丹「紫紅殿」:2010年1月28日(金)撮影]

[冬牡丹「島大臣」:2010年1月28日(金)撮影]
後に見えているのは、徳川園の売店です。

[冬牡丹「太陽」:2010年1月28日(金)撮影]

[冬牡丹「新日月」:2010年1月28日(金)撮影]

[冬牡丹「八千代椿」:2010年1月28日(金)撮影]
後に見えているのは、徳川美術館です
※「 」内の名称は、いずれも名札に記載してあった名称です。
なお、昨年、“徳川園の寒牡丹”として紹介し(2010年1月12日の日記参照)、“冬牡丹”というのは“寒牡丹”の別名だと説明しましたが、牡丹の花で有名な奈良の長谷寺のホームページによると、“寒牡丹”と“冬牡丹”は別のもののようです。
※長谷寺の公式サイト:http://www.hasedera.or.jp/
以下は、長谷寺のホームページの説明の引用です。
***************
寒牡丹
春につく蕾はつみ取り、夏の終わり頃に葉をつみ取って花期を遅らせ、藁の霜囲いをして暖かいところに保護すると冬に開花する 。
冬牡丹
春咲きの品種を人工で温度調節し、冬に咲かせる牡丹。
寒牡丹と冬牡丹の違いで一目で区別するには、緑の葉があれば『冬牡丹』、葉が無く花だけのものが『寒牡丹』です。
***************
現在、徳川園で咲いている牡丹は、全て緑の葉がありますので、“冬牡丹”と呼ぶのが正しいようです。
お詫びして訂正させていただきます。
2011/01/29 22:09:04
蓬左文庫にも行きました。
昨日(2011年1月28日)は、徳川美術館と共に蓬左文庫の展示も見学しました。

[2011年1月28日(金)撮影]
蓬左文庫では、「和歌の姿-詠歌の場-」と「尾張の神社-新春豆知識」という2つの展示〔いずれも、2011年1月4日(火)~2月13日(日)〕が開催中でした。
※名古屋市蓬左文庫のサイトの展示案内のページ:http://housa.city.nagoya.jp/exhibition/index.html
「和歌の姿-詠歌の場-」は、展示室1で開催されていました。
和歌が詠まれ、発表された場である歌合や歌会にかかわる展示でした。
懐紙や短冊の展示では、打雲紙が美しい『和歌懐紙「百年の」』が印象に残りました。
歌がるたの展示では、絵と文字が1枚1枚丁寧にえ書かれている『伊勢物語かるた』がすばらしかったです。
また、収納箱も一緒に展示されていましたが、持ち主の貞徳院矩姫(尾張徳川家14代慶勝夫人)の実家である丹羽家の家紋(棒違紋)が金蒔絵で装飾されており、その美しさが目を引きました。
この他、歌会で用いられた文台や硯箱などの道具も展示されていました。
「尾張の神社-新春豆知識」は、展示室2で開催されていました。
三種の神器のひとつで、古事記・日本書紀のヤマトタケル伝承でも有名な草薙剣を祭ってきた熱田神宮と尾張地域の神社の歴史についての関連資料の展示でした。
明治26(1890)年に伊勢神宮と同じ神明造で建て替えられる前の">尾張造という尾張地方特有の建築様式の社殿の様子がわかる『熱田祭奠年中行事図絵』と『尾張名所図会 前編』が印象に残りました。
なお、このときの社殿は、太平洋戦争の空襲で消失しましたが、その後、昭和30(1955)年10月に再建された現在の社殿も伊勢神宮と同じ神明造です。
なお、展示室1では「源氏物語の世界」〔2011年1月4日(火)~2月13日(日)〕という展示も開催中でした。
ここでは、色鮮やかな『源氏物語画帖 詞書徳川秀忠筆』や白描というシンプルな画法が逆に想像力を刺激する『白描源氏物語色紙画帖』が印象的でした。
平成17(2005)年に新たに徳川美術館が購入したという『源氏物語図屏風』も展示されていました。
葵の紋の表具裂から徳川家ゆかりの品と判断したようです。
また、『源氏御祝言』、『源氏雪見ノ図』、『源氏物語五十四帖』という源氏物語を題材にした歌川国貞(3代豊国)の3点の浮世絵が展示されていましたが、これは和宮降嫁を源氏物語の世界に置き換えた作品だという説明があり、興味深かったです。
なお、この「源氏物語の世界」は、蓬左文庫のホームページでも広報されていません。
見応えのある展示だけに少し残念に感じました。
昨日(2011年1月28日)は、徳川美術館と共に蓬左文庫の展示も見学しました。

[2011年1月28日(金)撮影]
蓬左文庫では、「和歌の姿-詠歌の場-」と「尾張の神社-新春豆知識」という2つの展示〔いずれも、2011年1月4日(火)~2月13日(日)〕が開催中でした。
※名古屋市蓬左文庫のサイトの展示案内のページ:http://housa.city.nagoya.jp/exhibition/index.html
「和歌の姿-詠歌の場-」は、展示室1で開催されていました。
和歌が詠まれ、発表された場である歌合や歌会にかかわる展示でした。
懐紙や短冊の展示では、打雲紙が美しい『和歌懐紙「百年の」』が印象に残りました。
歌がるたの展示では、絵と文字が1枚1枚丁寧にえ書かれている『伊勢物語かるた』がすばらしかったです。
また、収納箱も一緒に展示されていましたが、持ち主の貞徳院矩姫(尾張徳川家14代慶勝夫人)の実家である丹羽家の家紋(棒違紋)が金蒔絵で装飾されており、その美しさが目を引きました。
この他、歌会で用いられた文台や硯箱などの道具も展示されていました。
「尾張の神社-新春豆知識」は、展示室2で開催されていました。
三種の神器のひとつで、古事記・日本書紀のヤマトタケル伝承でも有名な草薙剣を祭ってきた熱田神宮と尾張地域の神社の歴史についての関連資料の展示でした。
明治26(1890)年に伊勢神宮と同じ神明造で建て替えられる前の">尾張造という尾張地方特有の建築様式の社殿の様子がわかる『熱田祭奠年中行事図絵』と『尾張名所図会 前編』が印象に残りました。
なお、このときの社殿は、太平洋戦争の空襲で消失しましたが、その後、昭和30(1955)年10月に再建された現在の社殿も伊勢神宮と同じ神明造です。
なお、展示室1では「源氏物語の世界」〔2011年1月4日(火)~2月13日(日)〕という展示も開催中でした。
ここでは、色鮮やかな『源氏物語画帖 詞書徳川秀忠筆』や白描というシンプルな画法が逆に想像力を刺激する『白描源氏物語色紙画帖』が印象的でした。
平成17(2005)年に新たに徳川美術館が購入したという『源氏物語図屏風』も展示されていました。
葵の紋の表具裂から徳川家ゆかりの品と判断したようです。
また、『源氏御祝言』、『源氏雪見ノ図』、『源氏物語五十四帖』という源氏物語を題材にした歌川国貞(3代豊国)の3点の浮世絵が展示されていましたが、これは和宮降嫁を源氏物語の世界に置き換えた作品だという説明があり、興味深かったです。
なお、この「源氏物語の世界」は、蓬左文庫のホームページでも広報されていません。
見応えのある展示だけに少し残念に感じました。
2011/01/28 23:49:57
能面の展示に圧倒されました。
今日の名古屋は冬晴れの一日でした。
午前中、休暇を取って、徳川美術館に出かけました。
徳川美術館では、今年最初の企画展として「尾張徳川家の能」〔2011年1月4日(火)~1月30日(日)〕が開催中でした。
※徳川美術館のサイトの企画展「尾張徳川家の能」のページ:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/index.html

この展覧会は、尾張徳川家に伝えられた能面や能装束、
能道具を展示するとともに、近年、寄託された能面なども紹介するものとのことです。
能は、約700年前の室町時代に、足利将軍家の庇護のもと観阿弥・世阿弥親子が完成させた演劇で、謡と呼ばれる力強い声楽と、笛・小鼓・大鼓・太鼓による楽器の演奏、能面をつけての所作や舞から成り、世界でもっとも簡略化された舞台演劇と言われています。
足利幕府3代将軍の義満が、観阿弥・世阿弥親子を庇護して以来、能楽は武家の間で流行し、武家の公式行事に演じられるようになりました。
さらに江戸時代になると、江戸幕府が能を武家の式楽として定めたこともあり、各大名は能役者を召し抱え、装束・面・小道具類を備えました。
大名にとって能は、文化面での共有の素養となり、楽しみとなりました。そして、ただ鑑賞するだけでなく、自ら謡い、舞い、あるいは小鼓・笛といった楽器の演奏を嗜んでいることも多かったようです。
尾張徳川家では、初代義直以来、金春流をシテ方として重用し、3代綱誠は宝生流を金春流と同格に扱い、6代継友の時代には金剛流、10代斉朝は観世流を重用したので、それぞれの流派にちなんだ能面などが調えられたとのことです。
徳川美術館には、尾張徳川家に伝えられた能面126面、狂言面30面が保存されているとのこと。
また、主として女役の表着として使用された“唐織”や少年から老人までの男性の着附のほか、荒神・鬼畜の類の役や年配の女性の上着にも用いられる“厚板(厚板唐織を含む)”が53領、刺繍を施して文様を表し、女性役の腰巻や貴族・童子の着附に用いられる“縫箔”や金箔や銀箔を糊で貼り付け文様を表した“摺箔”が21領、広袖で前後の身頃が離れ、前身はたくし上げて腰帯で結んで着付ける“狩衣”が21領、公達の鎧姿や優雅な舞いを舞う女性役の上着に使用される“長絹”が23領など、約700点の能装束が伝えられているそうです。
いずれも実際の演能のために備えていたもので、明治以降に蒐集されたコレクションとは一線を画し、江戸時代の華麗な大名能の神髄を今に伝えらているものだそうです。
展覧会は、企画展示室(第7・第8・第9展示室)で行われており、最初の第7展示室に入ると、まず膨大な数の能面の展示に圧倒されました。
最初に展示されていたのは、『能面箪笥』という能面を収納する小型の箪笥でした。
私は見るのが初めてだったので、興味深かったです。
※参考『能面 増 近江満昌作、能面箪笥』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h18/01/image/obj1_02.jpg(徳川美術館のサイトから)
展示は、能の演目の種類、すなわち、尉、女、男、怨霊などのシテの区別に分けて構成されていました。
最初は、翁、尉、鬼神系の面、装束などが展示されていました。
癋見〔べしみ〕面にもかからず、『能面 長霊癋見』には神々しさのようなものを感じました。
また、「竹生島」などで龍神のシテが用いる“冠り物”『龍戴』も展示されていました。
※『龍載』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/09.jpg(徳川美術館のサイトから)
続いて、女性の面、装束の展示でした。
面では、『能面 節木増 伝出目満茂作』が興味深かったです。
“節木増”というのは、宝生流の面“増女”の一種で、この面を作ったときに、たまたま節のある檜を使ったため、鼻の左側のつけねからヤニがにじみ出てうす青いしみになったものにもかかわらず、面の出来がすばらしかったので、そのままにしたものだそうです。
その後、“節木増”と呼ばれる一つの形となったそうで、この面もわざわざ節が鼻の左側になるようにして作られたものだそうです。
また、中年女性の面のうち、観世流、宝生流の上掛かり二流が用いる“深井”『能面 深井 伝河内大掾家重作』と金春流、金剛流、喜多流の下掛かり三流が用いる“曲見”『能面 曲見』が並べて展示してあり、その違いについて「“深井”は添毛が3本ずつ3段に描かれ、“曲見”は添毛がわずかしか描かれないと」と説明されていました。
展示されている面について言えば、その通りなのですが、この区別が当てはまらない面もあるような気がして、この説明には少し疑問を感じました。
絢爛豪華な“唐織”と“縫箔”も展示されていました。
中でも、白・黄色・赤・青・緑など10色にもおよぶ桜の花と蕾が華やかな『紅・白段金霞扇に枝垂桜文唐織』と白と紅の段に絞り分けて染めた白繻子地にタンポポが縫い出されている『紅・白段雪輪に蒲公英文摺箔』がすばらしかったです。
※『紅・白段金霞扇に枝垂桜文唐織』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/04.jpg(徳川美術館のサイトから)
※『紅・白段雪輪に蒲公英文摺箔』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/05.jpg(徳川美術館のサイトから)
続いて、男性、怨霊などの面、装束の展示でした。
男性の面では、全体的に気品が感じられる『能面 蝉丸』と少年らしい表情にかわいさを感じさせる『能面 慈童』が印象に残りました。
また、神霊・怨霊の面では、うつろな眼が怖い『能面 蛙』と表情の柔らかさが却って不気味で、“般若”より怖い感じのする『能面 生成』が見応えがありました。
装束では、藍の地に金糸などで籠に活けられた水仙と椿が描かれている“長絹”『納戸地花籠に桐折枝文金襴長絹』が秀逸でした。
「野宮」など恋人思う女性の亡霊のシテが身につけるとぴったりだと思いました。
※『納戸地花籠に桐折枝文金襴長絹』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/06.jpg(徳川美術館のサイトから)
最近、徳川美術館に寄託された個人コレクションの展示では、アジサイの蒔絵が美しい『紫陽花蒔絵小鼓胴』が印象に残りました。
第8展示室には、扇、打杖、刀剣、数珠など能で使われる小道具が展示されていました。
ここでは、「安宅」の勧進帳の場面で用いる大きめの“巻物”と「海人」などで女性のシテが用いる小ぶりの“巻物”が並べて展示してあり、そのサイズを比較することができ、興味深かったです。
第9展示室では、狂言の面と装束が展示されていました。
狂言面では、同じ動物の面でも、写実的な面(『狂言面 狐』、『狂言面 猿』)と、擬人的な面(『狂言面 狸』、『狂言面 鳶』)があることがわかり、面白かったです。
※『狂言面 狸』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/03.jpg(徳川美術館のサイトから)
狂言装束では、「唐人相撲」のみで使われるの唐人装束が珍しかったです。
なお、江戸時代以前の完全に揃った「唐人相撲」の装束は、徳川美術館の収蔵品しか現存していないとのことでした。
※『萌黄地牡丹唐草文金襴唐人相撲装束』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/08.jpg(徳川美術館のサイトから)

今回の展覧会には、伝説的な能面の作者である日光や越智吉舟作と伝えられる室町時代の能面や、是閑吉満や友閑満庸、河内大掾家重など名人として名高い面打師達の能面が展示されており、尾張徳川家の能面コレクションの質の高さを改めて知ることができました。
※『能面 中将 河内大掾家重作』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/01.jpg(徳川美術館のサイトから)
※『能面 般若 是閑吉満作』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/02.jpg(徳川美術館のサイトから)
今回の展覧会では、これまであまり展示する機会がなかった能道具が数多く展示されており、見応えのある展覧会でした。
明後日(2011年1月30日)までの展示ですが、お近くの方はぜひ足をお運びください。
今日の名古屋は冬晴れの一日でした。
午前中、休暇を取って、徳川美術館に出かけました。
徳川美術館では、今年最初の企画展として「尾張徳川家の能」〔2011年1月4日(火)~1月30日(日)〕が開催中でした。
※徳川美術館のサイトの企画展「尾張徳川家の能」のページ:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/index.html

この展覧会は、尾張徳川家に伝えられた能面や能装束、
能道具を展示するとともに、近年、寄託された能面なども紹介するものとのことです。
能は、約700年前の室町時代に、足利将軍家の庇護のもと観阿弥・世阿弥親子が完成させた演劇で、謡と呼ばれる力強い声楽と、笛・小鼓・大鼓・太鼓による楽器の演奏、能面をつけての所作や舞から成り、世界でもっとも簡略化された舞台演劇と言われています。
足利幕府3代将軍の義満が、観阿弥・世阿弥親子を庇護して以来、能楽は武家の間で流行し、武家の公式行事に演じられるようになりました。
さらに江戸時代になると、江戸幕府が能を武家の式楽として定めたこともあり、各大名は能役者を召し抱え、装束・面・小道具類を備えました。
大名にとって能は、文化面での共有の素養となり、楽しみとなりました。そして、ただ鑑賞するだけでなく、自ら謡い、舞い、あるいは小鼓・笛といった楽器の演奏を嗜んでいることも多かったようです。
尾張徳川家では、初代義直以来、金春流をシテ方として重用し、3代綱誠は宝生流を金春流と同格に扱い、6代継友の時代には金剛流、10代斉朝は観世流を重用したので、それぞれの流派にちなんだ能面などが調えられたとのことです。
徳川美術館には、尾張徳川家に伝えられた能面126面、狂言面30面が保存されているとのこと。
また、主として女役の表着として使用された“唐織”や少年から老人までの男性の着附のほか、荒神・鬼畜の類の役や年配の女性の上着にも用いられる“厚板(厚板唐織を含む)”が53領、刺繍を施して文様を表し、女性役の腰巻や貴族・童子の着附に用いられる“縫箔”や金箔や銀箔を糊で貼り付け文様を表した“摺箔”が21領、広袖で前後の身頃が離れ、前身はたくし上げて腰帯で結んで着付ける“狩衣”が21領、公達の鎧姿や優雅な舞いを舞う女性役の上着に使用される“長絹”が23領など、約700点の能装束が伝えられているそうです。
いずれも実際の演能のために備えていたもので、明治以降に蒐集されたコレクションとは一線を画し、江戸時代の華麗な大名能の神髄を今に伝えらているものだそうです。
展覧会は、企画展示室(第7・第8・第9展示室)で行われており、最初の第7展示室に入ると、まず膨大な数の能面の展示に圧倒されました。
最初に展示されていたのは、『能面箪笥』という能面を収納する小型の箪笥でした。
私は見るのが初めてだったので、興味深かったです。
※参考『能面 増 近江満昌作、能面箪笥』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h18/01/image/obj1_02.jpg(徳川美術館のサイトから)
展示は、能の演目の種類、すなわち、尉、女、男、怨霊などのシテの区別に分けて構成されていました。
最初は、翁、尉、鬼神系の面、装束などが展示されていました。
癋見〔べしみ〕面にもかからず、『能面 長霊癋見』には神々しさのようなものを感じました。
また、「竹生島」などで龍神のシテが用いる“冠り物”『龍戴』も展示されていました。
※『龍載』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/09.jpg(徳川美術館のサイトから)
続いて、女性の面、装束の展示でした。
面では、『能面 節木増 伝出目満茂作』が興味深かったです。
“節木増”というのは、宝生流の面“増女”の一種で、この面を作ったときに、たまたま節のある檜を使ったため、鼻の左側のつけねからヤニがにじみ出てうす青いしみになったものにもかかわらず、面の出来がすばらしかったので、そのままにしたものだそうです。
その後、“節木増”と呼ばれる一つの形となったそうで、この面もわざわざ節が鼻の左側になるようにして作られたものだそうです。
また、中年女性の面のうち、観世流、宝生流の上掛かり二流が用いる“深井”『能面 深井 伝河内大掾家重作』と金春流、金剛流、喜多流の下掛かり三流が用いる“曲見”『能面 曲見』が並べて展示してあり、その違いについて「“深井”は添毛が3本ずつ3段に描かれ、“曲見”は添毛がわずかしか描かれないと」と説明されていました。
展示されている面について言えば、その通りなのですが、この区別が当てはまらない面もあるような気がして、この説明には少し疑問を感じました。
絢爛豪華な“唐織”と“縫箔”も展示されていました。
中でも、白・黄色・赤・青・緑など10色にもおよぶ桜の花と蕾が華やかな『紅・白段金霞扇に枝垂桜文唐織』と白と紅の段に絞り分けて染めた白繻子地にタンポポが縫い出されている『紅・白段雪輪に蒲公英文摺箔』がすばらしかったです。
※『紅・白段金霞扇に枝垂桜文唐織』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/04.jpg(徳川美術館のサイトから)
※『紅・白段雪輪に蒲公英文摺箔』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/05.jpg(徳川美術館のサイトから)
続いて、男性、怨霊などの面、装束の展示でした。
男性の面では、全体的に気品が感じられる『能面 蝉丸』と少年らしい表情にかわいさを感じさせる『能面 慈童』が印象に残りました。
また、神霊・怨霊の面では、うつろな眼が怖い『能面 蛙』と表情の柔らかさが却って不気味で、“般若”より怖い感じのする『能面 生成』が見応えがありました。
装束では、藍の地に金糸などで籠に活けられた水仙と椿が描かれている“長絹”『納戸地花籠に桐折枝文金襴長絹』が秀逸でした。
「野宮」など恋人思う女性の亡霊のシテが身につけるとぴったりだと思いました。
※『納戸地花籠に桐折枝文金襴長絹』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/06.jpg(徳川美術館のサイトから)
最近、徳川美術館に寄託された個人コレクションの展示では、アジサイの蒔絵が美しい『紫陽花蒔絵小鼓胴』が印象に残りました。
第8展示室には、扇、打杖、刀剣、数珠など能で使われる小道具が展示されていました。
ここでは、「安宅」の勧進帳の場面で用いる大きめの“巻物”と「海人」などで女性のシテが用いる小ぶりの“巻物”が並べて展示してあり、そのサイズを比較することができ、興味深かったです。
第9展示室では、狂言の面と装束が展示されていました。
狂言面では、同じ動物の面でも、写実的な面(『狂言面 狐』、『狂言面 猿』)と、擬人的な面(『狂言面 狸』、『狂言面 鳶』)があることがわかり、面白かったです。
※『狂言面 狸』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/03.jpg(徳川美術館のサイトから)
狂言装束では、「唐人相撲」のみで使われるの唐人装束が珍しかったです。
なお、江戸時代以前の完全に揃った「唐人相撲」の装束は、徳川美術館の収蔵品しか現存していないとのことでした。
※『萌黄地牡丹唐草文金襴唐人相撲装束』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/08.jpg(徳川美術館のサイトから)

今回の展覧会には、伝説的な能面の作者である日光や越智吉舟作と伝えられる室町時代の能面や、是閑吉満や友閑満庸、河内大掾家重など名人として名高い面打師達の能面が展示されており、尾張徳川家の能面コレクションの質の高さを改めて知ることができました。
※『能面 中将 河内大掾家重作』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/01.jpg(徳川美術館のサイトから)
※『能面 般若 是閑吉満作』:http://www.tokugawa-art-museum.jp/planning/h23/01/image/02.jpg(徳川美術館のサイトから)
今回の展覧会では、これまであまり展示する機会がなかった能道具が数多く展示されており、見応えのある展覧会でした。
明後日(2011年1月30日)までの展示ですが、お近くの方はぜひ足をお運びください。
2011/01/23 22:06:50
109シネマズ名古屋でIMAX-3D(字幕版)で見ました。
3D映像の迫力に圧倒されました。
また、3D映画の字幕版は初体験でしたが、言われているほど見づらくなかったです。
※『トロン:レガシー』の公式サイト:http://www.disney.co.jp/tron/menu.html
※109シネマズ名古屋の公式サイト:http://109cinemas.net/nagoya/
『トロン:レガシー』は、『トロン』(1982年)の続編です。
コンピューター世界の反乱を収めたケヴィン・フリンの後日譚という設定で、ケヴィン・フリンとその息子・サム・フリン、そしてサムを父のところに導くミステリアスな美しい女性・クオラの仮想空間で活躍が描かれます。
ケヴィン・フリン役は、前作に引き続きジェフ・ブリッジス(Jeff Bridges)。
息子のサム・フリン役はギャレット・ヘドランド(Garrett Hedlund)、クオラ役はオリヴィア・ワイルド(Olivia Wilde)。
なお、アラン・ブラッドリー役も前作に引き続き、ブルース・ボックスライトナー(Bruce Boxleitner)です。
監督は、ジョセフ・コシンスキー(Joseph Kosinski)で、前作の監督のスティーブン・リズバーガー(Steven Lisberger)は製作にまわっています。
映画は2D映像でスタートし、仮想空間に舞台が移ると3D映像になるという作りです。
映画が3D映像になった瞬間は、衝撃を感じるほどのクオリティの高さに驚きました。
この差を際立たせるために、現実の場面を2D映像にしたのでしょう。
特に、仮想空間で登場するライト・サイクル(バイク)でのバトルはまさに圧巻です。
この仮想空間での8つアクションシーン(合計約43分)がIMAX-3Dのみの特別映像になっているとのことでした。
これまで、IMAX-3Dスクリーンで見た『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年6月8日の日記参照)や『トイ・ストーリー3』(2010年7月18日の日記参照)とは、3Dとしての完成度が格段に違います。
また、独立した5つの音声チャンネルを持つというIMAX専用スピーカーから放たれる音は、360度身体全体が包み込まれるような感じになりました。
シアター内を振動させるような重低音もすばらしかったです。
ただ、ストーリー的には、サムが自分を捨てたと思っていた父・ケヴィンとの再開、ケヴィンとアランの仮想空間に対する思い、プログラムとユーザーの関係など面白い見どころがあるにもかかわらず、物足りなさが残りました。
仮想空間でのビジュアル表現に力が注がれており、ストーリー展開の詰めが甘く感じられました。
ただ、この迫力を実感するのは映画館の大画面でないと無理だと思うので、DVDとの差別化のためにはストーリーよりも3D映像に力を入れるというのも必要なことかもしれません。
最新のCG技術満載の映画ですが、不思議なことにバトルシーンではどこか懐かしさを感じました。
ただ、私が本当に懐かしく感じたのは、サムが埃だらけのゲームセンターで電気のスイッチを入れた瞬間に大音量で流れるJourneyの「Separate Ways (Worlds Apart)」を聞いたときでした。
80年代の記憶が一瞬にして蘇りました。
※「Separate Ways (Worlds Apart)」〔Journey〕:http://www.youtube.com/watch?v=afHQd-lP4yU(YOUTUBEから)
これで、昨年夏に3D映画初体験の『アリス・イン・ワンダーランド』を見たときに、予告編を見た『トイ・ストーリー3』と『トロン:レガシー』を両方とも見たことになりました。
…ということは、今日予告編をみた『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』も見ることになりそうです。
3D映像の迫力に圧倒されました。
また、3D映画の字幕版は初体験でしたが、言われているほど見づらくなかったです。
※『トロン:レガシー』の公式サイト:http://www.disney.co.jp/tron/menu.html
※109シネマズ名古屋の公式サイト:http://109cinemas.net/nagoya/
『トロン:レガシー』は、『トロン』(1982年)の続編です。
コンピューター世界の反乱を収めたケヴィン・フリンの後日譚という設定で、ケヴィン・フリンとその息子・サム・フリン、そしてサムを父のところに導くミステリアスな美しい女性・クオラの仮想空間で活躍が描かれます。
ケヴィン・フリン役は、前作に引き続きジェフ・ブリッジス(Jeff Bridges)。
息子のサム・フリン役はギャレット・ヘドランド(Garrett Hedlund)、クオラ役はオリヴィア・ワイルド(Olivia Wilde)。
なお、アラン・ブラッドリー役も前作に引き続き、ブルース・ボックスライトナー(Bruce Boxleitner)です。
監督は、ジョセフ・コシンスキー(Joseph Kosinski)で、前作の監督のスティーブン・リズバーガー(Steven Lisberger)は製作にまわっています。
映画は2D映像でスタートし、仮想空間に舞台が移ると3D映像になるという作りです。
映画が3D映像になった瞬間は、衝撃を感じるほどのクオリティの高さに驚きました。
この差を際立たせるために、現実の場面を2D映像にしたのでしょう。
特に、仮想空間で登場するライト・サイクル(バイク)でのバトルはまさに圧巻です。
この仮想空間での8つアクションシーン(合計約43分)がIMAX-3Dのみの特別映像になっているとのことでした。
これまで、IMAX-3Dスクリーンで見た『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年6月8日の日記参照)や『トイ・ストーリー3』(2010年7月18日の日記参照)とは、3Dとしての完成度が格段に違います。
また、独立した5つの音声チャンネルを持つというIMAX専用スピーカーから放たれる音は、360度身体全体が包み込まれるような感じになりました。
シアター内を振動させるような重低音もすばらしかったです。
ただ、ストーリー的には、サムが自分を捨てたと思っていた父・ケヴィンとの再開、ケヴィンとアランの仮想空間に対する思い、プログラムとユーザーの関係など面白い見どころがあるにもかかわらず、物足りなさが残りました。
仮想空間でのビジュアル表現に力が注がれており、ストーリー展開の詰めが甘く感じられました。
ただ、この迫力を実感するのは映画館の大画面でないと無理だと思うので、DVDとの差別化のためにはストーリーよりも3D映像に力を入れるというのも必要なことかもしれません。
最新のCG技術満載の映画ですが、不思議なことにバトルシーンではどこか懐かしさを感じました。
ただ、私が本当に懐かしく感じたのは、サムが埃だらけのゲームセンターで電気のスイッチを入れた瞬間に大音量で流れるJourneyの「Separate Ways (Worlds Apart)」を聞いたときでした。
80年代の記憶が一瞬にして蘇りました。
※「Separate Ways (Worlds Apart)」〔Journey〕:http://www.youtube.com/watch?v=afHQd-lP4yU(YOUTUBEから)
これで、昨年夏に3D映画初体験の『アリス・イン・ワンダーランド』を見たときに、予告編を見た『トイ・ストーリー3』と『トロン:レガシー』を両方とも見たことになりました。
…ということは、今日予告編をみた『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』も見ることになりそうです。
2011/01/17 20:41:35
今年の金春穂高師の演能の予定です。
今年(平成23年)の金春穂高師の演能の予定です。
○金春会定期能 能「頼政」
日時:3月13日(日)12:30~
場所:国立能楽堂
○真木山神社奉納能 能「翁」
日時:4月18日(月)15:00~
場所:真木山神社(三重県伊賀市)
○奈良金春会 能「舎利」
日時:4月24日(日)13:00~
場所:奈良県新公会堂・能楽ホール
○薪御能・咒師走りの儀 能「翁」
日時:5月20日(金)11:00~
場所:春日大社舞殿
○大阪金春会 能「源氏供養」
日時:6月29日(水)18:00~
場所:大槻能楽堂
○なら燈火会能 能「項羽」
日時:8月6日(土)14:00~ 場所:奈良県新公会堂・能楽ホール
○銀座金春祭 能「弓矢立会」
日時:8月7日(土)18:00~
場所:銀座金春通
○興福寺塔影能 能「舟弁慶」
日時:10月1日(土)17:30~
場所:興福寺・東金堂
○奈良金春会 能「弓八幡」
日時:10月16日(日)13:00~
場所:奈良県新公会堂・能楽ホール
○名古屋金春会 能「舎利」
日時:11月5日(土)14:00~
場所:名古屋能楽堂
○春日若宮おん祭・後宴能 能「経政」
日時:12月18日(日)14:00~
場所:春日御旅所
料金等は、名古屋春栄会のサイトで確認してください。
※名古屋春栄会のサイト:http://www.syuneikai.net/
お近くの方は、ぜひ足をお運びください。
また、名古屋春栄会のサイトに1月9日に行われた第41回名古屋春栄会の写真を掲載しました。
※第41回名古屋春栄会 フォトギャラリー:http://www.syuneikai.net/syunei41photo.htm
こちらもぜひ一度ご覧ください。
今年(平成23年)の金春穂高師の演能の予定です。
○金春会定期能 能「頼政」
日時:3月13日(日)12:30~
場所:国立能楽堂
○真木山神社奉納能 能「翁」
日時:4月18日(月)15:00~
場所:真木山神社(三重県伊賀市)
○奈良金春会 能「舎利」
日時:4月24日(日)13:00~
場所:奈良県新公会堂・能楽ホール
○薪御能・咒師走りの儀 能「翁」
日時:5月20日(金)11:00~
場所:春日大社舞殿
○大阪金春会 能「源氏供養」
日時:6月29日(水)18:00~
場所:大槻能楽堂
○なら燈火会能 能「項羽」
日時:8月6日(土)14:00~ 場所:奈良県新公会堂・能楽ホール
○銀座金春祭 能「弓矢立会」
日時:8月7日(土)18:00~
場所:銀座金春通
○興福寺塔影能 能「舟弁慶」
日時:10月1日(土)17:30~
場所:興福寺・東金堂
○奈良金春会 能「弓八幡」
日時:10月16日(日)13:00~
場所:奈良県新公会堂・能楽ホール
○名古屋金春会 能「舎利」
日時:11月5日(土)14:00~
場所:名古屋能楽堂
○春日若宮おん祭・後宴能 能「経政」
日時:12月18日(日)14:00~
場所:春日御旅所
料金等は、名古屋春栄会のサイトで確認してください。
※名古屋春栄会のサイト:http://www.syuneikai.net/
お近くの方は、ぜひ足をお運びください。
また、名古屋春栄会のサイトに1月9日に行われた第41回名古屋春栄会の写真を掲載しました。
※第41回名古屋春栄会 フォトギャラリー:http://www.syuneikai.net/syunei41photo.htm
こちらもぜひ一度ご覧ください。
2011/01/16 22:17:58
雪の一日でした。
今日の名古屋は、未明から降り始めた雪が一日降り続く寒い一日でした。
ちなみに、今日の名古屋の最高気温は0.5℃、最低気温は-2.9℃といずれもこの冬最低だったとのことです。
しかも、この最高気温は午前0時過ぎに観測されたものだそうで、その後は今までずっと氷点下なので、事実上一日中氷点下の真冬日に近い一日でした。
我が家のベランダにも雪がうっすらと積もりました。

[午前9時30分頃撮影]
朝方はまだそれほど雪も積もっていませんでした。

[午後3時45分頃撮影]
イチジクの鉢に雪が積もっています。

[午後4時頃撮影]
季節はずれの蕾をつけているバラにも雪が…。

[午後5時半頃撮影]
郵便物を取りに行ったら、マンションの中庭の木にもかなり雪が積もっていました。
今日、部屋から出たのはこのときだけでした。
今(午後10時)も雪は降り続いており、名古屋の積雪は10cmを超えたようです。
今日の名古屋は、未明から降り始めた雪が一日降り続く寒い一日でした。
ちなみに、今日の名古屋の最高気温は0.5℃、最低気温は-2.9℃といずれもこの冬最低だったとのことです。
しかも、この最高気温は午前0時過ぎに観測されたものだそうで、その後は今までずっと氷点下なので、事実上一日中氷点下の真冬日に近い一日でした。
我が家のベランダにも雪がうっすらと積もりました。

[午前9時30分頃撮影]
朝方はまだそれほど雪も積もっていませんでした。

[午後3時45分頃撮影]
イチジクの鉢に雪が積もっています。

[午後4時頃撮影]
季節はずれの蕾をつけているバラにも雪が…。

[午後5時半頃撮影]
郵便物を取りに行ったら、マンションの中庭の木にもかなり雪が積もっていました。
今日、部屋から出たのはこのときだけでした。
今(午後10時)も雪は降り続いており、名古屋の積雪は10cmを超えたようです。
2011/01/15 22:52:32
今日の謡の稽古は、『舎利』の1回目。
今日から謡の稽古は、『舎利』になりました。
今日の場面は、出雲の国美保が関の僧が上京し、仏舎利を拝もうと泉湧寺に参詣し、仏舎利を拝み、感激の涙を流している場面です。
※『舎利』のあらすじ:http://www.syuneikai.net/shari.htm(名古屋春栄会のサイトから)
ワキ「旅の衣のはるばると。旅の衣のはるばると。都にいざや急がん。
これは出雲の国美保の関より出でたる僧にて候。われ未だ都を見ず候う程に。
ただ今思い立ち都へ上り候。朝立つや。空行く雲の美保の関。
空行く雲の美保の関。心はとまる古里の跡の夕べもなごりある。
日数を重ねて程もなく。都に早く着きにけり都に早く着きにけり。
急ぎ候うほどに都に着きて候。承り及びたる東山泉涌寺へ参り仏舎利を拝まばやと思い候。
いかに誰か御入り候。
狂言「何事を御尋ね候ぞ。
ワキ「これは遥かの田舎より上りたる僧にて候。当寺の御事を承り及びはるばる参りて候。
大唐より渡りたる十六羅漢。又、仏舎利をも拝み申したく候。
狂言「げにげに聞しめし及ばれて御参り候うか。聊爾に拝み申すこと叶わず候。
ただし今日かの御舎利の御出である日にて候。われら当番にて唯今戸を明け申さんとて。
鍵を持ちてまかり出で候。まずこの舎利を御拝みあつて。その後山門に登りて。
十六羅漢をも拝ませ申し候べし。こなたへ御出で候らえ。
ワキ「心得申して候
狂言「からからさっと御戸を開き申して候。よくよく御拝み候らえ。
ワキ「あらありがたや候。さらば御供申しり候べし。
げにや事として何か都のおろかなるべきなれども。ことさら霊験あらたなる。
仏舎利を拝する事の.たっとさよ。これなん足疾鬼が奪いしを。韋駄天取り返し給い。
験徴奇特の牙舎利の御相好。感涙肝に銘ずるぞや。一心頂礼.万徳円満釈迦如来。
地謡「ありがたや今も在世の心地して。今も在世の心地して。まのあたりなる仏舎利を。
拝する事のあらたさを。何にたとえん墨染の袖をもぬらす心かな。袖をもぬらす心かな。
『舎利』の謡は、7年ほど前に一度教えていただきましたが、今年11月の名古屋金春会で穂高先生が能を演じる際に地謡を勤めさせていただく予定のため、改めて稽古を始めました。
今日の謡には、それほど難しいところはありませんでした。
一方、仕舞の稽古は、今日から『盛久』になりました。
シテ「酒宴なかばの春の興。
地謡「酒宴なかばの春の興。くもらぬ日影のどかにて。
君を祝う千秋の鶴が岡の。松の葉の塵。失せずして正木の葛。
シテ「長居は恐れあり。。
直面物なので、さらっと舞うようにとの指導を受けました。
このさらっと舞うのは苦手なので、心がけて稽古していきたいと思っています。
今日から謡の稽古は、『舎利』になりました。
今日の場面は、出雲の国美保が関の僧が上京し、仏舎利を拝もうと泉湧寺に参詣し、仏舎利を拝み、感激の涙を流している場面です。
※『舎利』のあらすじ:http://www.syuneikai.net/shari.htm(名古屋春栄会のサイトから)
ワキ「旅の衣のはるばると。旅の衣のはるばると。都にいざや急がん。
これは出雲の国美保の関より出でたる僧にて候。われ未だ都を見ず候う程に。
ただ今思い立ち都へ上り候。朝立つや。空行く雲の美保の関。
空行く雲の美保の関。心はとまる古里の跡の夕べもなごりある。
日数を重ねて程もなく。都に早く着きにけり都に早く着きにけり。
急ぎ候うほどに都に着きて候。承り及びたる東山泉涌寺へ参り仏舎利を拝まばやと思い候。
いかに誰か御入り候。
狂言「何事を御尋ね候ぞ。
ワキ「これは遥かの田舎より上りたる僧にて候。当寺の御事を承り及びはるばる参りて候。
大唐より渡りたる十六羅漢。又、仏舎利をも拝み申したく候。
狂言「げにげに聞しめし及ばれて御参り候うか。聊爾に拝み申すこと叶わず候。
ただし今日かの御舎利の御出である日にて候。われら当番にて唯今戸を明け申さんとて。
鍵を持ちてまかり出で候。まずこの舎利を御拝みあつて。その後山門に登りて。
十六羅漢をも拝ませ申し候べし。こなたへ御出で候らえ。
ワキ「心得申して候
狂言「からからさっと御戸を開き申して候。よくよく御拝み候らえ。
ワキ「あらありがたや候。さらば御供申しり候べし。
げにや事として何か都のおろかなるべきなれども。ことさら霊験あらたなる。
仏舎利を拝する事の.たっとさよ。これなん足疾鬼が奪いしを。韋駄天取り返し給い。
験徴奇特の牙舎利の御相好。感涙肝に銘ずるぞや。一心頂礼.万徳円満釈迦如来。
地謡「ありがたや今も在世の心地して。今も在世の心地して。まのあたりなる仏舎利を。
拝する事のあらたさを。何にたとえん墨染の袖をもぬらす心かな。袖をもぬらす心かな。
『舎利』の謡は、7年ほど前に一度教えていただきましたが、今年11月の名古屋金春会で穂高先生が能を演じる際に地謡を勤めさせていただく予定のため、改めて稽古を始めました。
今日の謡には、それほど難しいところはありませんでした。
一方、仕舞の稽古は、今日から『盛久』になりました。
シテ「酒宴なかばの春の興。
地謡「酒宴なかばの春の興。くもらぬ日影のどかにて。
君を祝う千秋の鶴が岡の。松の葉の塵。失せずして正木の葛。
シテ「長居は恐れあり。。
直面物なので、さらっと舞うようにとの指導を受けました。
このさらっと舞うのは苦手なので、心がけて稽古していきたいと思っています。
2011/01/09 23:01:16
第41回名古屋春栄会が開催されました。
毎年、新春恒例の初謡・初舞会の第41回名古屋春栄会が栄能楽舞台で今日午後2時半から開催されました。
※第41回名古屋春栄会:http://www.syuneikai.net/syunei41prog.htm(名古屋春栄会のサイトから)
※栄能楽舞台の公式サイト:http://www.k4.dion.ne.jp/~gotou/
素謡『翁』の千才は、昨年に比べると自分としてはちゃんと謡えたと思っています。
※『翁』のあらまし:http://www.syuneikai.net/okina.htm(名古屋春栄会のサイトから)
また、仕舞『室君』も、自分としてはまあまあの出来だったと思っています。
※『室君』のあらすじ:http://www.syuneikai.net/murogimi.htm(名古屋春栄会のサイトから)
しかし、今まで何度も謡ったことのある地謡なのにもかかわらず、『絃上』と『加茂』の地謡でそれぞれ一箇所ずつ間違えてしまいました。
シテの方には、本当に申し訳ありませんでした。
※『絃上』のあらすじ:http://www.syuneikai.net/kenjo.htm(名古屋春栄会のサイトから)
※『加茂』のあらすじ:http://www.syuneikai.net/kamo.htm(名古屋春栄会のサイトから)
寒い冬晴れの一日だったこともあり、見所は少し寂しかったです。
貴重な来場者の皆さん、本当にありがとうございました。
毎年、新春恒例の初謡・初舞会の第41回名古屋春栄会が栄能楽舞台で今日午後2時半から開催されました。
※第41回名古屋春栄会:http://www.syuneikai.net/syunei41prog.htm(名古屋春栄会のサイトから)
※栄能楽舞台の公式サイト:http://www.k4.dion.ne.jp/~gotou/
素謡『翁』の千才は、昨年に比べると自分としてはちゃんと謡えたと思っています。
※『翁』のあらまし:http://www.syuneikai.net/okina.htm(名古屋春栄会のサイトから)
また、仕舞『室君』も、自分としてはまあまあの出来だったと思っています。
※『室君』のあらすじ:http://www.syuneikai.net/murogimi.htm(名古屋春栄会のサイトから)
しかし、今まで何度も謡ったことのある地謡なのにもかかわらず、『絃上』と『加茂』の地謡でそれぞれ一箇所ずつ間違えてしまいました。
シテの方には、本当に申し訳ありませんでした。
※『絃上』のあらすじ:http://www.syuneikai.net/kenjo.htm(名古屋春栄会のサイトから)
※『加茂』のあらすじ:http://www.syuneikai.net/kamo.htm(名古屋春栄会のサイトから)
寒い冬晴れの一日だったこともあり、見所は少し寂しかったです。
貴重な来場者の皆さん、本当にありがとうございました。
2011/01/08 20:54:44
今日の謡の稽古は、『翁』の千才のところでした。
今日の謡の稽古は、明日の第41回名古屋春栄会の素謡『翁』で勤める千才の謡を見ていただきました。
※『翁』のあらまし:http://www.syuneikai.net/okina.htm』(名古屋春栄会のサイトから)
千才「鳴るは瀧の水。鳴るは瀧の水。日は照るとも。
地謡「たえずとうたり。ありうどうどう。
千才「たえずとうたり。たえずとうたり。
千才「君の千歳を経んことは.天つ乙女の羽衣よ。鳴るは瀧の水.日は照るとも。
地謡「たえずとうたり。ありうどうどう。
今回は、千才の謡で通常は“所千代までおはしませ。われらも千秋さむらおう。鳴るは瀧の水。日は照るとも。”と謡う部分を、“君の千歳を経んことは.天つ乙女の羽衣よ。鳴るは瀧の水.日は照るとも。”という替の謡で謡うことにしました。
仕舞の稽古は、『室君』の通しの稽古の4回目。そして、発表会前最後の稽古でした。
※『室君』のあらすじ:http://www.syuneikai.net/murogimi.htm(名古屋春栄会のサイトから)
今日は、最初のシテ謡をゆったりと謡うようにとの指導を受けました。
この最初のシテ謡のスピードに合わせて、地謡が謡い始めるので、早く謡ってしまうと地謡の速度が上がり、自分が舞にくくなるなることがわかりました。
明日の本番では、ゆったりと謡いたいと思います。
今日の謡の稽古は、明日の第41回名古屋春栄会の素謡『翁』で勤める千才の謡を見ていただきました。
※『翁』のあらまし:http://www.syuneikai.net/okina.htm』(名古屋春栄会のサイトから)
千才「鳴るは瀧の水。鳴るは瀧の水。日は照るとも。
地謡「たえずとうたり。ありうどうどう。
千才「たえずとうたり。たえずとうたり。
千才「君の千歳を経んことは.天つ乙女の羽衣よ。鳴るは瀧の水.日は照るとも。
地謡「たえずとうたり。ありうどうどう。
今回は、千才の謡で通常は“所千代までおはしませ。われらも千秋さむらおう。鳴るは瀧の水。日は照るとも。”と謡う部分を、“君の千歳を経んことは.天つ乙女の羽衣よ。鳴るは瀧の水.日は照るとも。”という替の謡で謡うことにしました。
仕舞の稽古は、『室君』の通しの稽古の4回目。そして、発表会前最後の稽古でした。
※『室君』のあらすじ:http://www.syuneikai.net/murogimi.htm(名古屋春栄会のサイトから)
今日は、最初のシテ謡をゆったりと謡うようにとの指導を受けました。
この最初のシテ謡のスピードに合わせて、地謡が謡い始めるので、早く謡ってしまうと地謡の速度が上がり、自分が舞にくくなるなることがわかりました。
明日の本番では、ゆったりと謡いたいと思います。
2011/01/06 20:33:42
「第41回名古屋春栄会 演目のあらまし」が完成しました。
名古屋春栄会では、発表会ごとにその会の演目を紹介するリーフレットを作成し、来場者に配布しています。
ようやく、1月9日に栄能楽舞台で開催される第41回名古屋春栄会の分が完成しました。

[リーフレットの表紙]
今回も会場で配布させていただきます。
前回(2010年7月23日の日記参照)、リーフレットのPDF版が好評でしたので、今回もPDF版を作成し、名古屋春栄会のホームページに掲載しました。
※名古屋春栄会のホームページの「第41回名古屋春栄会 演目のあらまし」のページ:http://www.syuneikai.net/enmoku_syunei41.htm
前回ほどではありませんが、696KBとファイルサイズは大きめですが、ぜひ一度ご覧ください。
名古屋春栄会では、発表会ごとにその会の演目を紹介するリーフレットを作成し、来場者に配布しています。
ようやく、1月9日に栄能楽舞台で開催される第41回名古屋春栄会の分が完成しました。

[リーフレットの表紙]
今回も会場で配布させていただきます。
前回(2010年7月23日の日記参照)、リーフレットのPDF版が好評でしたので、今回もPDF版を作成し、名古屋春栄会のホームページに掲載しました。
※名古屋春栄会のホームページの「第41回名古屋春栄会 演目のあらまし」のページ:http://www.syuneikai.net/enmoku_syunei41.htm
前回ほどではありませんが、696KBとファイルサイズは大きめですが、ぜひ一度ご覧ください。