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今日はアメリカ独立戦争が始まった日です。

1775年4月18日の夜、イギリス軍北アメリカ総司令官トマス・ゲイジ中将は、コンコード (Concord、現在はマサチューセッツ州ミドルセックス郡コンコード)植民地民兵が保管している弾薬を押収するため、イギリス軍部隊を派遣します。部隊が、翌4月19日の朝にレキシントン(Lexington、現在はマサチューセッツ州ミドルセックス郡レキシントン)に入ると、植民地民兵がこれに応戦し、イギリス軍と交戦状態に入ります。さらにイギリス軍はコンコードに移動し、植民地民兵軍と交戦します。このレキシントン・コンコードの戦いアメリカ独立戦争が始まります。

今日は、アメリカ独立戦争の約120年後の日清戦争を描いた芥川龍之介の「首が落ちた話」の3回目です。

首が落ちた話』(芥川龍之介)



 日清両国の間の和が媾ぜられてから、一年ばかりたった、ある早春の午前である。北京にある日本公使館内の一室では、公使館附武官の木村陸軍少佐と、折から官命で内地から視察に来た農商務省技師の山川理学士とが、一つテエブルを囲みながら、一碗の珈琲と一本の葉巻とに忙しさを忘れて、のどかな雑談に耽っていた。早春とは云いながら、大きなカミンに火が焚いてあるので、室の中はどうかすると汗がにじむほど暖い。そこへテエブルの上へのせた鉢植えの紅梅が時々支那めいた匂を送って来る。
 二人の間の話題は、しばらく西太后(せいたいこう)で持ち切っていたが、やがてそれが一転して日清戦争当時の追憶になると、木村少佐は何を思ったか急に立ち上って、室の隅に置いてあった神州日報の綴じこみを、こっちのテエブルへ持って来た。そうして、その中の一枚を山川技師の眼の前へひろげると、指である箇所をさしながら、読み給えと云う眼つきをした。それがあまり唐突だったので、技師はちょいと驚いたが、相手の少佐が軍人に似合わない、洒脱な人間だと云う事は日頃からよく心得ている。そこで咄嗟に、戦争に関係した奇抜な逸話を予想しながら、その紙面へ眼をやると、果してそこには、日本の新聞口調に直すとこんな記事が、四角な字ばかりで物々しく掲げてあった。
 ――街の剃頭店主人、何小二(かしょうじ)なる者は、日清戦争に出征して、屡々勲功を顕したる勇士なれど、凱旋後とかく素行修らず、酒と女とに身を持崩していたが、去る――日、某酒楼にて飲み仲間の誰彼と口論し、遂に掴み合いの喧嘩となりたる末、頸部に重傷を負い即刻絶命したり。ことに不思議なるは同人の頸部なる創にして、こはその際兇器にて傷けられたるものにあらず、全く日清戦争中戦場にて負いたる創口が、再、破れたるものにして、実見者の談によれば、格闘中同人が卓子(テエブル)と共に顛倒するや否や、首は俄然喉の皮一枚を残して、鮮血と共に床上に転び落ちたりと云う。但、当局はその真相を疑い、目下犯人厳探中の由なれども、諸城の某甲が首の落ちたる事は、載せて聊斎志異にもあれば、該何小二の如きも、その事なしとは云う可らざるか。云々。





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