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今日も、名古屋は寒い一日でした。

昨日が比較的暖かかったので、今日は気温以上に寒く感じました。
こんな日、ストーブやエアコンのなかった昔の人はどうやって寒さをしのいでいたのだろうと思います。
昔の日本家屋は、今と違って機密性が低かったことですし…。

今日は、そんな冬の寒い一日を描いた夏目漱石の短編「火鉢」を紹介します。
この作品は、『永日小品』の5番目の短編で、、『風呂場は氷でかちかち光っている』ほど寒い日の漱石の話です。
当時の暖房器具といえば、やはり火鉢だったようです。
芥川龍之介は、「漱石山房の冬」で漱石没後の書斎の様子を、『洋書のつまつた書棚もある。「無絃琴」の額もある。先生が毎日原稿を書いた、小さい紫檀の机もある。瓦斯煖炉もある。屏風もある。縁の外には芭蕉もある。芭蕉の軒を払つた葉うらに、大きい花さへ腐らせてゐる。銅印もある。瀬戸の火鉢もある。天井には鼠の食ひ破つた穴も、……』と書いていますので、書斎の火鉢は瀬戸だったようです。

でも、当時、既に有名作家だった漱石が、に『おい、去年、子供の病気で、煖炉(ストーブ)を焚いた時には炭代がいくら要ったかな 』と尋ね、が『「あの時は月末に廿八円払いました』と答えると、『自分は妻の答を聞いて、座敷煖炉を断念した』というのには少し驚きました。


永日小品・火鉢』(夏目漱石)


 眼が覚めたら、昨夜抱いて寝た懐炉が腹の上で冷たくなっていた。硝子戸越に、廂の外を眺めると、重い空が幅三尺ほど鉛のように見えた。胃の痛みはだいぶ除れたらしい。思い切って、床の上に起き上がると、予想よりも寒い。窓の下には昨日の雪がそのままである。
 風呂場は氷でかちかち光っている。水道は凍り着いて、栓が利かない。ようやくの事で温水摩擦を済まして、茶の間で紅茶を茶碗に移していると、二つになる男の子が例の通り泣き出した。この子は一昨日も一日泣いていた。昨日も泣き続けに泣いた。妻にどうかしたのかと聞くと、どうもしたのじゃない、寒いからだと云う。仕方がない。なるほど泣き方がぐずぐずで痛くも苦しくもないようである。けれども泣くくらいだから、どこか不安な所があるのだろう。聞いていると、しまいにはこっちが不安になって来る。時によると小悪らしくなる。大きな声で叱りつけたい事もあるが、何しろ、叱るにはあまり小さ過ぎると思って、つい我慢をする。一昨日も昨日もそうであったが、今日もまた一日そうなのかと思うと、朝から心持が好くない。胃が悪いのでこの頃は朝飯を食わぬ掟にしてあるから、紅茶茶碗を持ったまま、書斎へ退いた。




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kinkun

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