FC2ブログ
2008 / 01
≪ 2007 / 12   - - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 - -  2008 / 02 ≫

今日の名古屋は、この冬一番の寒い一日

でした。今晩から明日の朝にかけても冷え込みが厳しいようです。

今日は、夏目漱石の短編「泥棒」を紹介します。
この作品は、『永日小品』の3番目の短編で、漱石邸に泥棒が入った話です。
漱石は、泥棒の入った翌日に来た巡査に『じゃ仕方がない、締りが悪いとどこからでも這入りますよ』と言われ、『悪いものは、泥棒じゃなくって、不取締な主人であるような心持にな』ります。
この泥棒は、『帯泥棒であった』ので、『子供が三箇日にも着物を着換える事ができない』とに『異な顔』をされてしまいます。
この巡査は、に聞いて、『紛失した物を手帳に書き付けてい』ますが、『繻珍の丸帯が一本ですね、――丸帯と云うのは何ですか、丸帯と書いておけば解るですか、そう、それでは繻珍の丸帯が一本と、それから……』と『丸帯も腹合せもいっこう知ら』ず、頼りないです。

丸帯とは、江戸時代に作られた礼装用の帯のことで、留袖紋付に用いられていましたが、現在では、重く結びにくく高価なため、花嫁衣裳や舞妓の振袖ぐらいにしか使われなくなったとのことです。
一尺八寸(約70cm)の帯地を二つ折りにして並幅九寸(約34cm)に仕立てて、片方を縫い合わせて仕立てた帯とのことで、長さは4m30cmほど。金糸、銀糸を織り込んだ唐錦の総模様で地厚であるために「厚板」とも呼ばれていたそうです。
また、繻珍とは、繻子(しゅす=サテン)織りの一種で、地糸のほかに種々の色糸を用いて模様が浮き出るように織った織物のことだそうです。
腹合せ帯とは、昼夜帯合せ帯鯨帯とも呼ばれ、表と裏を別の布地を縫い合せ、芯を入れて仕立てた女帯のことだそうです。こちらも現在ではほとんど使われていないそうです。
幅は約30cm、長さは約4m20cmで、もともと、片側に黒繻子、他の片端に白地をつけた女帯だたので、白を昼、黒を夜に、または白を鯨の腹、黒を鯨の背になぞらえて名づけられたとのこと。
江戸中期から明治までの女帯は、晴れ着は丸帯普段着は腹合せ帯が主流だったそうです。


永日小品・泥棒』(夏目漱石)


 寝ようと思って次の間へ出ると、炬燵の臭がぷんとした。厠の帰りに、火が強過ぎるようだから、気をつけなくてはいけないと妻に注意して、自分の部屋へ引取った。もう十一時を過ぎている。床の中の夢は常のごとく安らかであった。寒い割に風も吹かず、半鐘の音も耳に応えなかった。熟睡が時の世界を盛り潰したように正体を失った。
 すると忽然として、女の泣声で眼が覚めた。聞けばもよと云う下女の声である。この下女は驚いて狼狽えるといつでも泣声を出す。この間家の赤ん坊を湯に入れた時、赤ん坊が湯気に上って、引きつけたといって五分ばかり泣声を出した。自分がこの下女の異様な声を聞いたのは、それが始めてである。啜り上げるようにして早口に物を云う。訴えるような、口説くような、詫を入れるような、情人の死を悲しむような――とうてい普通の驚愕の場合に出る、鋭くって短い感投詞の調子ではない。




▼read more


スポンサーサイト



kinkun

Author:kinkun
名古屋春栄会のホームページの管理人

12 | 2008/01 | 02
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -