FC2ブログ
2008 / 01
≪ 2007 / 12   - - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 - -  2008 / 02 ≫

今日も、漱石を悩ませた人の話です。

それは、『播州の坂越にいる岩崎という人』で、『一番私を不愉快にした』とまで述べているので、漱石は余程、腹に据えかねたようです。
珍しく『岩崎』という実名まで出しています。でも、岩崎という人は、この作品のおかげで21世紀まで名が残ることになったわけですが…。
坂越(さこし)は、兵庫県赤穂市の坂越湾に面する港町で、江戸時代には、赤穂の塩を運ぶ水運の拠点として栄えた町とのことです。

漱石の作品と名古屋といえば、『三四郎』が有名ですが、この作品にもこの岩崎という人が『名古屋から茶の缶』を漱石に送る場面があり、名古屋が登場します。


硝子戸の中』(夏目漱石)

十二

 私に短冊を書けの、詩を書けのと云って来る人がある。そうしてその短冊やら絖やらをまだ承諾もしないうちに送って来る。最初のうちはせっかくの希望を無にするのも気の毒だという考から、拙い字とは思いながら、先方の云うなりになって書いていた。けれどもこうした好意は永続しにくいものと見えて、だんだん多くの人の依頼を無にするような傾向が強くなって来た。
 私はすべての人間を、毎日毎日恥を掻くために生れてきたものだとさえ考える事もあるのだから、変な字を他に送ってやるくらいの所作は、あえてしようと思えば、やれないとも限らないのである。しかし自分が病気のとき、仕事の忙がしい時、またはそんな真似のしたくない時に、そういう注文が引き続いて起ってくると、実際弱らせられる。彼らの多くは全く私の知らない人で、そうして自分達の送った短冊を再び送り返すこちらの手数さえ、まるで眼中に置いていないように見えるのだから。





▼read more


スポンサーサイト



kinkun

Author:kinkun
名古屋春栄会のホームページの管理人

12 | 2008/01 | 02
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -