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今日で三が日も終わりました。

名古屋では、初雪も降るなど今年は寒い三が日でしたが、私にとっては落ち着いたお正月でした。
今日は、漱石邸の元日の様子がわかる夏目漱石の短編「元日」を紹介します。この作品は、『永日小品』の最初の短編です。

漱石邸を訪れた男の一人が着ているフロックというのは、フロックコート(frock coat)のことで、上着の着丈が膝まである伝統的な昼の正礼服のことです。
黒もしくはグレーのダブルの上着に、立衿シャツとアスコットタイを組み合わせるのが正しい着方だそうです。
以前、NHKで放映されていたテレビドラマ「シャーロック・ホームズ」で、ホームズ役のジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)が外出時の着ていた服装です。
16世紀のヨーロッパの農民が、農作業の際に着用していた長い袖の付いた丈の長い服が起源とされ、18世紀には男性の普段の服装のシャツ・ベスト・ズボンにフロックコートとネクタイを合わせることで、英国紳士の外出時の服装として確立し、現代のスーツの原点となったとのこと。
また、メルトンとは、メルトン(melton)のコートのこと、紡いだ毛糸を織った後に、縮充加工して毛羽で覆った毛織物のことで、手触りが暖かいため、今でもコート・ジャケットなどに用いられています。

この着慣れないフロックを着ている男は、漱石の門下生の一人で作家・翻訳家の森田草平のことのようです。


永日小品・元日』(夏目漱石)


 雑煮を食って、書斎に引き取ると、しばらくして三四人来た。いずれも若い男である。そのうちの一人がフロックを着ている。着なれないせいか、メルトンに対して妙に遠慮する傾きがある。あとのものは皆和服で、かつ不断着のままだからとんと正月らしくない。この連中がフロックを眺めて、やあ――やあと一ツずつ云った。みんな驚いた証拠である。自分も一番あとで、やあと云った。



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kinkun

Author:kinkun
名古屋春栄会のホームページの管理人

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