2007/12/10 20:28:01
今日は、7日に紹介する予定だった漱石の飼い犬ヘクトーの話の3回目です。
病気で1か月ほど家を離れていたので、ヘクトーに忘れられたと思った漱石は、翌朝、庭でヘクトーの姿を見かけたものの名前を呼びません。しかし、振り向いたヘクトーの顔を見て、ヘクトーが病気であることに気付きます。しかし、その後すぐヘクトーの姿を見かけなくなり、少し離れた家の池で死んでいるヘクトーが見つかります。漱石は、庭の猫の墓のそばに、ヘクトーの墓を作ります。
漱石がその墓標に書いた句が、「秋風の 聞えぬ土に 埋めてやりぬ」です。
『硝子戸の中』(夏目漱石)
五
翌朝書斎の縁に立って、初秋の庭の面を見渡した時、私は偶然また彼の白い姿を苔の上に認めた。私は昨夕の失望を繰り返すのが厭さに、わざと彼の名を呼ばなかった。けれども立ったなりじっと彼の様子を見守らずにはいられなかった。彼は立木の根方に据えつけた石の手水鉢の中に首を突き込んで、そこに溜っている雨水をぴちゃぴちゃ飲んでいた。
病気で1か月ほど家を離れていたので、ヘクトーに忘れられたと思った漱石は、翌朝、庭でヘクトーの姿を見かけたものの名前を呼びません。しかし、振り向いたヘクトーの顔を見て、ヘクトーが病気であることに気付きます。しかし、その後すぐヘクトーの姿を見かけなくなり、少し離れた家の池で死んでいるヘクトーが見つかります。漱石は、庭の猫の墓のそばに、ヘクトーの墓を作ります。
漱石がその墓標に書いた句が、「秋風の 聞えぬ土に 埋めてやりぬ」です。
『硝子戸の中』(夏目漱石)
五
翌朝書斎の縁に立って、初秋の庭の面を見渡した時、私は偶然また彼の白い姿を苔の上に認めた。私は昨夕の失望を繰り返すのが厭さに、わざと彼の名を呼ばなかった。けれども立ったなりじっと彼の様子を見守らずにはいられなかった。彼は立木の根方に据えつけた石の手水鉢の中に首を突き込んで、そこに溜っている雨水をぴちゃぴちゃ飲んでいた。
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