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2007 / 10
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「この髪を抜いてな、鬘にしようと思うたのじゃ。」

今日は、芥川龍之介の『羅生門』の4回目です。

老婆の行為を死者に対する冒涜と思ったのだろうか、下人老婆に「激しい憎悪」を抱きます。
しかし、老婆を捕まえ、老婆の生殺与奪の権を自分が握っているを意識した下人からその憎悪の感情が消えていきます。

今までけわしく燃えていた憎悪の心を、いつの間にか冷ましてしまった。後に残ったのは、ただ、ある仕事をして、それが円満に成就した時の、安らかな得意と満足とがあるばかりである。

そして、老婆の「『この髪を抜いてな、この髪を抜いてな、鬘にしようと思うたのじゃ。』」という答えを聞いた下人は……。


『羅生門』(芥川龍之介) その4


その髪の毛が、一本ずつ抜けるのに従って、下人の心からは、恐怖が少しずつ消えて行った。
そうして、それと同時に、この老婆に対するはげしい憎悪が、少しずつ動いて来た。
――いや、この老婆に対すると云っては、語弊があるかも知れない。
むしろ、あらゆる悪に対する反感が、一分毎に強さを増して来たのである。
この時、誰かがこの下人に、さっき門の下でこの男が考えていた、饑死をするか盗人になるかと云う問題を、改めて持出したら、恐らく下人は、何の未練もなく、饑死を選んだ事であろう。
それほど、この男の悪を憎む心は、老婆の床に挿した松の木片のように、勢いよく燃え上り出していたのである。



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kinkun

Author:kinkun
名古屋春栄会のホームページの管理人

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