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2007 / 10
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二人目は旅法師

二人目の旅の法師は、事件の起こる前の日に男と馬に乗った女に会ったと証言します。

『藪の中』(芥川龍之介)

検非違使に問われたる旅法師の物語

あの死骸の男には、確かに昨日遇って居ります。
昨日の、――さあ、午頃でございましょう。
場所は関山から山科へ、参ろうと云う途中でございます。
あの男は馬に乗った女と一しょに、関山の方へ歩いて参りました。
女は牟子を垂れて居りましたから、顔はわたしにはわかりません。
見えたのはただ萩重ねらしい、衣の色ばかりでございます。
馬は月毛の、――確か法師髪の馬のようでございました。
丈でございますか?
丈は四寸もございましたか? ――何しろ沙門の事でございますから、その辺ははっきり存じません。
男は、――いえ、太刀も帯びて居れば、弓矢も携えて居りました。
殊に黒い塗り箙へ、二十あまり征矢をさしたのは、ただ今でもはっきり覚えて居ります。
あの男がかようになろうとは、夢にも思わずに居りましたが、
真に人間の命なぞは、如露亦如電に違いございません。
やれやれ、何とも申しようのない、気の毒な事を致しました。



黒澤明監督の映画『羅生門』では故千秋実が旅法師を演じていました。
そして、旅法師は、目撃者ではなく第一発見者の杣売の話を聞く聞き手に過ぎません。
でも、冒頭と最後に出てくる重要な役柄で、最後に杣売に向かって、「お主のおかげで私は人を信じていくことが出来そうだ。」と語ります。




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kinkun

Author:kinkun
名古屋春栄会のホームページの管理人

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