「グリーン車の子供」を読みました。「グリーン車の子供
中村雅楽探偵全集2」(戸板康二著、創元推理文庫、1500円、2007年4月27日発売)を遅ればせながら、読了しました。
この本の厚さは、「團十郎切腹事件 中村雅楽探偵全集1」を上回り、698ページ。今回も通勤の地下鉄で読むのに苦労しました。
話は、前作同様、引退同然となった老歌舞伎役者・
中村雅楽が、懇意の新聞記者・
竹野が持ち込む不思議な事件の謎を解き明かすという短編。
表題の「グリーン車の子供」は日本推理作家協会賞の短編部門の第1回受賞作で、日常の謎の元祖ともいうべき作品。
この作品の日本推理作家協会賞の選考にあたり、
中村雅楽と
竹野が乗る列車が、新幹線
ひかり号ではおかしいとの指摘が出、作者の了解を得て、新幹線
こだま号に変更したとのこと。でもこの変更が、作品としてさらに重大な欠陥となるという指摘が星新一氏からあったようです。
今回の創元推理文庫版では、この経緯が良くわかる佐野洋氏の「『グリーン車の子供』をめぐって」(光文社『新推理日記』1980年9月)が転載収録されています。佐野洋氏は、当時の選考委員の一人で、こうした問題がこの作品の価値を損なうものではないと結論付けています。
私も、そのような矛盾を感じさせない、鮮やかな作品だと思います。
全体の文章は、
前作を読んだときも書いたように、文章は、古めかしいところがあるものの、とても読みやすい文章です。
中村雅楽も前作に収録の作品では素人探偵の雰囲気が濃厚でしたが、今回の収録作品では、表題作も含め、探偵役が地についた感じで、名探偵の風格さえ感じさせるときもあります。
これからの3冊(第3集は明後日発売です)が、とても楽しみです。
theme : 推理小説・ミステリー
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