2012/09/01 22:55:06
父の百か日法要を営みました。
今日、八事山興正寺(名古屋市天白区)で親戚と共に父の百か日法要を営みました。
葬儀から四十九日、初盆と続いた法要も今日で一段落です。
母もほっとした感じでした。
9月になったというのにまだまだ暑い日でしたが、青空だけは秋のようでした。

*****
ブログの更新はおよそ8か月ぶりです。
1月に父が、2月に母が入院し、その後、二人とも3月には退院したものの、父は5月に再入院し、そのまま2週間で帰らぬ人となってしまいました。
今日のブログにも書きましたように、ようやく少し落ち着きましたので、ブログの更新もぼちぼち再開したいと考えています。
この間、このブログを訪れていただいた多くの皆さん、本当にありがとうございました。
*****
今日、八事山興正寺(名古屋市天白区)で親戚と共に父の百か日法要を営みました。
葬儀から四十九日、初盆と続いた法要も今日で一段落です。
母もほっとした感じでした。
9月になったというのにまだまだ暑い日でしたが、青空だけは秋のようでした。

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ブログの更新はおよそ8か月ぶりです。
1月に父が、2月に母が入院し、その後、二人とも3月には退院したものの、父は5月に再入院し、そのまま2週間で帰らぬ人となってしまいました。
今日のブログにも書きましたように、ようやく少し落ち着きましたので、ブログの更新もぼちぼち再開したいと考えています。
この間、このブログを訪れていただいた多くの皆さん、本当にありがとうございました。
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2011/12/10 23:58:13
今日は皆既月食でした。
月食は、平均すると年に1回程度は起きますが、1年に2回起こる年や全く起こらない年もあり、その頻度にはバラツキがあります。
今年(2011年)は、6月16日と12月10日の2回、皆既月食を見ることができる珍しい年だそうです。
なお、始まりから終わりまでが全過程がほぼ全国で見ることのできる月食としては、2000年7月16日以来、11年ぶりだそうです。
今日の名古屋は、夕方はほぼ全空が雲に覆われていましたが、だんだん雲間が広がり、皆既月食を見ることができました。

なお、今年の6月16日の皆既月食では、欠けたまま沈む月が見られるはずでしたが、、名古屋は雲に覆われて見えませんでしたので、名古屋で月食を見ることができたのは4年ぶりだそうです。
今日は、皆既月食にちなみ、夢野久作の『月蝕』という詩を紹介します。
『月蝕』(夢野久作)
★
鋼のように澄みわたる大空のまん中で
月がすすり泣いている。
………けがらわしい地球の陰影が
自分の顔にうつるとて…………
それを大勢の人間から見られるとて…………
…………身ぶるいして嫌がっている。
★
………しかし………
逃れられぬ暗い運命は…………
刻々に彼女に迫って来る。
大空のただ中に…………
★
……はじまった……
月蝕が…………
★
彼女はいつとなく死相をあらわして来た。
水々しい生白い頬…………
……目に見えぬ髪毛を、長々と地平線まで引きはえた………
それが冷たく……美しく……透きとおる……
コメカミのあたりから水気が…………ヒッソリとしたたる。
★
彼女はもう…………
仕方がないとあきらめて
暗い…………醜い運命の手に…………
自分の美をまかせてしまうつもりらしい。
★
顋のあたりが
すこしばかり切り欠かれる。
…………黒い血がムルムルと湧く。
…………暗い腥いにおいが大空に流れ出す。
…………それが一面に地平線まで拡がってゆく。
彼女を取巻く星の光がギラギラと冴えかえった。
★
彼女の瞼が一しきりふるえて
やがて力なく黝ずんで来る。
鼻の横に黒い血の磈が盛り上る。
…………深く斬込まれた刃の蔭に
赤茶気た肉がヒクメク。
★
世界は暗くなった。
すべての生物は鉛のように重たく
針のように痛々しい心を
ジッと抱いて動かなくなった。
★
けれども暗い……鋼鉄よりもよく切れる円形の刃は
彼女の青ざめた横頬を
なおもズンズンと斬り込んでゆく。
そこから溢れ出る暗い…………腥いにおいにすべては溺れ込んでゆく。
…………山も…………海も…………森も…………家も…………道路も…………
…………そこいらから見上げている人間たちも…………
★
その中にただ一つ残る白い光…………
彼女の額と鼻すじが
もうすこしで…………
黒い刃の蔭に蔽われそうになった。
★
空一面の夥しい星が
小さな声で囁き合って
又ヒッソリと静まった。
★
陰惨な最後の時…………
顔を蔽いつくす血の下に
観念して閉じていた白い瞼を
パッチリと彼女は見開いた。
★
案外に平気な顔で
下界の人々を流し眼に見まわした
ニッコリと笑った。
★
…………ホホホホホホホ……
これはお芝居なのよ。
……大空の影と光りの……。
だから妾は痛くも苦しくも………
……何ともないのよ…………
そうしてもうじきおしまいになるのよ。
★
…………でも皆さんホントになすったでしょう。
……あたし名優でしょう……
オホホホホホ……………
★
ではサヨウナラ…………
みなさんおやすみなさい。
……ホホホホホ……………………
ホホホホホ……………………………
皆既月食のときに見える赤い月から連想したのでしょうか。
妖しい雰囲気の詩です。
月食は、平均すると年に1回程度は起きますが、1年に2回起こる年や全く起こらない年もあり、その頻度にはバラツキがあります。
今年(2011年)は、6月16日と12月10日の2回、皆既月食を見ることができる珍しい年だそうです。
なお、始まりから終わりまでが全過程がほぼ全国で見ることのできる月食としては、2000年7月16日以来、11年ぶりだそうです。
今日の名古屋は、夕方はほぼ全空が雲に覆われていましたが、だんだん雲間が広がり、皆既月食を見ることができました。

なお、今年の6月16日の皆既月食では、欠けたまま沈む月が見られるはずでしたが、、名古屋は雲に覆われて見えませんでしたので、名古屋で月食を見ることができたのは4年ぶりだそうです。
今日は、皆既月食にちなみ、夢野久作の『月蝕』という詩を紹介します。
『月蝕』(夢野久作)
★
鋼のように澄みわたる大空のまん中で
月がすすり泣いている。
………けがらわしい地球の陰影が
自分の顔にうつるとて…………
それを大勢の人間から見られるとて…………
…………身ぶるいして嫌がっている。
★
………しかし………
逃れられぬ暗い運命は…………
刻々に彼女に迫って来る。
大空のただ中に…………
★
……はじまった……
月蝕が…………
★
彼女はいつとなく死相をあらわして来た。
水々しい生白い頬…………
……目に見えぬ髪毛を、長々と地平線まで引きはえた………
それが冷たく……美しく……透きとおる……
コメカミのあたりから水気が…………ヒッソリとしたたる。
★
彼女はもう…………
仕方がないとあきらめて
暗い…………醜い運命の手に…………
自分の美をまかせてしまうつもりらしい。
★
顋のあたりが
すこしばかり切り欠かれる。
…………黒い血がムルムルと湧く。
…………暗い腥いにおいが大空に流れ出す。
…………それが一面に地平線まで拡がってゆく。
彼女を取巻く星の光がギラギラと冴えかえった。
★
彼女の瞼が一しきりふるえて
やがて力なく黝ずんで来る。
鼻の横に黒い血の磈が盛り上る。
…………深く斬込まれた刃の蔭に
赤茶気た肉がヒクメク。
★
世界は暗くなった。
すべての生物は鉛のように重たく
針のように痛々しい心を
ジッと抱いて動かなくなった。
★
けれども暗い……鋼鉄よりもよく切れる円形の刃は
彼女の青ざめた横頬を
なおもズンズンと斬り込んでゆく。
そこから溢れ出る暗い…………腥いにおいにすべては溺れ込んでゆく。
…………山も…………海も…………森も…………家も…………道路も…………
…………そこいらから見上げている人間たちも…………
★
その中にただ一つ残る白い光…………
彼女の額と鼻すじが
もうすこしで…………
黒い刃の蔭に蔽われそうになった。
★
空一面の夥しい星が
小さな声で囁き合って
又ヒッソリと静まった。
★
陰惨な最後の時…………
顔を蔽いつくす血の下に
観念して閉じていた白い瞼を
パッチリと彼女は見開いた。
★
案外に平気な顔で
下界の人々を流し眼に見まわした
ニッコリと笑った。
★
…………ホホホホホホホ……
これはお芝居なのよ。
……大空の影と光りの……。
だから妾は痛くも苦しくも………
……何ともないのよ…………
そうしてもうじきおしまいになるのよ。
★
…………でも皆さんホントになすったでしょう。
……あたし名優でしょう……
オホホホホホ……………
★
ではサヨウナラ…………
みなさんおやすみなさい。
……ホホホホホ……………………
ホホホホホ……………………………
皆既月食のときに見える赤い月から連想したのでしょうか。
妖しい雰囲気の詩です。
2011/10/20 21:48:59
今日は皇后陛下の誕生日です。
今日(2011年10月20日)、皇后陛下が77歳の誕生日を迎えられました。
誕生日にあたって、宮内庁記者会の質問に答えた文書の中で、「陛下も私も、時に体におこる不具合に対処する一方で、今持っている体力があまり急速に衰えぬよう体に負荷をかけることも必要な、少ししんどい年令に来ているかと感じています。」と述べられています。
※「皇后陛下お誕生日に際し(平成23年) 宮内記者会の質問に対する文書ご回答」:http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/gokaito-h23sk.html(宮内庁のサイトから)
このお言葉をニュースで聞いて、“しんどい”という皇室らしくない表現に少し驚きました。
“しんどい”は、辞書などでは「京ことばの“しんど”の形容詞形で、全国的に使われるようになった言葉の一つ」とされているそうですが、その意味はわかるものの、関西地方以外では、名古屋でもそうですが、東京でも日常生活ではあまり使わない表現だと思います。
皇后陛下があえてこうした表現を文書の中で使われた真意がどこにあるのかはわかりませんが、私には、日本語の文語表現をもっと自由なものしたいという思いがあるように感じられました。
今日(2011年10月20日)、皇后陛下が77歳の誕生日を迎えられました。
誕生日にあたって、宮内庁記者会の質問に答えた文書の中で、「陛下も私も、時に体におこる不具合に対処する一方で、今持っている体力があまり急速に衰えぬよう体に負荷をかけることも必要な、少ししんどい年令に来ているかと感じています。」と述べられています。
※「皇后陛下お誕生日に際し(平成23年) 宮内記者会の質問に対する文書ご回答」:http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/gokaito-h23sk.html(宮内庁のサイトから)
このお言葉をニュースで聞いて、“しんどい”という皇室らしくない表現に少し驚きました。
“しんどい”は、辞書などでは「京ことばの“しんど”の形容詞形で、全国的に使われるようになった言葉の一つ」とされているそうですが、その意味はわかるものの、関西地方以外では、名古屋でもそうですが、東京でも日常生活ではあまり使わない表現だと思います。
皇后陛下があえてこうした表現を文書の中で使われた真意がどこにあるのかはわかりませんが、私には、日本語の文語表現をもっと自由なものしたいという思いがあるように感じられました。
2011/09/22 22:49:52
今日は台風一過の晴天でした。
今朝の名古屋は、最低気温が20.8℃と涼しい朝でした。
名古屋にも大きな被害をもたらした台風15号ですが、一夜明けた今日は秋らしい晴天になりました。
清少納言は、台風を単なる災害と捉えず、台風の去った状態を“をかし”と捉えています。
『枕草子』〔188段〕(清少納言)
野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。立蔀・透垣などのみだれたるに、前栽どもいと心くるしげなり。おほきなる木どもも倒れ、枝など吹き折られたるが、萩・女郎花などのうへによころばひふせる、いと思はずなり。格子の壺などに、木の葉をことさらにしたらんやうに、こまごまと吹き入れたるこそ、荒かりつる風のしわざとはおぼえね。
いと濃き衣のうはぐもりたるに、黄朽葉の織物、薄物などの小袿着て、まことしうきよげなる人の、夜は風のさわぎに寢られざりければ、ひさしう寢起きたるままに、母屋よりすこしゐざり出でたる、髮は風に吹きまよはされてすこしうちふくだみたるが、肩にかかれるほど、まことにめでたし。
ものあはれなるけしきに見いだして、「むべ山風を」など言ひたるも、心あらんと見ゆるに、十七、八ばかりやあらん、ちひさうはあらねど、わざと大人とは見えぬが、生絹の単のいみじうほころびたえ、はなもかへりぬれなどしたる、薄色の宿直物を着て、髮、いろに、こまごまとうるはしう、末も尾花のやうにて丈ばかりなりければ、衣の裾にかくれて、袴のそばそばより見ゆるに、わらはべ、わかき人々の、根ごめに吹き折られたる、ここかしこにとり集め、起し立てなどするを、うらやましげにおしはりて、簾に添ひたるうしろでもをかし。
この段に登場する“「むべ山風を」”は、古今集の収録されている文屋康秀の
吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ
という和歌のことです。
ちなみにこの歌は小倉百人一首にも収録されており、7首しかない“一字決まり”の句としても有名です。
“一字きまり”というのは、上の句の一字目で歌がわかる、すなわち一字目を聞けば、取り札(下の句)を取ることのできる歌のことです。
つまり、“ふ”から始まる歌は、小倉百人一首ではこの句だけということです。
清少納言は、台風の被害を直接受けなかっので、“をかし”と感じることができたのだと思います。
清少納言も、直接被害を受けていたら、とてもこのような感想は述べられなかったと思います。
今回の台風で被害を受けた地域の一日も早い復興を願っています。
今朝の名古屋は、最低気温が20.8℃と涼しい朝でした。
名古屋にも大きな被害をもたらした台風15号ですが、一夜明けた今日は秋らしい晴天になりました。
清少納言は、台風を単なる災害と捉えず、台風の去った状態を“をかし”と捉えています。
『枕草子』〔188段〕(清少納言)
野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。立蔀・透垣などのみだれたるに、前栽どもいと心くるしげなり。おほきなる木どもも倒れ、枝など吹き折られたるが、萩・女郎花などのうへによころばひふせる、いと思はずなり。格子の壺などに、木の葉をことさらにしたらんやうに、こまごまと吹き入れたるこそ、荒かりつる風のしわざとはおぼえね。
いと濃き衣のうはぐもりたるに、黄朽葉の織物、薄物などの小袿着て、まことしうきよげなる人の、夜は風のさわぎに寢られざりければ、ひさしう寢起きたるままに、母屋よりすこしゐざり出でたる、髮は風に吹きまよはされてすこしうちふくだみたるが、肩にかかれるほど、まことにめでたし。
ものあはれなるけしきに見いだして、「むべ山風を」など言ひたるも、心あらんと見ゆるに、十七、八ばかりやあらん、ちひさうはあらねど、わざと大人とは見えぬが、生絹の単のいみじうほころびたえ、はなもかへりぬれなどしたる、薄色の宿直物を着て、髮、いろに、こまごまとうるはしう、末も尾花のやうにて丈ばかりなりければ、衣の裾にかくれて、袴のそばそばより見ゆるに、わらはべ、わかき人々の、根ごめに吹き折られたる、ここかしこにとり集め、起し立てなどするを、うらやましげにおしはりて、簾に添ひたるうしろでもをかし。
この段に登場する“「むべ山風を」”は、古今集の収録されている文屋康秀の
吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ
という和歌のことです。
ちなみにこの歌は小倉百人一首にも収録されており、7首しかない“一字決まり”の句としても有名です。
“一字きまり”というのは、上の句の一字目で歌がわかる、すなわち一字目を聞けば、取り札(下の句)を取ることのできる歌のことです。
つまり、“ふ”から始まる歌は、小倉百人一首ではこの句だけということです。
清少納言は、台風の被害を直接受けなかっので、“をかし”と感じることができたのだと思います。
清少納言も、直接被害を受けていたら、とてもこのような感想は述べられなかったと思います。
今回の台風で被害を受けた地域の一日も早い復興を願っています。