金鯱

我が家に金鯱がやって来ました。

金鯱といっても、名古屋城金の鯱(しゃちほこ)ではなく、サボテンです。

金鯱2008


サボテン金鯱(キンシャチ)は、メキシコ原産のエキノカクタス属サボテンで、学名はEchinocactus grusonii
棘が黄金色なので、この名がついたようです。エキノカクタス属は棘が美しいものが多いので、棘を楽しむ品種ですが、その中でも金鯱は、形が球形ということもあり、最も美しいと言われているとのことです。

確かに棘は非常に固いので刺さるとケガをしそうですが、非常に美しいです。大切に育てたいと思っています。

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東山植物園 合掌造りの家

東山植物園の中に里山の風景があります。

今日の名古屋は、雲が多かったもののときおり日差しもさす、植物園日和(?)の一日でした。
仕事で東山植物園(名古屋市千種区)に行きました。
植物園内は、緑も多く、名古屋の都心に比べ、気温も数℃低く感じられました。

東山植物園200807_01


この東山植物園には、岐阜県白川村から移築した合掌造りの家があり、その周囲はなつかしい里山の雰囲気があります。

東山植物園200807_02


仕事とはいえ、緑の中で半日過ごしたので、少し気分も晴れやかになりました。



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半夏生

今日は、半夏生です。

半夏生は、七十二候の一つで、一般に梅雨も明けて、田植えも終わる頃のことをいうそうです。
天文学的には、太陽が天球上の黄経100度の点を通過する瞬間だそうで、今年は今日(2008年7月1日)にあたるとのことです。

名古屋梅雨明けはまだ先になりそうですが、今日も昨日に続いて梅雨の中休みの一日でした。
こんな日は木陰が恋しくなります。


木蔭』(中原中也)

神社の鳥居が光をうけて
楡の葉が小さく揺すれる
夏の昼の青々した木蔭は
私の後悔を宥めてくれる

暗い後悔 いつでも附纏ふ後悔
馬鹿々々しい破笑にみちた私の過去は
やがて涙つぽい晦暝となり
やがて根強い疲労となつた

かくて今では朝から夜まで
忍従することのほかに生活を持たない
怨みもなく喪心したやうに
空を見上げる私の眼――

神社の鳥居が光をうけて
楡の葉が小さく揺すれる
夏の昼の青々した木蔭は
私の後悔を宥めてくれる


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虚子の「舟弁慶」

明治34年6月30日、虚子は舟弁慶を謡いました。


正岡子規の『墨汁一滴』によると、見舞い客が帰った後、虚子が舟弁慶を謡ったとあります。
墨汁一滴』は、明治34(1901)年1月16日から7月2日まで、新聞「日本」に途中4日休んだだけで、164回にわたって連載されました。

墨汁一滴』(正岡子規)

羯翁〔かつおう〕の催しにて我枕辺に集まる人々、正客不折を初として鳴雪、湖村、虚子、豹軒、及び滝氏ら、蔵六も折から来合されたり。草庵ために光を生ず。
虚子後に残りて謡曲「舟弁慶」一番謡ひ去る。
(六月三十日)


見舞い客のうち、
不折は、明治・大正・昭和期に活躍した日本の洋画家、書家の中村不折(なかむら ふせつ)〔1866〜1943年〕のこと、
鳴雪は、明治・大正期に活躍した子規門下の俳人内藤鳴雪(ないとうめいせつ)〔1847〜1926年〕のこと、
湖村は、明治・大正・昭和にかけて活躍した漢学者、漢詩人の桂湖村(かつら こそん)〔1868〜1937年〕のこと、
豹軒は、中国文学者で和歌を子規に師事した鈴木虎雄(すずき とらお)〔1878年〜1963年〕のことと思われます。なお、豹軒は漢詩のときの号とのこと。彼は、戦後も活躍し、1958年に文化功労者に選ばれ、1961年に文化勲章受章しています。
滝氏蔵六が誰なのかは、私にはわかりませんでした。ご存じの方があれば、お知らせください。

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耳なし芳一(3)

耳なし芳一は映画にもなっています。

昭和39(1964)年に製作され、翌昭和40(1965)年に公開された東宝映画「怪談KWAIDAN」(監督:小林正樹、音楽:武満徹)で映画化されています。
※「怪談」(ラピュタ阿佐ヶ谷のサイトから)
この映画は、「黒髪」、「雪女」、「耳無芳一の話」、「茶碗の中」という八雲の4つの短編からなるオムニバス映画で、1965年度カンヌ国際映画祭7月特別賞を受賞しています。
耳なし芳一役は、当時26歳の中村賀津雄(現在の中村 嘉葎雄)で、東映を退社し、フリーになった第1作目です。他に芳一を連れに来る武士役に丹波哲郎住職役に志村喬など豪華キャストです。
ちなみに「雪女」と「耳無芳一の話」は、『怪談』の同名短編を、「黒髪」は『』の「和解」を、「茶碗の中」は『骨董』の同名短編を原作としているとのことです。
意外にも、映画化はこの一度だけです。

今日は、小泉八雲の「耳なし芳一のはなし」3回目です。

耳無芳一の話』〔3〕(小泉八雲)(訳:戸川明三)

 叱るように芳一は男達に向って云った――
『この高貴の方方の前で、そんな風に私の邪魔をするとは容赦はならんぞ』
 事柄の無気味なに拘らず、これには下男達も笑わずにはいられなかった。芳一が何かに魅されていたのは確かなので、一同は芳一を捕え、その身体をもち上げて起たせ、力まかせに急いで寺へつれ帰った――そこで住職の命令で、芳一は濡れた著物を脱ぎ、新しい著物を著せられ、食べものや、飲みものを与えられた。その上で住職は芳一のこの驚くべき行為をぜひ十分に説き明かす事を迫った。
 芳一は長い間それを語るに躊躇していた。しかし、遂に自分の行為が実際、深切な住職を脅かしかつ怒らした事を知って、自分の緘黙を破ろうと決心し、最初、侍の来た時以来、あった事をいっさい物語った。
 すると住職は云った……
『可哀そうな男だ。芳一、お前の身は今大変に危ういぞ! もっと前にお前がこの事をすっかり私に話さなかったのはいかにも不幸な事であった! お前の音楽の妙技がまったく不思議な難儀にお前を引き込んだのだ。お前は決して人の家を訪れているのではなくて、墓地の中に平家の墓の間で、夜を過していたのだという事に、今はもう心付かなくてはいけない――今夜、下男達はお前の雨の中に坐っているのを見たが、それは安徳天皇の記念の墓の前であった。お前が想像していた事はみな幻影だ――死んだ人の訪れて来た事の外は。で、一度死んだ人の云う事を聴いた上は、身をその為るがままに任したというものだ。もしこれまであった事の上に、またも、その云う事を聴いたなら、お前はその人達に八つ裂きにされる事だろう。しかし、いずれにしても早晩、お前は殺される……ところで、今夜私はお前と一緒にいるわけにいかぬ。私はまた一つ法会をするように呼ばれている。が、行く前にお前の身体を護るために、その身体に経文を書いて行かなければなるまい』
 日没前住職と納所とで芳一を裸にし、筆を以て二人して芳一の、胸、背、頭、顔、頸、手足――身体中どこと云わず、足の裏にさえも――般若心経というお経の文句を書きつけた。それが済むと、住職は芳一にこう言いつけた。――
『今夜、私が出て行ったらすぐに、お前は縁側に坐って、待っていなさい。すると迎えが来る。が、どんな事があっても、返事をしたり、動いてはならぬ。口を利かず静かに坐っていなさい――禅定に入っているようにして。もし動いたり、少しでも声を立てたりすると、お前は切りさいなまれてしまう。恐わがらず、助けを呼んだりしようと思ってはいかぬ。――助けを呼んだところで助かるわけのものではないから。私が云う通りに間違いなくしておれば、危険は通り過ぎて、もう恐わい事はなくなる』
 日が暮れてから、住職と納所とは出て行った、芳一は言いつけられた通り縁側に座を占めた。自分の傍の板鋪の上に琵琶を置き、入禅の姿勢をとり、じっと静かにしていた――注意して咳もせかず、聞えるようには息もせずに。幾時間もこうして待っていた。
 すると道路の方から跫音のやって来るのが聞えた。跫音は門を通り過ぎ、庭を横断り、縁側に近寄って止った――すぐ芳一の正面に。
『芳一!』と底力のある声が呼んだ。が盲人は息を凝らして、動かずに坐っていた。
『芳一!』と再び恐ろしい声が呼ばわった。ついで三度――兇猛な声で――
『芳一』
 芳一は石のように静かにしていた――すると苦情を云うような声で――
『返事がない!――これはいかん!……奴、どこに居るのか見てやらなけれやア』……
 縁側に上る重もくるしい跫音がした。足はしずしずと近寄って――芳一の傍に止った。それからしばらくの間――その間、芳一は全身が胸の鼓動するにつれて震えるのを感じた――まったく森閑としてしまった。
 遂に自分のすぐ傍であらあらしい声がこう云い出した――『ここに琵琶がある、だが、琵琶師と云っては――ただその耳が二つあるばかりだ!……道理で返事をしないはずだ、返事をする口がないのだ――両耳の外、琵琶師の身体は何も残っていない……よし殿様へこの耳を持って行こう――出来る限り殿様の仰せられた通りにした証拠に……』
 その瞬時に芳一は鉄のような指で両耳を掴まれ、引きちぎられたのを感じた! 痛さは非常であったが、それでも声はあげなかった。重もくるしい足踏みは縁側を通って退いて行き――庭に下り――道路の方へ通って行き――消えてしまった。芳一は頭の両側から濃い温いものの滴って来るのを感じた。が、あえて両手を上げる事もしなかった……
 日の出前に住職は帰って来た。急いですぐに裏の縁側の処へ行くと、何んだかねばねばしたものを踏みつけて滑り、そして慄然として声をあげた――それは提灯の光りで、そのねばねばしたものの血であった事を見たからである。しかし、芳一は入禅の姿勢でそこに坐っているのを住職は認めた――傷からはなお血をだらだら流して。
『可哀そうに芳一!』と驚いた住職は声を立てた――『これはどうした事か……お前、怪我をしたのか』……
 住職の声を聞いて盲人は安心した。芳一は急に泣き出した。そして、涙ながらにその夜の事件を物語った。『可哀そうに、可哀そうに芳一!』と住職は叫んだ――『みな私の手落ちだ!――酷い私の手落ちだ!……お前の身体中くまなく経文を書いたに――耳だけが残っていた! そこへ経文を書く事は納所に任したのだ。ところで納所が相違なくそれを書いたか、それを確かめておかなかったのは、じゅうじゅう私が悪るかった!……いや、どうもそれはもう致し方のない事だ――出来るだけ早く、その傷を治すより仕方がない……芳一、まア喜べ!――危険は今まったく済んだ。もう二度とあんな来客に煩わされる事はない』
 深切な医者の助けで、芳一の怪我はほどなく治った。この不思議な事件の話は諸方に広がり、たちまち芳一は有名になった。貴い人々が大勢赤間ヶ関に行って、芳一の吟誦を聞いた。そして芳一は多額の金員を贈り物に貰った――それで芳一は金持ちになった……しかしこの事件のあった時から、この男は耳無芳一という呼び名ばかりで知られていた。


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